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悪魔と人間のハーフ

 ケンとメアリは魔物が生息する森に来た。木々が生い茂りあまり視界は良く無い。いつ魔物が出てきてもおかしく無い。

「ケン、あそこにファング・ボーアっていう魔物がおるぞ、早速狩るのじゃ」


「倒す」


 メアリが魔物を見つけ、ケンは闘志を燃やす。ファング・ボーアは猪に長いギバが生えていて、紫色の体毛に覆われている。それから猪より二回りはでかい。


「どうやら、あやつから突っ込んでくるようじゃぞ」


 メアリは魔物の動きを瞬時に予測した。


 ファング・ボーアは木々を薙ぎ倒しながら二人の方向に突っ込んできた。メアリは素早く飛び上がり回避した。ケンは動けず、大きな弾丸のようなそれを剣で受け止めようとする。


「うぉぉぉぉおおお」


 ケンは叫びながら全力でファング・ボーアの突進を受け止める。だが勢いをころしきれずどんどん押されていく。


「ケン、お主の魔法エネルギーを、うちに秘めた力を感じるのじゃ」


 メアリが絶体絶命の時に訳のわからないことを言う。


「魔法エネルギー」


 ケンは詠唱のように言ってみるが何も変わらない。だが体のうちに力の塊ようなエネルギーを感じだ。ケンはその力を解き放った。


 そしてケンの足が地面を穿ち、ロングソードが魔物に食い込み勢いを完全に止めることに成功した。


「よくやった、それが魔法エネルギーじゃ、そのまま倒すのじゃ」

 

 メアリが飛び乗った木の上から言う。


 ケンは魔物を剣で弾き返した。


 魔物は前足を浮かせ隙を見せる。


 それに乗じてケンは渾身の斬撃を浴びせる。ケンは蒸気のような白いオーラを纏い、あり得ないほどの力を出した。


 ファング・ボーアはそれが致命傷になったようで倒れた。


「倒したか」


「ケンよ、お主戦いのセンスあるぞ、こうも魔法エネルギーを使いこなせるとは思わなかった」


 ケンは倒した実感が湧かないまま、メアリはそんなケンを褒める。


「魔法エネルギーって物理攻撃にも応用できるんだな」


「そうじゃ、魔法エネルギーは攻撃にも防御にも使うことができる、身体強化といったところじゃ」


 それからも二人は魔物を探して森を歩き回る。


 探索している中何者かが、頭上からケンを襲った。


「袖看板か」


 ケンは素早く反応して、剣を構えてそれを防いた。


「よくできたゾンビじゃないか」


 ケンを頭上から襲った奴はそう言う。コウモリのような翼で空を飛んでいる男は白い剣を持ち、青い髪に青い瞳をしている。


「なんだお前は」


「あやつはアスモデウスという悪魔で凶悪な狂人じゃ、警戒するのじゃ」


「大層な紹介じゃないかメアリちゃん、ところで悪魔の仲間になる気になったかな」


 ケンの疑問にメアリが応じる、それにアスモデウスという悪魔が答えた。


「わしは死んでも悪魔の仲間になどならぬ」


「メアリちゃんが仲間になってくれたら、僕の妻に迎えて贅沢させてあげるのになぁ」


 メアリが杖を地面にむけゾンビを三体召喚し、アスモデウスは仲間になった時の処遇を口にする。


「一体どうゆう関係なんだよ」


「メアリちゃんは悪魔の人間のハーフなのさ、メアリちゃんが仲間になれば悪魔軍は強い力を手に入れられる、町一つを壊滅させることだってでくるだろうさ」


 ケンの疑問に、アスモデウスが応じた。


「本当なのかメアリ」


「わしは、ハーフ悪魔じゃ、だが人に危害を加えたことはないし、これからを加えるつもりはない」


 ケンの問いかけにメアリは答えた。


 アスモデウスは滑空しながら攻撃を仕掛けてきた。メアリとアスモデウスの間に入った三体の召喚されたゾンビはことごとく八つ裂きにされ、アスモデウスの剣がメアリに届く。


 それをメアリは杖で受ける。アスモデウスは勢いをなくし地面に足をつけた。


 その隙をつきケンは後方からアスモデウスに斬撃を浴びせようとする。


「ここだ」


「甘いなゾンビ君」


 隙をつこうとしたケンの斬撃は、アスモデウスの翼により防がれた。


 その翼は鋼のように硬い、魔法エネルギーで強化されているのかもしれない。


 それからケンはアスモデウスの翼に吹っ飛ばされ、何度も回転し倒れ込んだ。


 くっそ強すぎる、さっきの猪とは比較にならないほど強い。自惚れていた。ケンはそう思いながら立ち上がった。


 それから対峙していたメアリとアスモデウスは距離を取る。


「ケン逃げるのじゃ」


「こんなとことで逃げるなんてできない」


 メアリがケンに逃げるように言う。ケンはそれを断る。


「ハハッハ、逃げれると思ってることが面白いね。僕が本気を出せば、君たち二人を一瞬にして八つ裂きにできる、そうしないのは、死霊使いの魔女であるメアリちゃんを仲間にする必要があるからだよ、ゾンビ君が逃げて僕に何のメリットもないんだよ」


 アスモデウスは青い髪を掻き上げ言う。強者の言葉だ。ケンは本能から逃れようのない死刑判決が下ったことを悟る。


 ケンは全身から冷や汗を垂らし、顔をひきずる。


 怯えている、逃げないと大見得を切ったのに情けないなとケンは思考する。


「命尽きた獣よ、わしの力となれ」


 メアリは杖をさっき倒したファング・ボーアに向ける。そしてその屍がまるで生き返ったように立ち上がる。


 大砲のようにアスモデウスに突進する、メアリの魔力も付与されいるファング・ボーアの突進は以前よりも早く力強い。


 そしてアスモデウスに激突した。アスモデウスはその衝撃で地面をえぐりながら吹っ飛びやがて止まった。


「いたた、素晴らしい魔法だ、僕が凡人だったら死んでたよ、なぜそうまでして人間の味方になる、迫害されているんだろ、悪魔として人々を皆殺しにしようよ」


 アスモデウスはそう言いながら立ち上がる。ファング・ボーアのゾンビは衝突の一瞬にバラバラにされていた。


「迫害されているとしても、やり返していい理由にはならないのじゃ、ましては悪魔と手を組んで人々を苦しめることなんて馬鹿なことはしない」


「やられたらやり返さないと、目には目をだろ、人間どもはすぐに図にのる、力で黙らすのが効率的だ」


 メアリの拒否にアスモデウスはさらに続ける。


「そうするしか方法がないのなら目には目をもありだと思う、しかしわしには他の方法もある、迫害されようが一人で楽しくやっておるしな、人間の不完全さを受け入れることが一番強いのじゃ」


「メアリちゃんは人間の迫害を容認するんだね、それは迫害されている人を見捨てることと同義なんじゃないかな、それじゃ強い人は耐えることができるかもしれないけど、弱い人は耐えることができないよね」


 メアリとアスモデウスはさらに続ける。


 メアリはゾンビを無数に召喚して、アスモデウスはそれを次々一刀両断していく。


 ケンは異次元の戦闘に動けずにいる。


「迫害に抵抗したところで迫害は無くならない、人は人を迫害するようにできているのじゃ、迫害はあるということを前提とした社会システムを構築した方が弱者を救済できるじゃろう」


「では僕と協力して、理想の社会システムを構築しようじゃないか」


 メアリが杖を魔力を込めゾンビを生み出す。アスモデウスは少し距離を取る。


「悪魔と組んで理想の社会になるはずなかろうが」


「確かにその通りだ、でもメアリちゃんを必ず仲間にする、だからここは痛い目に遭ってもらおう、次会うときは従順になるほどに」


 メアリは組むことを断り、アスモデウスはやり方を変える。


 アスモデウスが目にも留まらぬ速さでゾンビを木っ端微塵にしてゆく。


 ようやくケンは戦う覚悟ができ、アスモデウスに切りかかった。


 しかしアスモデウスに肢体を切り刻まれ、最後には首を刎ねら、ケンは意識を失った。

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