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あぁ、ついてねぇ……
少しだけ……そう、少しだけ皆より運がなかった。
ジャンケンをやれば10戦6敗、楽しみな日は曇り空、
時々財布も落としちゃったりする。
そんな冴えない俺は今………
ちょっと死にそうです
「ぐおぉ!!」
すぐ隣から爆撃のような音が鳴り、風圧で体が弾け飛ぶ。
片手に剣を握った栗色の頭髪の少年は何とか体勢を整え距離を取る。
目の前の筋骨隆々の化物はそうはさせじと巨大な棍棒を振りかぶりつつ躍りかかる。
「ちょ、まてっ!!」
破壊力抜群の横凪ぎを少年は転がるように避け、腰の袋から閃光弾を取りだし地面に叩き付ける。
目映いばかりの光が溢れだし化物の視界を一時的に奪うと少年は今度こそ距離を取り、何か使える物は無いかと周囲に目を走らせる。
生憎周りには倒れて動かなくなった仲間達しか見えない。
少年は剣を構えつつこう呟く
「あぁ、ついてねぇ……」