第7話 スレッド・カタストロフィ
俺たちはギルドから緊急クエストを受けて、アジトがあると予想されている森に向かっていた。
「うん。装備もこんな感じでいいかな。」
「レウムよ。そんなに心配しなくてもよいだろう。」
「念の為だよ。Sランククエストだからしっかりと用意しとかないと!」
「俺がいるのだ!安心せい!」
はぁ。大丈夫かな〜
『大丈夫ですよマスター』
なんでお前らは二人そろってそんなに自信満々なんだよ!
『勝てるからです。』
気楽でいいね
『言っときますがマスター。マスターの力はもうSランクの上位に値します。このクエストくらい楽勝ですよ。』
うん。そうだな。今の俺は剣聖で賢者だ。心配することはない!頑張ろう!
「よし!頑張るぞ!」
「お、おお?急にどうしたんだ」
なんだろう。この自信。学生時代の自分はなんでもできる思い込んでいた時のような感覚だ。
学生の頃を思い出しつつ、レウムたちは盗賊団のアジトに向かった。
ーーーーーー
男は入り口にいた男たちを倒した後、アジトにある巨大な魔力に向かっていた。
この魔力量……Sランクレベルだ……やっかいかもな。しかもほかにAランク上位レベルの魔力が二つある。少し……骨が折れるかも。
男の名前はスレッド・カタストロフィ。Sランク冒険者だ。幼い頃に家族を亡くしてから、復讐のためだけに生きてきた。素顔を知る者は3人しかいなく、人々はブサイク説と1000年に一度のイケメン説の二つで分かれていた。戦い方は糸を使い、相手を縛ったり、トラップを仕掛けたり、切ったりなど、多種多様の戦い方をする。戦い方はとても綺麗でかっこよく、子供と大人から壮絶な人気を誇っている。中央大陸では1位2位を争う人気な冒険者だ。
スレッドは大きな扉の前に立った。この扉の奥から膨大な魔力を感じる。
「報告かぁ?侵入者は倒したのか?入れ!」
「はい。」
スレッドは小さい頃から魔力の訓練をしていたため、魔力の扱いに慣れていた。おかげで部下と間違われたようだ。
大きな扉を開ける。その瞬間。
「炎竜之息吹」
「!?」
スレッドは急いで近くの柱に糸をくくりつけ、炎の前から退避する。
「ははは!避けてくれるか!さすがはSランク冒険者様様だな!」
「お前は!?」
スレッドは男の顔を見て目を見開く。
「いい部屋だろ?この魔道具のおかげでお前に正体を悟られずにお引き寄せることができた!それによぉお前は魔力を紛らわせるのは上手いみたいだが、警戒しすぎて分かりやす過ぎる。もうちょっとがんばれよぉ」
「なぜあなたのような人がこのような場所に?」
「なんでもいいだろうがよ!理由くらい!炎柱!」
咄嗟にその場から離れる。スレッドのいたところは灰になり消えていった。
「聖騎士団長ブシノキ!並び副団長ウスとオス!貴様らを王国反乱の罪で捕まえさせていただく!」
「いいよ!やってみろよ!俺とお前じゃ相性が悪すぎるんだよ!」
「糸創作魔法双剣!」
「魔剣召喚!獄炎大剣」
スレッドは内心とても焦っていた。相手は聖騎士団長。さらに炎と糸じゃあ相性が悪すぎる。しかも人数も不利だ。
「超爆発」
「糸操魔法:糸聖結界」
部屋の中で大爆発が生じる。建物が崩壊し、上から瓦礫が落ちてくる。
「さあ広くなった!戦いを続けようか!」
戦いは続いていた。スレッドが肉弾戦をしようとするとクマのような男のウスとオスが前に立ちはだかり、糸で攻撃をしようとすると燃えてしまう。スレッドは頭を悩ませていた。
「いい加減飽きてきたなぁ次で終わりにするか……ウス!オス!近づけるな!」
「ウス!」
「オス!」
やばい。実にやばい。スレッドはそう感じていた。今ブシノキが唱えてるのは深淵之炎という魔法。スレッドだと受け切れない。逃げることもウスとオスがいる限りできないであろう。できたとしても、森の被害がすごいことになってしまう。生態系の崩壊は避けなければいけない。
「消えろ。深淵之炎」
終わった、すまなかった。フラム。仇は打てなかった。スレッドは死の間際、亡くなった妹のことを考えた。
「物質燃焼」
突然目の前に二人の人間が現れた。美少年がそう呟いた時、目の前に迫っていた炎が燃えた。多分そう表現するのが正しいだろう。
「大丈夫ですか?」
白髪の男が話しかけてきた。
「あなたは……?」
「ああ。すみません。自己紹介がまだでしたね。私の名前はレウム・ビクトリー、Aランク冒険者です。」
レウム・ビクトリー?そんな奴いたか? スレッドはそう考えたが、最近酒場で耳に入った話を思い出した。4日でBランクになり、このままいくとAランクになるというルーキーの話を。只の噂だと思い、気にしていなかったが、もしこの白髪が本当にその男なら、戦力になるかもしれない。
「救援ありがとうございます。あなた方は横のクマのような男たちの相手をお願いします。真ん中の男は俺がやらさせていただきます。」
「わかりました。パキラは右のやつをよろしく。」
「わかった。」
指示を出し終わり、スレッドは正面を向く。
「どうやら神様は俺の味方をしたみたいだ。第二試合を始めようか」
「粋がるなよ小僧が……」