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序章 〜魔女エンド〜
闇の中で赤い炎に囲まれている。
熱いはずなのに寒い。もう声を出すことすらできない。血の海の中に国王と王妃の両陛下、そして妻と凄惨な拷問の痕が残る若い女が、死体となって転がっている。
私は血まみれの手を伸ばした。
その先にいるのは酷薄な笑みを浮かべ、弱者をいたぶる事に最高の愉悦を感じているのを隠さない二人の若い男女の姿があった。第一王子と我が娘である。
「お父様、お母様、最高の感謝を捧げますわ。生贄になってくださって、ありがとう!」
「公爵、我が王国のさらなる興隆の礎になるのを誉れとせよ!」
二人の大きな笑い声に被さるように、地の底からも哄笑のような重低音が響く。
私の視界はゆっくりと闇に包まれ、魂の芯まで凍るような冷たさと苦痛に意識が断ち切られた。