シャルファーの不可思議な魔法屋
シャルファーに遠征に行っている魔法使いヴィナーが、おかしな魔法屋に巡り会う時の、別視点のお話。
なにやら街にある魔法屋を渡り歩いている女が居る……どうやら、自分の成長に伸び悩みを感じているらしい。
この街の高みから見下ろし──あらゆる外敵と、あらゆる悪事を見逃さぬ我ら。
我らの目にはあらゆるものが映る。どんな些細な事でも、我らの視野から逃れる事は無い。神にそう授かったからだ。
さっと空を翔け、下界へと降り立つ。
パタパタと羽を鳴らして地面に立てば、我は魔導師の格好をした若い男。
その姿はかつて──この街に居た魔導師。
あの者は、今は魂の輪へと戻り、また新たなる命として生まれ出ずるのだ。
路地裏の一角に入り口を作り、先ほどの女が来るよう誘おう。
人は皆、自らの意識と無意識の境界に生きている。我らはその中に無音の言霊を飛ばし、彼らをときに導く。
自らの弱さに気づいておきながら、それを見せまいと強がる子供の様な女に、自らの過去と向き合わせ──つまらぬ足枷から解放してやろう。
それは、我らの本来の役割では無いのだが……神は、ときに人を導く事を推奨し、ときに彼らを裁く事を求めもする。
神ならざる我らには、神の御意思は理解できぬが、命ある者に、魂ある者に、心ある者に忠義を尽くすのが我らの役割の一つ。
ならば我らは汝らと共に生きよう。
脆弱なれど、未来を構築する力に溢れた者達よ。
汝らの未来に祝福あれ。
独特な喋り方をする「鳥」とは違う役割を受け持つ存在。主に混沌の監視をしているが、ときに人の不正を見抜き、罰を与える……魂を運ぶ「鳥」よりも高度な思考を持つ(自我は無く、神の監視者の域を逸脱する事は無い)──という存在。機械的な天使みたいな感じかな。




