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第11話 勇者とスレッド前編ー過去ー

 「久しぶりだな……」

 「会いたく無かった。」

 「なあ、あの時生きていたのなら何故俺のとこに来なかったんだ?」

 「それは……」

 「俺がどれほど傷ついたとおもう?」

 「すまなかった。」

 「……」

 

 俺は彼を傷つけてしまう。だから会いたく無かった。そうだな。俺とエドラムの関係を話すなら……俺の人生から話そうか。


ーーーーーーーーーー

 俺の家族は三人いた。当時、サウス王国の聖騎士であった父、そしてかつて冒険者だった母と俺によく懐いていた2歳下の妹の三人。父と母は冒険者時代にパーティーを組んでいたらしい。俺は二人の聞かせてくれる冒険者時代の話が大好きだった。


 「お父さん!お母さん!俺も大人になったら冒険者になるよ!Aランクだった二人を超えるSランク冒険者になってみせるよ!」

 「ははは!お前ならきっといけるさ!」

 「そうねぇ、この子の魔力は冒険者向きだもんね。」

 「私も!私もお兄ちゃんと一緒に冒険者になる!」

 「ん〜ヴィーゼにはなって欲しくないな〜」

 「えーなんで!」

 「親バカよ」


 俺は糸を出す能力を持っていた。父方の祖母の能力だ。それに加え、母の超能力もひきついていたので、糸の操作を超能力でできたので、冒険者として優秀になれるスキルだった。しかしヴィーゼは母方の祖父の能力の能力強化と父の豪炎の能力が組み合わさってしまい、炎の威力がものすごく高くなってしまい、冒険者に向いてるとは言えなかった。


 「なるもん!」

 「ん〜どうしたのもか……」

 「俺の超能力で押さえてあげればいいよ!」

 「そうだよ!」

 「それならスレッドはたくさん訓練しないとね」

 「うん!」

 

 母は優しかった。


 「ごちそうさま!じゃあ訓練行ってくる!」

 「おう!気をつけろよ!」

 「うん!」


 俺は夕食の後、近くの公園でいつも体を鍛えていた。その日、俺はいつものようにランニングをして、糸で出した縄で縄跳びをしていた。


 「君は……スレッド・カタストロフィかな?」

 「そうだよ。おじさんは?」

 「おじさんはねぇレイ・ヴェルリーズンっていうんだ。」

 「誰?」

 「ははは!そりゃあそうだよね!おじさんはね、君がいつもここで頑張っているのを知っているよ。」

 「それがどうしたの?」


 いつもやっているのは近所の人ならみんな知っているからそこまで疑問に思っていなかった。


 「まあ、それはいいさ、それでさ、君の家、火事になっちゃったみたいだよ?もどった方がいいとおもうんだ。」


 俺はそのことを聞いた途端、冷や汗が止まらなくなった。俺は家に向かって全力疾走していた。


 「はあ、はあ、はあ」


 俺はレイさんの嘘であることを願っていた。しかし、俺が着いた時には手をくれだった。誰か、誰か一人でも生きていないかと中に入った。


 「ちょっとスレッドくん!」

 「やめて!離して!」


 すでに家の中は炎に包まれていた。


 「父さん!母さん!ヴィーゼ!誰かいないのか!?」


 俺はさっきまでいたリビングに行った。そこには倒れている母と、何者かに捕まっているヴィーゼと何者かと戦っている父だった。


 「スレッド?逃げなさい!」


 父は俺に気づいたのか、逃げるように言った。


 「母さん!父さん!そいつは誰!」

 「いいから逃げなさい!」

 「んん〜」

 「ヴィーゼ!おい!ヴィーゼを 離せ!」

 「避けろ!スレッド!」

 「え」


 父さんと戦っていた誰かの鎌が俺の目の前に来た。


 「ぐはっ」


 父さんが俺を庇い、腹を鎌の先で貫通されていた。


 「父さん!」

 「まあそこのガキは死ぬだろう。時間がない、帰るぞ」

 「わかったわ。大収穫ね」


 ゲートのようなものが開かれ、父さんを殺したやつが入っていった。


 「んん〜」

 「ヴィーゼ!!」


 ヴィーゼを抱えたやつもゲートの中に入った。ゲートはその後、すぐに閉じてしまった。


 「スレッド……」

 「父さん!」

 「生きなさい。そして……色んなものに触れて、……世界を知るんだ……」

 「父さん!」

 「そして、何も教えてあげられなくて……すまなかった。」

 「嫌だよ父さん!死なないで!」

 「愛してるよ……スレッド」

 「うわあああああああ」

 

 父さんは俺の腕の中で死んだ。炎で燃えていたが、超能力で自然と防いでいた。きっとこの時に能力が覚醒したのだろう。


 「俺は……これからどうしたらいいんだよ!まだ何もできない!」


 俺がそう呟いた後、部屋中に水が押し寄せた。


 「大丈夫ですか!誰か生きていますか!?」


 騎士団が到着した。


 「!?」

 「父さんが!母さんが!ヴィーゼが!」

 「君はスレッドくんだね?辛いよな。後で話を聞かせてくれ」

 「……」


 なんだ?両親を失った俺に対する言葉がそれだけなのか?なんで?なんでだよ。もっと心配の声とかあるだろ!


 「間に合わなかったかー」

 「誰だ」

 「え〜もう忘れちゃったの!?さっきあったじゃん!レイ・ヴェルリーズンだよ!悲しいな〜」

 「黙れ」

 「え?怖いな〜」

 「お前に何がわかるんだよ!家族を亡くした気持ちがわかるのかよ!」

 「……ごめん。でもなスレッド。辛い時こそこうやって元気にやってかないとやっていけないんだよ?これから君は何度も辛い時があるかもしれない。だけどそういう時こそ前向きにやっていかないといけない。どうだ?スレッド。俺の元で修行しないか?」


 正直迷った。父は冒険者になれといった。このまま頑張っても俺はSランクに行かないだろう。しかし前の男が何者かもどのくらい強いかもわからなかった。


 「なあ。復讐したくないか?お前の妹を連れ去り、お前の両親を殺したものたちを。」

 「!?」


 正直、この時の俺は精神的にもやばかったし、仕方なかったかもしれない。こんな怪しい奴の話を聞くなんてどうかしていると思う。そもそも、両親が殺され、妹が連れ去られたことを知っているのも謎だし。だけどこの出会いが俺を変えた。


 「殺したい!あいつらを殺したい!グチャグチャにしてやりたい!」

 「うん!いい覚悟だ!ついて来い!」


 そして俺は男についていってしまった。


 それから俺は5年間レイの元で修行を行った。レイは基本的にいなかった。最初に基本だけ教えていなくなってしまった。1日で帰ってくることもあれば、最長で1年帰って来なかったこともある。基本的にレイの召喚する人形か、魔獣と戦っていた。


 「うん。ちょうど5年くらいかな?魔力量も25万にいったしちょうどいいかな?」

 「なんだ?」

 「お前は卒業だ!」

 「?」

 「お前はもう世に出しても大丈夫かな?これからは一人で頑張れよ!じゃあな!」

 「え」


 それだけ行ってレイは消えてしまった。最後まで謎の男だった。


 それから1年経ち俺はレイを探しながら冒険者稼業をこなしていた。一年でAランクまで上がり、期待のルーキーと呼ばれていた。しかし、俺はレイを知っているという老人についていったら捕まってしまった。その男は研究者で俺は魔力量が多いので実験体として捕まったようだった。その時に同じく捉えられていたエドラムとあった。


 「お前も捕まったのか?」

 「ああ。」

 「俺はエドラム!お前は?」

 「スレッドだ。」

 「お前なかなかの魔力量だな!」

 「そっちこそ、何歳だ?」

 「16歳だ。」

 「16歳で魔力32万もあるのか?」

 

 俺はレイ以外で俺より魔力量が多い人間にあったことが無かった。そしてその人物が俺と同い年とは思いもしなかった。


 エドラムと出会って一ヶ月がたった。


 「なあスレッド。逃げ出さねえか?」

 「あ?何変なこと言い出すんだ?」

 「今までの俺たちだったら無理かもしれない。だけど今の俺たちにはこの間あの男に渡されたあのスキルがあるじゃないか」

 

 そう俺たちは老人にスキルを渡された。俺は破壊之王、エドラムは光之支配者。二人とも魔力量が100万を超えていた。しかしエドラムは右腕を剣に剣られてしまっていた。青くて半透明の剣をエドラムは気に入っているようだったが。


 「てかスレッドに魔力量抜かされちゃったな〜」

 「122万と121万だろ?誤差だよ。」

 「まあね。でも悔しいや。」

 「まあ。俺たちはこれからさ」

 「ん?つまり?」

 「賛成さ」


 俺は破壊を発動させ、俺たちを縛っていた魔力封じの鎖どころか、研究所ごと破壊した。破壊のスキルは破壊したものを保管し、好きに使える。この魔力封じの鎖はこれから使えることがあるかもしれない。

 

 「よし!逃げよう!エドラム!」

 「うん!」


 なんでかわからないが男の研究所に囚われた人間は俺たちだけだった。


 「何してくれてんだクソガキども!」

 「なっ」

 「嘘だろ?」


 いつもこの時間は研究所にいないじゃないか!今日だって出て行くのを確認したのに


 「お仕置きが必要だな。」

 

 今までこいつにされたことを考えると足が震える。


 「大丈夫だスレッド。落ち着いて。」

 「あ、ああ。ありがとうエドラム。」

 「雷魔法、落雷」

 「破壊」


 俺たちの頭上にかみなりが落ちる。


 「ちっ俺のくれてやったスキルを一丁前に使いやがって。」

 「使えるのだから当然だろう?ほらお返し」


 俺は雷を男に返す。


 「そんなん結界で……うわっ」


 雷は囮だ。本命は光を纏ったエドラムの光速攻撃だ。


 「避けんのかよ!」

 「魔力感知でバレバレじゃ!」


 男に殴られてエドラムが吹き飛ばされる。


 「エドラム!」

 「ゴーレム!」


 俺の後ろにゴーレムが現れる。


 「破か!ぐっ」


 破壊が間に合わず拘束されてしまう。


 「麻痺」

 「うわあああああ」

 「エドラム!このやろう!離せ!」

 「ふははははは!俺に逆らうからこうなるんだガキどもめ!」

 

 俺は事前に体につけといた糸に破壊を流しゴーレムの一部を破壊する。


 「む?貴様ゴーレムに!」

 「もう遅いよ!」


 俺はゴーレムの腕から脱出して蹴りをお見舞いしてやった。


 「次はてめぇの番だよ。」

 「お前ごときが勝てるとでも?」


 俺は糸で双剣を作り破壊を巡らせる。


 「うっ、おりゃああああああああ」


 破壊の使いすぎで体が痛いが俺は双剣を構えて男のところへ突進する。


 「錬成!」


 男も大きな剣を作り、俺の双剣とぶつかり合う。


 「天叢雲剣!」


 エドラムの右手となった剣が光出す。


 「なっ貴様!」

 「はああああ」


 エドラムは男の腹に剣を突き立てる。


 「よくやった!」

 「うん!」

 

 男は地面に倒れふした。


 「終わりだ。能力をくれた礼だ。楽に殺してやる。」

 「ふっふふふはははははは!誰が死ぬんだ?俺は不死身だ!超爆発スーパーエクスプロード

 「!?」


 男を中心に大爆発が起こる。


 「ははははは!」


 男の体がうねり、人の形を作り出す。

 

 「う、うぅスレッド?いるか?」

 「あ、ああ。ここに。」

 「まだ生きていたか。楽に殺してやるだっけ?ははははは!」

 「チッ」


 スレッドはイラつき地面を殴る。


 「所詮お前らはガキだったってことだ。まあいい教訓になっただろう。次はねえけどな!」

 

 男が手に持っている剣を振りあげる。そしてそのままスレッドに向かって振り落とす。


 「おうおう。ちょっといいか?」

 「!?」

 

男とスレッドの間に一人の男が割って入った。

 

 「レイ・ヴェルリーズン様のご登場だよ〜」

 

 

 

 



  


 


 


 

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