ロシアカフカス和平合意~次なる戦いへ~
戦争はまず停戦。その後に治安維持部隊が治安維持をする。その上において、政治家同士が和平プロセスを進めて行く。
お互いに殺し合う程憎んでいた相手との和平交渉は一筋縄とはいかない。当事国同士のトップ会談において上手く行かない場合においては、第三者(当事国以外の首脳クラス)が仲介に入る事もありうる。
最も今回の場合、ロースト達3人組が用意周到に行ったミッションではあったものの、彼等は只の火付け役に過ぎなかった。アフリカ連合艦隊とバルチック艦隊との海戦や、電撃的な陸上兵力による正規戦争にまで発展し、ロシアカフカス帝国を壊滅にまで追い込んだ事は事実である。
勿論、ビーフンは別としても、ローストとストロガノフにはその歴史的偉業を達成した感覚など全く無い。それも無理はない。只の旅人と只のエリート大学在学中のウェイトレスだからである。
ビーフンが一番驚いているはずだ。長い間、アフリカに不幸をもたらしてきたロシアカフカス帝国を撃退したのだから。
さて、停戦から和平合意までは比較的スムーズであった。と、言うのもビーフンのアフリカにおける影響力が凄まじいものであった為である。長年アフリカで艦隊を指揮して来た功績をアフリカの民は見て知っていたし、今回の戦争でもビーフンが中心となってバルチック艦隊を撃破するに至った訳である。
戦いに敗れたロシアカフカス帝国第一王子ロード・エリクシュペル自らビーフンに頭を下げ、降伏文書に調印。これにより、アフリカ連合軍と、ロシアカフカス帝国軍との戦争状態は解消した。これを受けてビーフンはアフリカの民にこう演説している。
「諸君!戦争は我々の奇跡的な勝利で幕を閉じた。今日の敵は明日の友。沢山の血と涙の上で生きられている事を、決して忘れてはならない。砂漠化したこのアフリカの大地に緑を再び取り戻すのだ。門地や人種にとらわれる事なく、アフリカを希望の大地にしよう。きっと我々なら出来る。何故なら搾取され続けてきたロシアカフカス帝国を破ったではないか。銃や武器を鍬に変えてまた一からやり直そうではないか。」
「ビーフンってかなり身分の高い人だったんだね。」
「俺も知らなかったよ。でも一区切りついたみたいだな?」
「そうね。次はジャポネーゼかな?」
「ビーフンがどう考えてるかにもよるな。」
「待たせたね。じゃあ行こうか?」
「行くってどこに?」
「侍の国ジャポネーゼ帝国を解放しに行こうか。」
改めてローストとビーフンとストロガノフは緊密な仲間となり、次なる戦いの場であるジャポネーゼ帝国へウラジオストック経由で入国する事になった。