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ストロガノフとの交流

 ビーフンとローストは、食事をいつもストロガノフの勤務するレストランで済ませていた。必然的に二人とストロガノフの友好度も増して行く事になる。


 お互いに譲れない軸(聖域)こそあるものの、ローストとビーフンはストロガノフとの交流を深めて行った。


 上っ面の友人ではなく、ソウルメイトの域まで仲を深める事に成功したのは偶然の産物ではなかった。


 ストロガノフの休日は水曜日である。人気の繁盛店だけに土日は休めないのも無理はない。ストロガノフの休日にあわせて、ローストとビーフンは彼女を食事に誘った。ストロガノフも奢ってくれると言うので、それを断る理由が無い。


 ロシアカフカス帝国No.2のレストラン、それがストロガノフの勤務するレストランの評価だった。店長に無理を言って凄腕のシェフや腕利きのシェフを休日出勤させて、ストロガノフにこの店は凄いと言う事を理解させたかった。


 看板娘なのに店の味を知らないとはナンセンスである。国内外からシェフが学びに来る世界トップクラスのレストランこそ、ストロガノフの勤務するレストランなのである。名前はスパシーバと言う。スパシーバのウェイトレスも品格が問われる立場にあり、採用されたからには品格と常識が問われる立場にある。少なくとも誰でも良いと言う訳ではない。年齢も経験も、スパシーバのホールに立てばそれ相応の対応が出来れば、関係無い。


 他愛のない会話。ストロガノフとのありふれた日常。3人で居る時はあっという間に過ぎて行く感じがした。一緒に過ごしている時は嫌な事は何もかも忘れられる幸福な時間である。しかし、3人は元々赤の他人である。お互いに譲れない軸と言うのもある。


 それでも男と女。好いた好かないはあった。勿論、戦略的パートナーシップに基づく友人関係と言うのが理想であろう。で、あるからにして先ずもってランチや3時のティータイムを過ごす。そんなありふれた交流であっても、友好度を高めるのには役立つ。勿論、いつもスパシーバを使う訳ではない。最初の入り口だけストロガノフのホームアドバンテージを使ったに過ぎない。


 ローストとビーフンは男同士である。まず、そこが壁であった事は言うまでもない。人間心理として警戒はしたはずだ。ローストとビーフンとしてはストロガノフをパーティーに入れたい。どうしても。でなければここまでの投資はしない。いくらストロガノフが絶世の美女であっても。一人で行えばストーカーだが、二人で行えばスカウトである。


 ストーカーは単独行動故、身勝手さが際立ってしまうが、スカウトならば、何の問題もない。寧ろ戦略的に然るべき仲間の獲得方法として、尊敬に値するやり方である。


 まぁ、それはさておきローストとビーフンとストロガノフは、3人でいる時間が増大した事に違いは無い。事実、友人が多くないストロガノフが見ず知らずの男性二人組と仲良くしている事に、一番驚いていたのは妹のメークイーンであった。人見知りの激しい姉が心を許すとは、どういう事だと思った位である。それ位ストロガノフはローストとビーフンを信頼しかけていた事も事実であろうと思われた。

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