夢の世界の始まり
「自分は選ばれし者である」
そう思い始めてから何年が経っただろうか
職も無く、何をするでもなくパチンコと酒をあおり寝る日々。
なのに私は未だにその思いを捨てきれないでいる。
いや、むしろそうでも思わないとやっていられないのかもしれない。
その日は何時もと違って軽快な足取りであった。
理由は単純、パチンコで勝ったからだ。
今日はこの金で普段よりも良い酒を勝ってやろうか
などと考え...
不意に誰かに背中を押された。
振り替えるとガタイのいい外国人が、
いや、それは今はどうだっていい
今私は何処に立っている?
答えは横断歩道だった。
歩行者信号は赤を示している。
そして私の目の前にはかなりの運動エネルギーを持った自動車が迫って来ている。
考えを巡らす間も無く、私の意識は途絶えた。
此処はどこだろう。
ぼんやりとした意識が徐々に覚醒し、自分が書院造のような部屋にいることが解った。誰かに居ないか探そうとすると、タイミング良く初老の大男が入って来た。
話を聞いてみると、この男は神の召し使いのようなもので死んだ人間を極楽へ送るか、もしくは何処かの世界へ転生させるのだという。
いわずもがな私は猛抗議した。
「何故いきなり殺され、訳のわからない選択をしなければならんのだ。」
「まぁ落ち着け、お前の人生を少しばかり見てみたが、あの様子では特にやり残したことも無いだろう。
それよりは転生か極楽へ行き新たな人生を始めたほうが得策だと思うぞ。」
「何を言う! 私はやり残したことが山ほど...山ほど..」
無かった。自分でも驚いた。
考えてみれば毎日酒とパチンコを楽しみに生きていた人間が何をやり遂げようとしていたというのか。
そんなものは一つも無かった。
「ほ~う?何があるのだね、遠慮せずに言ったらどうだ。」
「何も無いデス」
「あ~ん?耳が遠くて聞こえんなぁ~」
「何も無いです!」
「やはりな!!俺の思った通りだ。んで、どうすんだ?」
「どうすると言うと?」
「とぼけてんのか?極楽か転生だよ。
さっさと選べ、俺とて暇ではない。」
迷っていた。なんせ今後の人生を大きく左右する選択だ、迷わないほうがおかしいだろう。
「あ~焦れったい!もういい!お前転生な!」
男が叫んだかと思うと目の前が暗転し始めた。
世界が真っ暗になるほんの手前、何処かの研究室のような場所を見た気がしたが気のせいだろう。
私の体はどんどんどんどん深く落ちていくような気がする。
拙い文章でしたがもしよんでもらえたのならありがとうございました。
できるだけ更新したいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。