FASE3 安部弘(ヒロシ・アベ)~世界最強の剣士~
ウラジオストックから航空便で辿り着いた先は、ジャポネーゼ帝国のニャーガタと言う都市であった。ロースト達は、とりあえず一般人のふりをしてジャポネーゼ帝国に入る事に成功した。
ニャーガタは異国情緒溢れる港町である。開港5港に指定され、陸路は勿論、海路や空路でも、栄えているジャポネーゼ帝国の誇る大都市でもある。ニャーガタは稲作も盛んであり、コシノヒカル(米)や各種野菜や果物の栽培も盛んである。
それは元より極東?いや、それは西欧から見た地政学的に見ただけなのだが、辺境の国であるのは確かである。そんな国で世界最強の剣士に会う事になるとは、ロースト達は知る由も無かった。
3人がニャーガタステーション付近でウロウロしていたある朝の事であった。
「どうされましたか?」
キョロキョロしていたストロガノフを見た40代のジャッポが声をかけてくれた。
しかし、その侍の様な和服姿の男は、ジャポニーズしかしゃべらず、何を話ているのか分からないストロガノフは世界共通言語である米語とボディランゲージでコミュニケーションをとった。
ジャポン刀を保有していないが、竹刀を持っていたから、まず間違いなく剣士(侍)であるに違いないとストロガノフは思っていた。
その男の名はヒロシ・アベと言う。理心流剣術(実戦殺人剣術)の使い手であり理心流剣術の免許皆伝だと彼は話す。その殺人剣術である理心流は幕末の新選組幹部のコンドーやヒジカタやオキタと言った剣豪も使っていた流派の分家であると、ヒロシ・アベは自慢そうに語る。ヒロシは現在流浪人で人斬りヒロシと呼ばれ、街の人間からは煙たがられていた。
その事実をロースト達は知る由も無かった。にしても、ジャポネーゼ帝国の警察は何をしている?話によればヒロシ・アベは軍の特殊部隊にいるらしく、ヒロシ・アベが斬っているのは主にジャポネーゼ帝国軍の反政府組織の幹部やその構成員であると、言う。ヒロシ・アベもまさかロースト達がロシアカフカス帝国で革命を起こした張本人とは露知らずであった。