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第1話

お前、クビ。そう言われた時は、いっそ嬉しかった。


はい、追放されました。戦士です。


俺を追放したのはイケメンの腐れ勇者だった。いつも魔法使いと僧侶を傍にはべらせて、まともに仕事もしないクソ野郎。


そんな奴がなぜ勇者かというと、単に親のコネだ。実力も倫理観もないクソ野郎。


こんなクソパーティに未練もないから、追放されても痛くも痒くもない。



仕方がないからもうだらだらと一人旅でもするかと道を歩いていると、金髪の女の子が俺の目の前を走っていった。


「そこのあなた! 助けなさい!」

「はぁ? なんで?」


女はきんきんとうるさい声で、俺はつい舌打ちしてしまう。


「だから! 魔物に襲われているのがわからないの? 助けなさいよ!」


人に物を頼む態度ではないが、弱いんだから仕方がない。女を追いかける魔物の群れが、俺の背後に近づく。


腰の大剣を抜いて、背後に勢いよく振り下ろした。地面がひび割れ、轟音が鳴る。


魔物達は一瞬で力の差を理解したのか、震え上がって蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


剣をしまうと、女がわざとらしく拍手した。


「あなた、なかなかじゃない。助かったわ。褒めてあげる」

「そんなことより感謝してるなら金くれないかね。パーティ追い出されちまってこまってるんだわ」


女は俺より三つか四つほど年下に見えたが、身につける防具は上等なもので、随分金を持っていることが想像できた。


腰まで伸びた金髪はよく手入れされているのか綺麗にまとまっている。高い鼻やぱっちりとした目は美少女というにふさわしかったが、俺の好みではない。それより、どこかで見たことがある気がするのは何故だろう。


「追い出された? あなたほど強いひとが?」

「おう。勇者にな」

「あなた、性格に難があったんじゃなくって?」


初対面の相手にそんな事を言う相手に言われたくないと思いつつも、さぁな、とごまかす。それより金、というと、女は言いにくそうに口ごもった。


「……しない?」

「はあ? なんつったの」

「私といっしょに、パーティ組まない……?」


なんで俺が。断るより先に、女は赤い顔のままべらべらと話し始める。


「ちょうど旅に出たばかりで私もひとりだったのよね。あ、お金ならいっぱいあるけど、でも嫌じゃない。知らない人パーティに入れるの。あなたなら十分強いし、追放されたっていうならちょうどいいじゃない。ね?」


なにが、ね?、だ。俺からしたら自分より弱い相手と組む義理なんてないし、よしんばまたパーティを組んだとして、あのクソ勇者みてぇに追い出されたりすんのはだるいんだよな。


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