初めて旅団の宿舎に来たレーチェ達
外伝二話目の投稿です。
こちらは本編のある一場面を(本編の中ではオーディスワイアの回想の様な物でしたが)書いた内容です。
「ここですわね。ここが私達『黒き錬金鍛冶の旅団』の第一号宿舎ですわ」
「第二号を予定しているのは何なんだ……」
「先に建物の清掃はリーファ達、侍女に任せておきましたわ。家財道具などは以前の持ち主の物でよろしければ、そのまま使う事に致しましょう」
私の言葉に賛成してくださるオーディスワイアさんとユナ、メイは──屋敷の離れにある小屋を見ているようですわ、好奇心旺盛な子ですわね。
さっそく建物の中に足を踏み入れますとあら、中もやはり質素ですのね。まあいいでしょう、冒険者の宿舎に華美な装飾など不要だと、オーディスワイアさん辺りがうるさそうですものね、このくらいでいいでしょう。
「さすが元貴族のお屋敷だな。無駄な室内装飾に絨毯……独自性の欠片も無いな」
嘘でしょう⁉ こんなお屋敷の内装に文句を言われたら、とてもじゃありませんけれど、私の実家にはお招きできませんわね。何を言われるか想像もつきませんわ……!
「一階にも寝室があるんですね。他には食堂や客間──小さな部屋も、いくつかあるみたいですね」
ユナがお屋敷の図面を確認しながら「あっちが食堂と調理場みたいですね」と言って、扉の前に向かう。
彼女が扉を開けると、長テーブルが置かれた食堂が見えてきました。窓には硝子戸が張られ、外から光が入ってきている。シーツなどは初めから無かったのでしょうか? いえ、きっと侍女達が洗っているのね。
「手狭ですけれど良い食堂ですわね」
私はそう言って奥にある調理場へ向かう。こちらもそこそこの広さがあって、旅団の方達と大勢で料理する事も出来そうですわ。
他にも部屋を確認しましたが、屋敷の図面を確認しても浴場が無いじゃありませんの。何と言う事……! まさか貴族の屋敷にお風呂場が無いなんて!(古い時代では貴族のみが公衆浴場を使用する事ができたのだ。──彼女は、その事を知らないか忘れている)
私はリーファを呼びつけると、直ちに腕利きの大工を呼んで、小さくてもいいので浴場を造らせる事にした。──「急ぎなさい! 出来るだけ早く!」
思わずやって来た大工達に大きな声を出してしまいましたわ。……せっかく皆さんに良い宿舎を提供できると思いましたのに浴場が無いなんて、宴会を用意したのに葡萄酒が一本も出ない様な物ですわ。ウィンデリア家の者としてそんな失態、到底受け入れられるものではなくってよ!
図面をしっかりと確認しなかった私もいけませんわね。ただここが一番拠点の近くの物件だったから、その他の事を失念していましたわ。
オーディスワイアさんの、あの小さな鍛冶場もこちらに移せばよろしいのに「いや、せっかく爺さんから譲り受けた物だからな。ありがたく使わせてもらわないとな」
まったく、変なところで義理堅いんですから……せっかく同じ場所に住めると思いましたのに──