神騎兵戦闘記録「巨大芋虫(アルバデロウズ)」戦
本編にも出るかもしれない? 超巨大な混沌内を移動する生物(?)について。(混沌生物としていますが、生命体とは違う存在)
本編で触れられていない場所でも、オーディスワイアはこうした情報集めや、錬金術などをして、仲間の為に作業をしています。
神騎兵格納庫から管理局に資料の写しが送られてきた。
いくつかある戦闘記録の中から、今回紹介するのは、巨大な芋虫型の混沌生命体との戦闘記録。
こいつは混沌の海の中を、ゆっくりとした動きで進んでくる化け物で、移動している方舟大地に接近する事はまずないが、たまに接近してくる事例がある。
こうした時には神騎兵がこれを討伐、もしくは退けるのだが──どうやら、戦闘記録から読み取る内容によると、相当に苦戦する相手であるらしい。
その内容を簡潔にお伝えしよう。
* * *
それはあまりに巨大だった。
山すら飲み込めるほど巨大な体。
白や黒、赤や青や緑や黄といった、あらゆる色を纏う──巨大な幼虫に似た化け物だ。
分厚いぶよぶよとした皮膚に守られ、その表皮には様々な種類の鉱石や結晶が生え、まるで毛みたいに疎らに突き出ている。
体長は数十キロにまで伸びたり縮んだりし、混沌の中を移動している。──速度は遅いが、その巨大さから移動距離は、かなりのものとなるだろう。
前方にある口は、体の前面すべてが口として開口可能であり、もしくは自らの体の大きさよりも、大きく口を広げる事も可能であるらしい。
丸い口腔の中にびっしりと並んだ、巨大な剣の切っ先のごとき歯。
それが飲み込んだ物すべてを噛み砕き、押し潰すのだ。──このような醜く汚らわしい化け物に喰われるなど、悪夢としか言いようがない。
神騎兵は大地を守る為に、懸命に戦った。
側面に回り込むと、分厚い皮膚に向かって剣で斬りつけ、傷口に魔砲を撃ち込んで攻撃する。
芋虫の反撃方法は、体から突き出た結晶から魔力を撃ち出す攻撃。もしくは転がっての体当たりだ。
芋虫の体に付着している蜘蛛と蟷螂と蠍が合体した様な、異質な昆虫型の化け物を打ち払いながら、この巨大な芋虫を攻略するのである。
それは途方もない時間を掛け、地道な攻撃を繰り返し、やっと成し遂げられる活動なのだ。
幅が数百メートルもある怪物の体表を斬りつけ、魔力を威力に変換する魔砲を何度も放つ。
こうしてやっとの思いで、巨大な混沌の猛威を振り払う事が出来るのだ。
【巨大芋虫から回収した物】
魔力結晶(大=二百五十二個。中=五百八十六個。小=千三百七十七個)。
混沌結晶(大=八十二個。中=三百六十七個。小=五百十一個)。
巨大芋虫の外殻、棘、牙など(多くはそのまま放置された)。
混沌甲蟲の甲殻、鎌など(多くはその放置された)。
などと書かれてある資料を読み終えた。
「なにこれ、めちゃくちゃ気になるじゃないか」
魔力結晶や混沌結晶が大量に入手できるのも気になるが、この芋虫の素材や、混沌甲蟲の素材から、何か作れるかもしれないのだ。
──と思ったが、おそらくフォロスハートから遠く離れた場所で戦闘が行われ、そこから素材を持ち帰る手段は限られる。それで多くが放置されたのだろう。
「もったいないなぁ……」
これは何か、神騎兵と共に行動して、戦闘にも役に立ち、なおかつ、素材を持ち帰るのに適した何かを、考えなければならない。
巨大な敵に効果的な攻撃を行えて、素材の回収もする機体か……
いくつか思いつきを紙に描き出してみたが、これというのは思いつかなかった。魔力結晶の柱が突き出た体。その結晶体から攻撃してくるのなら、それを砕いてしまうのがいいだろう。
その辺りから、この巨大芋虫の攻略を考えた方が良さそうだ……




