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カーリア冒険者となる覚悟を決める

 爺さんの居ない錬金工房ーー今は、オーディスワイアという男が鍛冶屋をやっている店の前に来ると、壁に架かった掲示板に「黒き錬金鍛冶の旅団」を立ち上げた事が書かれていた。爺さんの代わりに鍛冶屋を継いだあの男が、団長をやるようだ……

 立ち上げたばかりの旅団なら私を雇ってくれるかもしれない。そんな風に考え店が開くのを待とうと思っていると、オーディスワイアに声を掛けられた。




「わっ、私も入れてくれないか!」

 旅団を立ち上げた事を聞いた私はオーディスワイアにそう言ったが、相手の反応は冷たいものだった。だがそれも当然だろう。私は貧弱な女の子でしか無いのだから。


 オーディスワイアは旅団に居る「メイ」という少女の事を話し、何の訓練もしていない人間を、旅団の冒険者に加える事はあり得ないと言った。

 そんな少女も居るのかと、私は素直に感心してしまった。オーディスワイアも認めるその少女に訓練してもらえば、私もそれなりに強くなれるのではないだろうか。そう思うと私は、その子にすぐに会いに行かなければと思い、午後に冒険から帰って来るメイを旅団宿舎の前で待ち伏せる事にした。


 その建物が新しく立ち上げられた旅団の宿舎になった事は、うちの鍛冶屋の客から聞いている。やけに羽振りの良い旅団が立ち上がったものだと、話の種になっている様子だ。


 私はメイという少女に訓練を頼んだ。少女ーー私と同い年くらいの小柄な少女は「いいよ」と言って、柔らかい厚みのある手袋を付けて私の相手をする。

 こちらは木剣を手にして攻撃しても彼女にはかすりもしない。それどころか殴られ、投げられて、たちまちこちらはボロボロにされてしまう。


 それでも泣いて逃げ出す訳には行かない。私が望んで相手をしてもらっているのだ。何としてもメイから強くなる秘訣を一つでも学ばなければ、ここに来て痛い目をみている意味が無い。

 私は戦い方を考えたり、相手との距離や剣の構え方を変えたりしながら、どうすればメイに攻撃を当てられるか考えながら戦ったが、何度も投げられて、その日は訓練を止める事になった。

 訓練終了を告げるとメイはこう言った。


「体力や筋力は日頃から鍛えてないと身に付かない、あなたが冒険者になりたいなら毎日、厳しい運動をして身体を慣らして行く事が大事。甘やかしていたら、いつまでも強くはなれない」

 私は毎日でも彼女に挑もうと思う。家に帰ってからボロボロになった私を見て、親達は驚いていたけれど、家に帰ってからも腕立て伏せや腹筋を何度もやる。筋肉痛になるだろうけど気にしない。


 私は今日から冒険者になる事をはっきりと目指す事にした。他の誰かが「お前には無理」と言ったとしても、私はそいつの言う事を聞いてやるつもりは無い、私が選んだ道だから。

 私は強い戦士になるんだ。

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