VS続ロシアカフカス帝国軍②
陽動作戦自体は成功した。バルチック艦隊の無力化にも成功したロースト達であったが、丘で待ち受ける陸軍をどうやって、攻略したら良いか、ロースト達は議論していた。
まず、ロースト達が研究していたのは兵器ではない。そんなものは、敵さんから奪うか、それは百歩譲って何とかするにしても、破壊力抜群の核爆弾をどう抑えるかに対して頭を悩ませていた。
原状、ビーフンの保有するアフリカ連合艦隊と捕虜状態にあるバルチック艦隊しかない。バルチック艦隊は人情的に使用が難しく、ビーフンの保有する艦隊はジャポネーゼの海上保安庁クラスの警備艇しかない。
ビーフンは戦力が圧倒的に足りていない事を知っていた。アフリカ諸国は発展途上国が多く、まだ海軍力にまで手を回せていなかった。それはさておき、ロシアカフカス帝国を倒すには、沿岸からの奇襲的海上攻撃が欠かせない。だが、大砲の無い警備艇には、少々どころか陸上砲台撃破すら極めて困難である。まぁ、精々砲台手の射殺が良い所だろう。
ところがどっこいしょ、蓋を開けてみればロシアカフカス帝国軍指揮官よりも、ビーフンの方が一枚上手だった。排水量7000トンクラスの大型の警備艇を5隻用意。そこに自軍の兵士を大量に運び強襲揚陸し一気に上陸する。あまりの早さにロシアカフカス帝国軍は成す術もなく陸上砲台を奪取。そのままの勢いでロシアカフカス帝国は3日で壊滅した。
よく言われる事だが、戦争は始めるより終わらせるのが大変であると言われている。確かにそうかもしれない。勿論、戦争にもルールはある。何をしても良いと言う訳ではない。ルールを破れば戦争犯罪人として処罰される。人身売買やジェノサイド(大量虐殺)は特に厳しく処罰される。ルールを守って何事にも対処する。それこそが法の下の平等と言うものである。ロースト達は合法的な方法でロシアカフカス帝国に正義の鉄槌を下したのだ。法律が全て正しい訳ではないが、法律の範囲内で社会的秩序を維持したまま、戦争を完遂した。
ロースト達の勝因は、約150万人の露軍兵士を戦わずして制した事にある。電撃的な作戦でロシアカフカス帝国は大混乱し、インフラや大規模兵器は一切封じられた。それこそがわずか3日と言う短期間で大国ロシアカフカス帝国を崩壊させたらしめた要因なのである。人的被害はほぼゼロ。こんな戦争はロースト達にしかできない。と思う。