資料編:現時点までに登場した地名の一覧2版
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この一覧はベータ版です。
【国家・領地・都市】
【ヴィナロス王国】
本作の主な舞台となる国。
国王による親政で、国王が大臣や有識者を招いて開催する『御前会議』を最高意思決定機関とする。
他にヴィナロス王国に忠誠を誓う諸侯の集会『貴族院』、有力な市民の集会である『民会』も政治的な影響力を持つ。
大陸の南にあり、ヒトの勢力の南端に位置する。大河ミョール川を南の国境線とし、西の国境はダルトンの妻マリアの実家であるアンブローズ辺境候の領地が占める。東側は竜の狩場に接している。北は北方の諸国と国境を接する。内陸国で海には面していない。
温暖な気候で農業が盛ん。一方で地下資源は鉄鉱石と石材程度しかなく、鉱業資源は基本的に輸入によってまかなっている。
アル・ハイアイン王国からの穀物と木綿をはじめとする、南の獣人族の領域からの珍しい/貴重な産物や竜の狩場からもたらされる竜関係の物産の貿易は重要な産業となっている。
勇者ウードによる建国からすでに10世代以上を経ている。かつて人類の統一帝国があった時代の末期、悪魔の地上侵略事件にまで起源をたどることができ、現存するヒトの国家の中では古い方に入る。
・王都
ヴィナロス王国の首都。都市の名はそのままヴィナロス。
舟運に利用される二本の川の合流地点と、南北と東へ通じる街道が集結する位置にある交通の要衝。
宮殿・大神殿・さまざまな商業施設など、ヴィナロス王国の主要な設備が集まっている。
川沿いにある旧市街・宮殿が建てられて以降に開発された台地上の新市街がある。旧市街は川が天然の堀となっているが、新市街側は城壁と堀を築いて防衛している。
【アーディアス公爵領】
アーディアス公爵家の治める貴族領。一族の暮らす城館のある領都ナルボン(人口は5万人)と王都は近く、馬車で片道1時間半ほど。
主要な産業は穀物と果樹、薬草の栽培と加工。魔法道具の製作を請け負う工房などもある。
・ナルボン
アーディアス公爵領の中心都市。街の中心部には白亜の神殿がある。
・アーディアス公爵家の屋敷
ナルボンにある、アーディアス家代々の家。
公爵家として客人をもてなすために立派な玄関ホール・大食堂室・遊戯室などの饗応施設を備えている。
その他にも歴代当主や家族が集め・書き残した文献や記録を収めた図書館・魔術や錬金術の実験棟・薬草園・歴代当主が使ってきた書斎、家族の暮らす居住空間、使用人たちの宿舎などがある。
【ランピー領】
王都の東に位置する地域。ヴィナロス王国東部の中心地域である。領主はユーリ・モンジェリン公爵。
・エングルム
周辺を二重の城壁と堀に囲まれた、2つの川に挟まれた台地に築かれている堅固な城塞都市。
王都ヴィナロスに近いことから東の防御の要であり、絶対防衛線と言える都市である。その守りは堅く、難攻不落を誇り、地上をゆく数万程度の軍勢では小揺るぎもしないと言われるほど。
経済的にもヴィナロス王国東部の中核都市。
本来はヤー=ハーン王国と竜の狩場との交易で賑わっているのだが、ここ10年余りはヤー=ハーン王国が不景気になったことで、この町の景気にも悪影響が及んでいる。
都市の構造や設計が王都ヴィナロスと似通っているところがあるのは。現在の形に整備される際に参考にされたため。
・モンジェリン公爵の城
エングルムの町の西門から入って台地の上に上がった先に構えられている。元々は要塞で、現在もその機能を残しつつ居住性を高めるべく増改築を繰り返したため、その時代ごとの様式が混在している。
【そのほかの諸地域】
・アンブローズ辺境領
王国の西の境に位置する貴族領。国防の要となっている。ダルトンの妻マリアの実家がある地域。
・ムレット領
アンブローズ辺境候の領地のひとつ。
・アルディー領
アントニオ王太子の領地のひとつ。
・リーモックス領
バーナード公爵家の領地のひとつ。
・マージー侯爵家の領地
アーノルドの妻、バーナード公爵夫人クリステル・マージー夫人の実家が治める領地。リーモックス領に隣接している。
・ブレビニー
ヴィナロス王国北部にある町。
北街道の要衝で、湖に面しており、湖まで突き出した城壁とその先の出城がランドスケープになっている。
“建国王”勇者ウードの初期の武勲として重要なブレビニー防衛戦はここで起こった。
・東街道
王都ヴィナロスの東門から伸び、ヤー=ハーン王国に達する街道。ヤー=ハーン王国内の街道を介して、ヒエレス王国まで大陸東岸地域に接続している。
途中、竜の狩場を横断するため、街道とその周辺を合わせた幅1キロ足らずの細長い回廊状の領域がヴィナロス王国の領土として確保されている。
ヴィナロス王国側から見て回廊の入り口にあたる場所に城塞都市エングルムが位置し、その近郊に竜の狩場への正式の入り口が設けられている。
・北街道
王都ヴィナロスの北門から伸び、大聖都や北方の諸国に達する街道。
王国北部に差し掛かったあたりに湖があり、北街道は湖の東岸に沿って大きく迂回している。ここに要衝の町ブレビニーがある。
・南街道
王都ヴィナロスの南門から伸び、南の国境のミョール川を渡り、アル・ハイアイン王国に達する街道。
ミョール川には橋が無く、また深いため、渡し船が多数ある。
アル・ハイアイン王国産の穀物はすべてこの街道を通って他の国々に流通するので、経済はもちろん国家戦略上の最重要の街道といっても差し支えない。
・ミョール川
ヴィナロス王国とアル・ハイアイン王国との国境線となっている大河。
遥か南から北流し、中流域で西に向きを変えてヴィナロス王国とアル・ハイアイン王国との国境となる。そのまま、しばらく西に流れたあと、ヴィナロス王国の西の国境をなす西の山脈の南端部分と交差。
そこをS字を描くように蛇行した谷を経て山を抜け、アル・ハイアイン王国の王都がある広大なデルタ地帯を形成する。最後は西の海に出る。
深さも川幅もあるため徒歩で渡ることはできず、橋も無いため渡し船で渡る。現在、アル・ハイアイン王国はミョール川に堰の建設計画を立てている。
【竜の狩場】
竜の自治領。
“金角の黒竜王”と呼ばれる強大な古代竜・グレンジャルスヴァールが支配している。
ヴィナロス王国の東側に位置し、東側に緩衝地帯をおいてヤー=ハーン王国・ヒエレス王国があり、北に北方の諸国がある。南側は大河ミョール川を境に獣人族の領域と接している。
竜の狩場には、ヴィナロス王国の東端とヤー=ハーン王国を結ぶ街道が通る、細い回廊状のヴィナロス王国の領土が横ぎる。
竜たちは中央部に広がる台地状の山脈に無数にある洞窟に住み、周辺の草原地帯などに生息する大型動物を狩って暮らしている。
町などは無く、広大な野生の領域であり、竜がいなくても人が足を踏み入れるには危険が大きい。人間は竜使いのガンゲス公爵家の血族以外に住んでいる者はいない。
ヴィナロス王国を建国した勇者はグレンジャルスヴァールと友誼を結び、お互いに不可侵の盟約と、相互に危難があれば助力する盟約を結んだ。そのおかげでヴィナロス王国は竜に襲われる心配が無く、また竜も人間の領域を侵さない関係が築かれている。
・竜の狩場
竜の自治領になっている、この草原地帯を『竜の狩場』と呼ぶ。
ヴィナロス王国の東側のほぼ全域と国境を接し、ヤー=ハーン王国・ヒエレス王国など大陸東岸地域との間に広がる。
北米大陸のプレーリーを思わせる風景で、広大な草原に藪や木・巨岩が点在し、谷筋にだけ樹木が生い茂っている。内部には整備された道や町は存在しない。
この広大な草原は数多くの野生動物の生息地であり、無数の大型草食獣やそれを狩る猛獣・魔獣や魔物が棲んでいる。
ほぼ人の手が入っていないこの草原は土・風・水の属性を帯びた霊素に満ち、全体に生命の属性を帯びた霊素が煌めくように漂っている。
・竜の狩場の正門
右に塔屋があり、それをつなぐ2階建ての楼閣、1階正面に大きな門がある城門。
草原が広がる竜の狩場にあって、出入り口を象徴する建築なので実用上の機能は特に無い。
普通ならばその左右に続くはずの胸壁は無く、防御用よりも民家の周囲を囲むものに近い感じの木の柵があるだけである。
・竜の棲家
ギアナ高地に似た形の広大なテーブルマウンテン。
広い谷を挟んで、いく筋もの滝が流れ落ちる切り立つ断崖がそびえる。広い裾野は上に向かって緩やかに高度を上げてゆき、突然、垂直に立ち上がる。雲の間から見える山頂は平らになっている。
断崖の下は大きな岩が転がる斜面となっている。岩の大きさは、大は城壁の塔ぐらい、小さいものでも家畜小屋ほどもある。
・魔獣使いの里
竜の棲家にある大きな谷。詩人が歌う建国王の物語では“竜の歌響く谷間”と美称されている。
谷の中央には水量の豊かな川があり、周辺には森林と言えるだけの木々が密集している。崖には竜の住む洞窟がそこかしこにある他、巨岩の間や崖の凹んだ部分を巧みに利用した石造りの建物が点在している。
岩が転がる間を縫うように歩道・車道が区別されている石畳の道が整備され、ガンゲス公爵の館や迎賓館などの重要な建物をつないでいる。まるで王都の大通りのように広いが、これは造成の際に『標準的な体格の竜が余裕を持って並べる幅にすること』という要望があったため。
また魔獣使いたちを相手にしている鍛治師・薬師・細工物師・金工職人なども、この里で暮らしている。
・迎賓館
ダルトンら、特使一行が宿泊した建物。外国からの賓客を迎えるための建物。
高さが15mぐらいある二つの巨岩に挟まれた幅30mあまりの場所に建てられた、左右が巨岩と一体化した3階建ての建物。両方の岩のてっぺんには望楼の最上階のような小さな建物が乗っかっている。
細部の造りは、ヴィナロス王国では200年前には廃れてしまった様式で、ヴィナロス王国の古い貴族の館に似ている。窓はたくさんあるが小さく、重厚な壁が特徴的で、ロマネスク建築的。
内装はタペストリーがかけられた白い漆喰が塗られた壁、床には絨毯が敷かれているので足音も立たない。天井には多くの“灯火”の魔術を付与してあるシャンデリアが下がっているので十分に明るい。
・ガンゲス公爵の館
ガンゲス公爵家の居住する館。規模は小さいもののチベットのポタラ宮を連想させる、深紅色に塗られた堅牢な建物。
魔獣使いの里がある谷の奥、急斜面の上に建っている。つづら折りになった道と小さな広場のような踊り場が折り重なったような道を登った先、迎賓館からは馬で20分ほどの距離にある。
館の門は、アルファベットのUを逆さにしたような形の敷地になっていて、その奥に落とし戸を備えた重厚な扉が構えている。門の周りの壁には獣であれば足場にできそうな出っ張りがあり、左右に張り出した壁の上から使役する獣が襲いかかれるようにできている。
門を入った奥には水晶宮へと至る道と、川を渡るアーチ橋がある。
内装は迎賓館と同じようなものだが、こちらの方がやや装飾が凝っている。
・ヴォッフナフェールハーメンの墓所
谷間がよく見渡せる少し小高い場所にある。
石を積み重ねて作られたケルンのような石塔と、横たわって眠る竜の石像が設置されている。元々は王都ヴィナロスの宮殿のある丘の上にあったが、後世になってここへ改葬された。
ヴィナロス王国からの公式の訪問客は、この墓に詣でて献花するのが習わしになっている。
・水晶の谷
ガンゲス公爵の館の先にあるアーチ橋を渡って馬で15分ほどの距離にある。
竜の棲家を描写する詩の表現にある一節で“光輝燦爛たる水晶の谷”と詠われている。
周辺の岩という岩に水晶があり、岩の隙間や地面のくぼんだ場所には水晶が吹き溜まって白く覆われている。
それだけでなく環境霊素の濃度が高いため、ダルトンは霊素計の表示を見てドン引きした。周辺に転がる水晶は全て、程度の差はあれ天然魔晶石となっているほど。
・水晶宮
金角の黒竜王グレンジャルスヴァールの住む洞窟。
洞窟の周囲にあるのは岩ではなく巨大な水晶、それも霊素を大量に含んだ魔晶石の塊。洞窟はそのような巨大な魔晶石の結晶で支えられている。
水晶宮に門はあっても扉は無く、内側から心地よい風が緩やかに吹き付けて扉が無くとも外気の冷たさや霧を受け付けない。大きさ自体も大きく、幅広く、10頭の竜が並んでも余裕を持って収まりそうであり、高さも20mは優にある。
廊下の両側には森の木々よりも太い巨大な水晶が束になって柱となり、上方で四方八方に伸びて、立体トラス構造にも似たアーチや梁のような構造をつくっている。また鉱物の硬さ・冷たさを感じないような丸みを帯びるように削られ、磨かれている。
天井に開口部がある直径100mほどのほぼ円形をした中庭には青く澄んだ水をたたえた『竜の泉』があり、その水は多少の病なら、この水を飲んだだけで治ってしまう。
一番奥にある部屋がグレンジャルスヴァールの御座所で、ドーム状の荘厳な空間は周囲の巨大な水晶の隙間や内部に天然の金の結晶が表れている。
そこの環境霊素は信じがたいほど濃く、ダルトンは“霊素計など見なくても、私の肌は物理的な圧力を感じ”た。
【ヤー=ハーン王国】
大陸の東端にある王国。
国王による親政で、中央集権化を進め絶対王政の体制を敷いている。それ以外の貴族階級は弱体化され、国家の官僚機構に組み込まれた。また民衆も意図的な農業衰退政策により力が無い。
山国で平地は少ないが豊かな鉱山資源に恵まれ、それの輸出によって莫大な富を誇っていたが、産出量に陰りが見え経済は大幅に後退。貧困が広がっている。
緩衝地帯をおいて西に竜の狩場と国境を接し、北はヒエレス王国と国境を接する。東と南は外洋に面している。そのため獣人の領域とは接していない。
・ヤー=ハーン王国の王立学院
ヤー=ハーン王国国立の高等教育機関・研究施設。
フィリウスに政治的に攻撃され“もっと王室に貢献するべきであり、いつになっても功績らしい功績の上がらない、研究ばかりしている連中が何の役に立つのか”と難詰され、功績の度合いに応じて予算に軽重をつけるとして予算を大幅に減らされた。
フィリウスの主張する“功績の度合い”とは、彼に気に入られるように阿ったかどうかであるため、彼に遜り同調して馬鹿馬鹿しい説とも言えぬ暴論を唱える者、学問的誠実さを重んじて乏しい予算に甘んじる者とに分かれている。
ケイト・ディエティスが籍を置いていたが研究を続けるには厳しい状況となったうえに、勉強を続けることのできない者が多くなり、残った学生たちにも十分な訓練をさせてやれない状態となっている。
そのためケイトと彼女の数人の同僚たちは担当する学生たちを他国の学院に転学させた。
【ヒエレス王国】
ヤー=ハーン王国の北に位置する国。
死んだレオノラの姉はこの国とヤー=ハーン王国との国境近くの村に住んでいた。
・ヴェルソイクス
ヒエレス王国の南端付近にある村。
不便な土地ではあるが、風光明媚な土地として知られており、ヒエレス王国の貴族や裕福な市民の別荘が点在する土地としての側面もある。
レオノラの姉、シビルは最晩年をこの村で暮らした。
・オイオンリクス
ヒエレス王国の南部にある都市。
ヤー=ハーン王国を脱出したケイト・ディエティスが短期間滞在した。
【アル・ハイアイン王国】
ヴィナロス王国の南に位置する、ケモ耳タイプの獣人種ナハムの王国。
ミョール川河口にある広大なデルタ地帯に王都を置く。領土はミョール川沿いに、獣人族の領域に広がっている。
王政で、政情は安定している。
ここ10年余りは大きな災害も飢饉も、疫病も戦争もなく過ごしている。人口は増えつつあり、商業も盛ん。一方で都市では住宅不足が深刻化している。
産業は農業・建築・ガラス製品。アル・ハイアインで生産される小麦をはじめとする穀物・木綿の量は圧倒的であり、これを輸入することでヒトの領域のやや不安定な穀物生産を補っている。
建築はナハムの種族的な得意分野であり、ガラスの加工・製品づくりもそのひとつ。アル・ハイアイン王国で生産された高級なガラス器は、各国の王侯貴族や富豪たちが競って求めるものとなっている。
ヴィナロス王国とは友好関係にあり、またより南の獣人種族とも友好関係にある。
【神殿領】
神々を奉る『神殿』の本拠地。
かつて大帝国の中心地域であり、現在もなお政治・経済の一大中心地のひとつである。
・大聖都
ヒトが主に崇拝している宗教の中心地。単に聖都とも言う。ヒトの領域の経済の中心でもある。
・聖神智大学
神殿組織が運営している教育機関。
ダルトンは死亡フラグ回避のために、聖女ルミリアをここの付属校に留学させることで第一王子との接点を無くそうと考えている。
【その他の地域】
・フィーチェ
商業都市。世界的な商社・ドマルディ商会の本拠地がある。
・エルフの森
大陸の北方にあるエルフたちの自治領。結界が敷かれて、ヒトはそこに入ることができない。
森の奥には原初の木アムボレアの実生だと言う巨樹が生い茂るという。そこは一年中、花が咲き、果実が実り、心地よい風が吹くと謳われる。
『森の王』と呼ばれる人物によって支配されていると言われるが、詳細不明。
大帝国の時代には少ないながらも、ここに住むエルフと交流があったが、現在は没交渉となって久しい。方の諸国はどこの国もエルフの森とは公式の交流は持てていない。




