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第12話

俺とキャシーはその後も依頼の品を探していたが、見つけたのはキャシーだった。「見つけた! ダン!」とキャシーが俺を大声で呼んだ。


「おー!よくやったじゃねぇか」


キャシーの手には白く濁った石が握られていた。これを磨いたら水を凍らせたみたいに綺麗なのよ、とキャシーは言った。洞窟を出て、山を下る。依頼の品を渡すために、麓にある裏ギルドに向かった。


受付嬢に依頼の達成の旨を伝えると、受付嬢は依頼主に連絡を取ろうと急いでフクロウを飛ばした。


二日ほどで依頼主は来られるそうで、それまでは待っていろとのこと。宿に戻りそのことを伝えると、「じゃあ薬草でも摘んでまっていましょうよ」とキャシーは穏やかだった。


「お前のんびりしてんなぁ」

「いいえ。私も前は焦っていたわよ。でも今はダンがいるから」

「俺が?」


キャシーは頷いて、当然のことのように言った。


「ダンは優しいから、私の目的が達成できるまで一緒にいてくれるでしょ。信頼しているんだからね」


キャシーがそう思っていたことが意外だった。キャシーの可愛らしさを感じながらも、どこか得体のしれないところを俺は知っている。キャシーをどうしたらいいかわからない。


「ダン?」とキャシーは不思議そうに俺の顔を覗きこむ。

「あ、あぁ、なんだ?」

「大丈夫? 調子悪いの?」

「いや、大丈夫だ……」


首を横に振ると、キャシーは「良かった」嬉しそうに微笑む。

キャシーは良い奴だ。育ちの問題なのか、笑顔は柔らかく穏やかで、一緒にいると心が凪いでいくのを感じる。

俺はこいつに何も返せていないのに、信頼だなんて言葉を向けてくる理由がわからない。


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