表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後《外伝》 ー登場人物設定などー  作者: 荒野ヒロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/57

手紙を受け取ったリゼミラとアディーディンク

黒き錬金鍛冶の旅団に参加するちょっと前のリゼミラ達の様子。


 ディーディーが手紙を受け取っていた。あたしは子供達の面倒を見ていて、ちょっとした事で喧嘩けんかを始めた二人をなだめ、泣きわめく娘を抱き抱えて落ち着かせてやる。子供達は気が抜けない。ちょっと目を離すと、何を()()()()か分かったもんじゃない。


 言葉もたどたどしい娘にとって、自分の中にあふれる感情は、言葉ではとても言い表せないのだろう。わぁわぁと泣くばかりで、こちらの話を聞こうともしない。こういう時は──話して聞かせるのではなく、抱きしめてやって安心させるのが一番だ。


 子供には言葉で言うよりも、身体に触れ、そばに居てやるのが効果的だ。愛情を持って接してやれば、何もわずらわしいと感じる事もない。


「誰からの手紙?」

 娘のリッカが泣き疲れて静かになったところで、夫のアディーディンクに声を掛ける。


「うん、リトキスからの手紙だった。オーディスさんが団長を務める旅団に加入したんだって」

「えっ、あいつが旅団を? どういう風の吹き回しだろう? 人をまとめるなんて、あいつが嫌っていた事じゃないか」

 ディーディーは、私の言葉に呆れた顔をする。


「何言ってるの。僕達だって、あの頃とは違うじゃないか。オーディスさんだって変わったんだよ、きっとね。錬金鍛冶師としても、最近めきめきと実力を付けているみたいだから、旅団員に武器や防具を作ってあげているんだろうね」

 なつかしそうに言う夫を見て、あたしの中の冒険心が熱くなるのを感じた。


 今でもあたしは冒険に出ている。

 あの頃とはまた違った強さを手に入れている自負もあり、一人で冒険に出る事もあった。


「あいつが旅団を……よし! あたしもその旅団に入るよ!」

 ディーディーは「えっ」と声を上げたが、あたしの顔を見ると肩をすくめる。

「まあ、そう来るか……」と、何だかあきらめた様な事を言う。


「何言ってるの、ディーディーも入るんだよ!」

「ぼっ、僕も⁉ いやぁ……管理局の仕事もあるしなぁ……」

 ディーディーは渋っていた、冒険者に復帰する事に不安を感じている部分もあるのだろう。長い間、現役から離れていたから仕方がない。


「とにかくっ、一度あいつに子供達を見せに行こうと言ってたじゃない。オーディスは今、どこに居るの?」

 改めて手紙に目を通しながら「中央都市ミスラン」だと答える。

 さっそく明日にでも……と行きたいところだが、しばらくは用事がある。──数日後に予定を空けてミスランへ向かう事にした。


 かつて共に冒険した旧友に子供を見せる……何だか変な気分だ。ろくに連絡をしなかったせいもあるけれど、少し気恥ずかしさを感じている。久し振りに会いたいという気持ちもあるのに。


「お、お菓子でも持って行った方がいいのかな?」

「『あたしを旅団に入れてください』って? そんながらじゃぁないでしょ。むしろ『あたしと勝負して、あたしが勝ったら旅団に入れろ!』って言う類型タイプでしょ」

 そっか……そうよね。──いえ、そうだったわ。確かにそちらの方があたしらしい。


「うん、それでいこう!」

「えっ⁉ 冗談のつもりだったんだけれど……」


 こうしてあたし達は、旧友に会いに行く予定を立てたのだった。呆気あっけにとられる夫を放置して……

お菓子を~は、いわゆる「菓子折り」という奴ですかね。フォロスハートにそんな文化があるかは不明です(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ