表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

爆縮と体温の機知(3)

電話のベル

刃先に流るる

赤い液体は

後々、悪い物と

言われるのだろう

延々と鳴り響く

電話のベル

そんな音にしていたかなと

疑問符が先行し

小さな声色で

「もしもし」が

聞こえてきた


酒焼けしているのか

嗄れ声の中に

無理矢理に見つけた

昔ながらの声

「久しぶりだね」と

僕が話し掛ければ

「変わらないね」と

間が空いた

僕だけが素直に

生きているみたいに


続く息の苦味に

何かを取り繋ぐ

たまに飲んでいたから

ありったけの

友人のデータ

片手に持って

明るい声を出す

頷く声が

思い出を摘み

遠くに居ることを

付着させるみたいだ


話を聞いているのか

上の空の中に

無理矢理に見つけた

固有名詞の間

「飲みに行こうか」と

つい、口に出した僕

「別に、良いよ」と

間に挟まる

僕だけが本能的に

生きているみたいに


スカート姿を知らなかったから

女になったね、という感想は

仕舞い込んだ

話だけを考えながら

他愛無い会話を

歩きながら続けた

あの頃とは違う香りが

半歩、後ろに居ると

流れてくる

小さな居酒屋畳席まで

それは変わらず

対面に座った時に

壊れた記憶があった


時間は顔を変えるのか

笑顔を見る中で

無理矢理に見せられた

傷痕と途中の生傷

「飲むの初めてだね」と

楽しいを時間に充満させる

「そうだね、乾杯しよう」と

言葉を探して捻り出す

僕だけが異常な形で

生きているみたいだ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ