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「キスなんてできないでしょ?」と挑発する生意気な幼馴染をわからせてやったら、予想以上にデレた~無自覚カップルがおしどり夫婦になるまで~【第三巻GA文庫様より3/15発売!!】  作者: 桜木桜
第三章 〇〇の愛梨ちゃん編

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8/90

第1話

今回は個人的にはお気に入りの糖度高めの話なので、覚悟の準備をしておいてください(ワザップジョルノ風)。


 とある学校の屋上に、二人の男女がいた。

 一人は背の高い少年で、もう一人は妖精のように可憐な少女だ。


「……一颯君はさ」


 金髪の少女は少年に迫る。


「私が……ただの悪戯で、こんなことをするような子だと、思う?」


 悲しそうに少女はそう言った。

 少女の言葉に少年は動揺の色を隠せない様子だ。


 そんな少年に対し、少女は言葉を続ける。


「……私が、好きでもない人に、こんなこと、すると思う?」


 少女は問い詰める。


「そんな女の子だと、思ってるの?」


 少女の言葉に、少年は後退る。

 それに合わせて少女は詰め寄る。


「ねぇ、一颯君」


 少女は少年の顔を覗き込みながら、言った。


「一颯君は……私のこと、どう思ってる? 一颯君にとって、私は……何?」






 時は少々遡る。


(今頃になって太陽出てきたな……)


 一颯は雲の合間から顔を出し始めた太陽を睨みつけた。

 

 本日、一颯たちの高校では水泳の授業が行われた。

 授業時間中、ずっと太陽は隠れていて、そして風も強かった。


 水温も低く、とてつもなく寒かったのだ。


(……でもまあ、これでプールも終わりか)


 今日は最後のプールの日だった。

 極寒を味わうのはこれで最後というのが、唯一の救いだった。


 さて、一颯が日向ぼっこで身体を温めていると……

 にわかに教室が騒がしくなった。


 着替えを終えた女子たちが戻ってきたのだ。

 そしてその中には愛梨もいた。


「あー、さっむ! 九月にプールなんてやらないで欲しいわね。一颯君もそう思わない?」


 愛梨は一颯を見つけると、真っ先に駆け寄り、開口一番に授業への文句を口にした。

 丁度、一颯たちがしていたのと同じ話だ。


「その通りだな。正気の沙汰じゃない」


 一颯は愛梨に同意するように頷いた。

 だよね。と愛梨は頷くと、寒そうに体を震わせた。


「ああ、寒い……一緒に当たってていい?」

「いいけど、焼石に水だぞ」


 ようやく顔を出し始めた太陽君だが、まだ本調子ではないらしい。

 身体を温めるには不十分だ。


「そうね……あ! ……いいこと、思いついた」

「……いいこと?」

「身体を温める方法。……やりたい?」


 ニヤっと愛梨は笑みを浮かべてそう言った。

 これは何かを企んでいるな……と一颯は直感したが、しかし本当に身体が温まるならと、頷いた。


「まずはこうして……」


 一颯が頷いたのを確認すると、愛梨はカーテンを手に取り、少しだけ閉める。

 一颯と愛梨の二人だけが、カーテンの内側に入る形になった。


「こうすると……微妙に暖かくなるでしょ?」


 なるほど、確かに太陽の光りが僅かにカーテンに反射することで、先ほどよりは暖かくなった……気がする。

 気がする程度だ。もしかしたら、気のせいかもしれない。


「いや、まあ、確かに暖かいけど……」


 “いいこと”と言えるほどの物じゃないだろ。

 と、一颯が言おうとした……その時。


「えいっ!」


 愛梨はそんな声を上げながら、一颯に抱き着いた。

 少し冷たく、しかし柔らかい物が一颯の体にぴったりとくっついた。

 塩素と、そして一颯が良く知る愛梨の香り――香水の匂い――がした。


「お、おい!」

「ほら、温かいでしょ?」


 愛梨はニヤニヤとした笑みを浮かべながら、ますます一颯に自分の体を押し付ける。

 二の腕から柔らかい双丘の感触と、愛梨の体温が伝わってくる。

 動揺と共に一颯の体温が上がる。


「い、いや……そ、そういう問題じゃ……」

「どういう問題? こうして身体を温めることは、健康にも良いと思うけど」

「い、いや、その、当たって……」


 胸が当たっている。

 一颯は口をもごつかせながら抗議するが、しかし愛梨は意に返さず、むしろ挑発するように笑った。


「それがどうしたの? もしかして……幼馴染のこと、女の子として、意識しちゃったりするの?」


 愛梨は身体をピッタリと、一颯の身体に密着させ、そう言った。

 窓側へと一颯を追い詰め、スカートから伸びる足を一颯の足と足の間に割り込ませる。

 ビクっと一颯は身体を震わせた。


「ま、まさか……お、お前を相手に、そんなわけ、ないだろ。た、ただ……その、ここは教室で……俺とお前の関係が、その、変に勘違いされるのは良くないかなと……」


「カーテンで見えないわよ? ……ここは二人っきり」


 愛梨は一颯の耳元でそう囁いた。

 一颯は反論しようと言葉を探るが、しかし動揺のせいか効果的な言葉が浮かばない。


「……もう、いい。好きにしろ」


 一颯は「別に負けてない。むしろ許してやっているのだ」と自分に言い聞かせながら、そう言った。

 一方で愛梨は妖艶な笑みを浮かべると、小さく頷く。


「そう。分かったわ」


 こうして二人は授業が始まるまで、身体を温め合った。



ついに愛梨ちゃんにデレ期が……?



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あと、今更ですが、カクヨムにも投降してます。

使いやすい方をお使いください。

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書籍版第一巻、4/15GA文庫様より発売予定です
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