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復活

「あれ、一体俺は」


「目覚めたか、ケン」


 ケンはアスモデウスにやられてからの記憶がない。そんなケンにメアリは声をかける。


「それよりメアリ、血だらけじゃないか」


「大丈夫じゃ、ボージョンを飲んだから、数日寝てれば治る」


 ケンはメアリの血だらけの状態に驚く、その傷はアスモデウスに切り刻まれたようだった。メアリは横になりながら応じた。


「役立たずでごめん」


「ケンが謝ることはない、悪いのは全部アスモデウスという悪魔じゃ、それにわしらはこうして生きておる」


「そういえば、なんで俺は生きているんだ?」


「ケンは体の50%が残っている限りわしが復活させることができるんじゃよ、首を刎ねられたり脳を損傷した場合に魔法の効力を失い復活魔法が必要になるのじゃ」


 ケンは自分が復活した理由を知った。それからメアリは復活の条件を話した。


 ケンは自分の体に傷ひとつないこと知る。


「傷ひとつないけど、メアリが修復したのか?」


「そうじゃ、わしの魔法の専門は死体の修復と召喚じゃ、残念ながら生者には使えないがな」


 ケンの疑問にメアリが応じた。


 ケンの傷は完全に癒えているにもかかわらず、メアリは身体中の包帯から血が滲んでいる。


「その包帯自分で巻いたのか」


「いや違うぞ、おいで」


「ピィー」


 リスのような尻尾の大きい小動物が洞窟の小さな穴から出てきた。薄ピンクの毛並みをしていてぬいぐるみみたいだ。


「こやつが巻いてくれた、名前はピィーピィー泣くからピィースケじゃ」


「ピィースケかかわいいな、そういえばこの洞窟はメアリの家なのか」


「ここはわしの隠れ家じゃ、この洞窟は魔法の研究に都合がいいんじゃ、お主をすぐに復活できたのも適切な素材と魔法陣がここにあったからじゃ」


 ケンが召喚され復活した洞窟のことを聞き、メアリがそれに応えた。


 ピィースケはすぐに穴の中に入っていった。


 メアリの魔法の燃費はいいが、ゾンビであるピィースケはいつも涼しい穴の中で寝かせているようだ。


「今後の予定じゃが、人間に戻りたいという気持ちは変わらないんじゃな」


「ゾンビの不死性は魅力的だが、メアリの魔法に頼り切りなのも気になるし、何より街の人の嫌な目が忘れられないから、人間に戻りたい」


 メアリが聞き、ケンが人間に戻りたいと言う。


 17歳の高校生だったケンにとってゾンビとして生きるという生き方は耐え難いものだった。


「ケンの気持ちはよくわかった、さっき思い出したんじゃが、年中雪の降る北の地に死者を蘇らせる聖女がいるという言い伝えを思い出した、だから北の果てを目指そう」


「わかった、だけど漠然と北の果てを目指してたどり着けるのだろうか」


 メアリは聖女を探そうと提案し、ケンはそれに賛成を示しつつ疑念があった。


「年中雪の降る地は限られているんじゃ、それに現状有力な手がかりはこれしかない」


「そうなんだね、ところでこの旅は俺の願望にメアリを巻き込む形になっているけど、メアリはこの旅をしたいの?、嫌なら俺一人でも旅をするよ」


「聖女には別に会いたくないのう、だが旅の過程で何か大切なものを得れる気がするのじゃ」


 二人の旅の目的が明確になる。


 この旅は必要なことなのだろうか、メアリを付き合わせてもいいのだろうか、人間に戻りたいと言う身勝手な理由に巻き込んでいいのだろうか。メアリは寛容で優しいけどその優しさに甘えてもいいのだろうか。きっと優しくない人や厳格な人だったら、自分のことは自分で何とかしろと言うだろう。でも一方的な利害関係だったとしてもメアリの力を借りたいとケンは思った。


「迷惑ばっかかけると思うけど、共に旅をしよう。よろしく頼む」


「人は迷惑をかけあって生きる生き物じゃ、自分は誰にも迷惑をかけてないと思っている奴は想像力がないやつじゃ、いい旅をしよう」


 迷惑をかけあうのもありかな。迷惑が嫌になれば断ればいい。人間関係ってそういうものなのかな。世の中にはいろんな人がいるからこの価値観が普遍ってわけではないと思うけど、ゾンビである俺には救いになる。存在自体が圧倒的に迷惑な存在、多くの人にとって俺は魔物であり討伐対象でもある。無愛想で好かれることもできない。そんな俺が何らかの形で人の役に立てるのであればこの上ない喜びだとケンは思考した。


「どうやって北の果てまで行くの?」


「歩いていくぞ、近くの村を転々としながら北を目指す、お金は冒険者の依頼を受けて稼ぐんじゃ」


「俺に冒険者が務まるか」


「何をやる前から弱気になっておる、ケンには才能があると言ったじゃろ、それにわしがいつでも助けてやる、成長することだけを考えておればいい」


 北の果ての聖女に会う旅は俺にとっては過酷な旅になることは間違い無いだろう、日本人として長距離を歩くなんてことは一度もしたことがない。いくら魔法エネルギーによる身体強化があったとしても限界がありそうだ。だけど今はダメダメでも成長すればいいと考えれば続けることができるとケンは思えた。


 それから数日後、メアリの傷が癒え北の果ての聖女に会う旅が始まった。

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