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青天25

薫の顔が少し暗くなったのを察した蓮が話の内容を変えた。


「そういや、藤宮だっけ?あいつ幹部ナンバー3に昇格したんだよな?」

「ええ、そうね。ついこの間、A級厄災ディザスターを倒して4から3になったって言ってたわね……」

「なんだが嬉しそうだな」

「ふふ、当然でしょ?幼馴染みなんだから」

その言葉を聞いた薫は不敵な笑みを浮かべて言った。

「実は恋人だったりしないのー?」

「―――ッ!?ななな、何言ってるのよ!それは有り得ないわ!」


薫の恋人という発言に顔を赤らめて手を顔の前で思いっきり振るう。


「顔が赤くなってるわよ司?」

「……む~」


ふくれっ面になった司の様子を薫は面白がっていた。

そして、立て続けにこんな言葉を言い放った。


「もし、彼が司の彼氏なら、私が潤先輩と結ばれても何も文句言えなく―――」


その瞬間、頸動脈にピタッと手が添えられる。

薫は司の方を見ると、口では笑っていたがその目は確かな殺意を宿していた。


「冗談は程々にしなさい?」


続く言葉の後、こめかみに構えられた銃に薫はすくんだ。

負けじと薫も自らその銃に額をぶつけに行く。


「冗談を言ったつもりはないのだけれど?」


芯のある言葉におとぼけた顔の薫が挑発口調で司に言った。

更に大きな声を出して、


「司には彼氏がいたのか~‼」


まるで、誰かに聞いてほしいと言わんばかりの声で言う。

それを聞いた司が慌てて薫の口元を手で覆いにかかった。


「ちょっと潤さんに聞かれたらどうするの‼それに浩ちゃんは私の彼氏じゃありません‼」

「むぐー‼むぐー‼」


無理やり口を抑えられ暴れ回る薫と維持でも口を開かせない司の激しい攻防が繰り広げられる中―――


二人の喧嘩を傍観していた蓮が呆れた様子で言った。


「……二人とも。ここ、会議室なんですけど?」

「「―――ッ!」」


蓮の言葉にようやくここがどんな場所だったか思い出した司と薫は、はっとした様子で蓮の後ろに目をやった。


そこには悠然と椅子に腰掛ける御手洗の姿があった。

御手洗はこちらを睨みつけるようにして腕組をしていた。


「もっ……申し訳ありません‼御手洗指揮官‼」


司は血の気が引いた様子で謝罪の言葉を口にした。

しかし、返ってきたのは少しはにかんだ様子の表情だった。


「相変わらず仲がいい隊だな」


司と薫の様子を何も言わずに見ていた御手洗は微笑ましく笑った。


「さて、君達にも伝えなければならないからな。そろそろ話を始めさせてもらう」

「分かりました」


三人は御手洗の近くの椅子に座り、話を聞く形をとった。


「まずは……君達。赤い雲について知っているか?」

「赤い雲……?」


司と薫は当然といった様子で御手洗の問いに頷いた。

しかし、蓮一人だけは聞きなれない単語に戸惑っていた。


「ふむ、柳君が知らないのは無理もない。君は入隊して日が浅いからな」


そう言うと御手洗は、司と薫両方を見つめた。


「君達二人は……赤い雲の恐ろしさを知っているはずだろう?」


御手洗の重みのある口調に二人はゆっくりと頷いて反応を示した。

二人の頷きを確認した御手洗は、赤い雲を知らない蓮に教える。


「では、柳君のために教えよう。赤い雲とは―――通称レッドブレットと呼ばれる非常に気性が荒く、圧倒的な攻撃力の高さから海外でも恐れられている危険な厄災だ」

「そんなに危険な厄災なんですか?」

「そうだ。そして、その赤い雲は……七色のセブンクラウディの一つでもある」


七色の雲。

その単語は蓮にも聞き覚えがあった。


「七色の雲っていえばあれですよね……。特殊何とかに指定されてるっていう……えーっと……」


その先が出てこないのか。


蓮は頭を抱えて必死に絞り出そうと試みた。

その姿を見兼ねた御手洗が先に答えを述べた。


「そう。特殊S級厄災ディザスターに任命されている」

「特殊S級……」


司の顔が明らかに暗くなる。

心の内から湧き上がる寒気に両の手で自らの体を抱き上げる。


「七色の雲、いやこの場合は虹のレインボークラウディと呼んだ方が正しいか……。虹の雲はそれぞれの色によって、その強さや性質が異なる厄災。その中で一番の攻撃力を誇ると言われているのが、今回やってくる赤い雲だ」

「……」


ごくりと生唾を飲んで蓮は、御手洗の話を真剣に聞く。


「そこで今回決定した作戦は、各幹部が二手に分かれて近接部隊と射撃班という作戦が出た」

「近接部隊と射撃班ですか?」


蓮は一つ疑問に思ったことを口にした。


「射撃班は分かるんですけど……近接はどうして何すか?剣で斬れるとは到底思えないんすよね……」

「君の疑問は最もだと思う。恐らく君は赤い雲と聞いて上空の厄災だと思っただろう?」

「ええ……、まぁ……違うのですか?」

「その考えは間違ってはない。確かに上空の厄災ではあるが、赤い雲には弱点がある」

「弱点があるんですか⁉」


蓮が食い気味に反応を示すが、


「すまない。弱点というよりは……欠点に近いかもしれない」


と御手洗は言葉の語弊を謝罪した。


「そっ、それは……?」

「奴は……赤い雲は―――リーチが短いんだ」

「リーチ……?攻撃範囲が狭いってことですか?」

「その通りだ。故に赤い雲は、常に地上近い位置に居座るのだ」

「……それで近接攻撃でも届く範囲になるんですね」

「そうなるな。この作戦は幹部達が考えたものだ」

「うへぇ……、幹部ってすげぇのな」


蓮は苦虫を噛み潰した顔で司と薫の方へ向き直る。

先程まで黙っていた二人の表情はどこか浮かなかった。


「どうしたんだ?」


その様子を不思議に思った蓮が二人の顔を覗き込むが……。

やはり、暗い顔をしたまま二人は黙りこくっていた。


「……」


司と薫の表情を見ていた御手洗は、その心中を察していた。


「そうか……。赤い雲はあいつにとっては天敵になるな……」

「「……っ」」


御手洗の言葉に二人は体を震わして反応させた。


「あいつ?」


蓮は御手洗が言った言葉の意味を理解出来ないでいた。


「まぁ、君には彼女達から説明を貰った方がいいだろう」


そう言って御手洗は三人から視線を切ると、腰掛けていた椅子から徐に立ち上がった。


「さて、君達には射撃班と共に赤い雲の星々の源の破壊に務めてくれ」


御手洗は腕を後ろに組み三人に背中を向けた状態で言った。

ふと、蓮は思い出したように言う。


「そう言えば、なんで俺達三人だけ呼ばれたんですか?」


御手洗は一つ鼻で笑って答えた。

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