表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

第9話 サウス王と10人目のSランク冒険者

 盗賊団の討伐を完了して、冒険者ギルドに報告に行った。盗賊団の頭が元聖騎士団長だったようでこれからの処理が大変そうだった。その後、パキラファンとスレッドファンから逃げるのが大変だった。


 「はあ、はあ、ここまで逃げれば追ってきませんよね?」

 「多分な」

 「お礼ができてませんでしたね。あの時は助けていただきありがとうございます。Sランク冒険者のスレッド・カタストロフィです。」

 「こちらこそ、スレッドさんのおかげで楽にクリアできました。Aランク冒険者のレウム・ビクトリーです。」

 「気にするでない!我が名はパキラ・ビクトリーだ。」

 

 こっちこそお礼したいくらいだしな。ギルドの依頼達成報告もやってくれたのはこの人だし。


 「お二人は苗字が一緒なんですね。兄弟ですか?」

 「いや、違うよ。パキラが名前をつけてくれて。」

 「そうなんですね。ドラゴンかと思ってました。」


 ドラゴンだと思われてたのか……


 「あの…レウムさんって何者ですか?失礼だったらすみません。」

 「?ただの人間だが?」


 半分機械だけど


 「んーだとしたらあの強さはどういうことですか?あなたほどの人が今まで無名だったのがわからない。しかも魔古龍様とも親しげだし……」


 『ずっと森にこもって研究をしていたといえばよろしいでしょう。』


 わかった。ありがとう。


 「実はずっとパキラのいた森にこもって研究してたんだ。」

 「そうなのですか?魔古龍様は許されたのですか?」

 「え、え〜と」


 俺はパキラに話を合わせろと目で送った。ちなみにパキラにはこの世界に来た理由とスキルとベルの話をした。


 「面白そうな研究をしていたのでな!興味があったから許した!」

 「そうなのですね!どういった研究をされていたので?」


 『私に変身していただければよろしいかと』


 ああ。


 「見せてあげるよ。変身!」

 「おお!素晴らしい!どういう技術ですか?」

 「そんな簡単には教えられない。」

 「ああ。それはそうですね。すみません。野暮なこと聞いてしまいました。」

 「気にしなくていいよ。」

 「あっ伝えるのを忘れていました。実は国王陛下への謁見ができるのですが…いたしますか?別に私だけで大丈夫ですが……」

 

 マジか!まさかのチャンスが!


 「行かせてもらおうか。」


 服はどうしようか……


 「じゃあもう行っちゃいましょう!」

 「え、服は?」

 「今回の功績で冒険者として呼ばれてるので服はこのままで大丈夫ですよ。」


 そっか。まあ冒険者だもんな


 ーーーーーー

 「つきました。ここが王城です。まず王への謁見の後、お茶会となります。」

 「わかりました。」


 ここが王城か〜すげー立派だな。


「お待ちしておりました。魔古龍パキラ様とSランク冒険者のスレッド様とAランク冒険者のレウム様ですね。王がお待ちです。こちらへ」


門の前で待っていた使者について王城の中へ向かう。さすが王城とだけあって中も立派だった。


 「この先が謁見の場です。服装はそのままでよろしいのですが、準備はよろしいですか?」

 「ああ。大丈夫だ。」

 「ではどうぞ。お入りください。」


 10mくらいありそうな大きな扉がゆっくりと開かれる。

 豪華に飾られた大部屋の真ん中に一層豪華な椅子があった。そしてそこに座るのがきっとこの国の王だろう。

 

 「よくきたな。余がサウス王国の王、サウス・レジェロワである!此度の活躍、大義であった。」


 国王の言葉と共にスレッドが膝をつく、俺もそれに合わせて膝をつく。こんな感じでいいかな。


 「ははは!気にするでない!」

 「感謝する。魔古龍殿よ。」


 パキラすげえな。ただこっちをチラチラ見てドヤ顔しなければもっとかっこよかったけどね。


 「そなたがレウム殿か?」

 「はい。」 


 おっ報酬か?Sランク冒険者権限が欲しいな。 


 「確かレウム殿はAランクだったな?」

 「はい。」

 「ではただいまより、レウム・ビクトリーを国王権限によりSランク冒険者とする!」

 「ありがたき幸せ!」


 よし!一番ありがたい報酬だな。


 「では魔古龍殿、魔古龍殿の報酬だが……魔古龍殿が望まれる報酬だと、少し後でもよろしいだろうか?」

 「ああ。良いぞ!」

 「すまない。感謝する!」

 

 ん?なんで話が噛み合っているんだ?


 『マスター、あの王の横にいる執事、あれは悪魔です。それも上位の数千年生きている悪魔です!』


 悪魔!?  


 『はい。色欲の悪魔のハイルです。彼は人の心を読める能力を持っています。』

 

 マジかよじゃあ今も読まれているのか?


 『今は無理やり抵抗(レジスト)しています。あの悪魔は悪い悪魔ではないので安心してください。』


 わかった。ありがとうな。


 『では抵抗(レジスト)を解除します。』


 「スレッドも好きにするがよい。」

 「ありがとうございます。」


 スレッドは何が良かったのかな?


 「ではこれにて謁見を終了する!」

 「はっ」

 「はっ」


 そのまま来た道を歩いて謁見の場から出た。


 「いや〜疲れたねー」

 「ふん!どうだレウムよ!我の凄さがわかったか!」


 元からわかってるよ……


 「わかったよ。だけど王様の前であれはダメだよ……王様にも威厳とかもあるしね。」

 「そ、それなら我にもあるだろう!」

 「そっか。忘れてた。」

 「おい!」


 パキラの普段の姿からじゃあ威厳も何もないけどね


 「レウムさんといるとパキラさんが魔古龍ってこと忘れちゃいますね。」

 「ん?そうか?」

 「はい。一度戦場で見たのですが、圧倒的でした。」

 

 戦場って他の国と戦争しているのか?


 『いえ、多分魔王軍のことだと思います。』


 そうか。


 「あの時の魔王は弱かったからな。」

 「魔王って変わっているのか?」

 「ああ。そうだぞ。最近は10柱で落ち着いているが、昔は20くらいいたな」


 魔王が20人!?


 「最近の魔王は強いぞ。数百、数千と生きている歴戦の猛者ばかりだからの、新しいのが入ったらしいが、そいつも相当強いだろう。」

 「そうなんですね。最近は魔王軍の侵攻が少ないイメージですが……」

 「ああ。多分大きな戦争がもうすぐ起こるだろう。スレッドとやら、前の魔王たちより10倍は強いと思った方が良いだろう。」 

 「まじすか。」

 

 俺は魔王と戦いたくないな。だけどパキラが戦うなら俺も戦おう。友達だしな!


 「皆様、お茶会の用意ができました。」

 「わかりました。今行きますね。レウムさん、パキラさん。こちらです。」

 「ああ。」


 王様とのお茶会か……緊張してきた。


 「ブシノキさんがおせわになりました。」

 「ん?あの人を知ってるんですか?」

 「はい。元々ブシノキさんの部下でしたから。あの人は人の数倍努力をしていた人でした。私はあの人に憧れて……」


 泣いちゃった……そうか、俺はあの人がどんな人かは知らないけど、あの人は多分勇者のように強くなりたかったんだろうな。


 「すみません。お見苦しいところをお見せしてしまいました。」

 「いやあの人は最後まで武人だったよ!」

 「…!ありがとうございます!う、うぅ、うわーーん」

 

 信頼されていたのだろうな。


 「先ほどはありがとうございました。こちらがお茶会の部屋です。」

 「ああ。ありがとう。頑張ってね!」

 「ありがとうございます!」


 ふう。入るか。


 豪華なドアの取っ手を押して中に入る。


 「やあやあようこそ!」

 

 ドアを開けたら王様がラフな感じで話しかけてきた。


 なんだこのおっさん。おっといけない国王陛下だった。


 「こんにちは国王陛下」

 「大丈夫!、公の場じゃないからな。普通にしよう!」

 

 へぇー普段はこんな感じなのか……


 「ありがとうございます。で、ここに呼ばれた理由を伺っても?」

 「そうだな。まずは自己紹介をしよう。俺はサウス・レジェロワだ。サウスとでも読んでくれ、これでも国王をやっている。そしてこの横にいるのが上位悪魔のハイルだ。人の心を読むことができるんだ。国ができる前から初代国王様に使えている。」

 「皆様よろしくお願いします。」

 

 そんな前から使えているのか。つまりこの国は千年前くらいからあるのか。


 「じゃあ我はパキラ・ビクトリーだ!魔古龍である!そしてレウムの友達だ!」

 「俺はSランク冒険者をやらせていただいているスレッド・カタストロフィだ。」

 「レウム・ビクトリーです。えっと趣味で冒険者やってます。」


 まあこれでいいだろ。


 「うん。名前はわかったかな?じゃあ次はよんだ理由だね。それはパキラ様が望んでいることと、スレッドが望んでいることが関係があるんだけど……」


 あの二人は何を望んでいるのかな?


 「まずはパキラ様が望んでいることだが魔王討伐の特別部隊が欲しいか……俺は別にいいんだが、他の国々がいいって言ってくれるかなんだよ。パキラ様が我が国に属することになるから他の国々が黙っていないだろう。」

 

 魔王討伐の特別部隊か、やはりパキラは心の中では魔王たちを恨んでいるのだろうか。そして他の国も面倒くさいな。世界が終わるか終わらないかの戦いが始まりそうなのにそんなことで文句を言っているのか。


 「とりあえずの提案だが、俺の権限では仮でしか作ることができないが、9カ国同盟直属の軍なら作ることができると思う。そしたら9カ国同盟からの支援ももらえるし、三人はSランクだから国々の間を動きやすくできると思う。それでもいいか?」


 9カ国同盟?


 『この世界で知らない人はいません。人の国9カ国が協力して魔王軍を倒すための同盟です。』


 そんなのがあるのか。


 「我はいいと思うぞ?」

 「うん。俺もいいと思います。」

 「ありがとう。では仮で作っとくね。一ヶ月後に9カ国会議があるからその時についてきてね」


 一ヶ月後か、それまでに各国に認められるくらい強くなっとかないと。


 「わかりました。」

 「後、それと、スレッドは二人についていきたいみたいだよ。」

 「そうなんですか?」

 

 Sランク冒険者が仲間とかめちゃくちゃ心強いな


 「レウムさん。お願いします。」

 「俺は全然いいよ」

 「我もいいぞ」

 「ありがとうございます!そういや組織のトップと名前はどうするんですか?」

 

 あっ考えてなかったな。トップはパキラで名前か……


 「グラジオラスとかはどうだ?」

 「グラジオラス?」

 「ああ。花の名前で花言葉は勝利だ。」

 「よいな!ではレウムがトップで我がナンバー2だ!」 


 え?


 「わかった。じゃあグラジオラスで申請しておくよ。」

 「え?ちょっと待って、パキラがトップじゃないの?」

 「なんでだ?我は仕切るのが上手くないのでレウムがやった方が良いだろう?」

 「でも一番強い人が……」

 「お主も十分強いぞ!そんなに気負いしないでいいだろう。」

 「俺もレウムさんでいいと思うぞ」

 

 『私もマスターが適任だと思います。』


 ベルも?しょうがない。やるか。


 『ふふふ』

 

 どうした?


 『いえ、なんでもございません。』


 ならいいけど


 「わかった。俺がやるよ。」

 「よく言ったぞ!」

 「ありがとうございます。それで提案があるのだが、レウムさん。うちの勇者と戦っていかないか?」

 

 勇者と?いやだよ!戦いたくねー


 「いい機会だな!戦わせていただこう!」

「おい、パキラ何勝手に…いや?でも…」


 そうか。勇者はきっと魔王と同じくらい強いと思う。だから特訓にはなると思う。ここは戦わせてもらおう。


 「よ、よろしくお願いします。」

 「じゃあ訓練場へいこう。」







 



 


 



 


次回:勇者登場

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ