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第89話:レヴォリューション

「いかせない……。ガイム様、あなたは、おしおきの時間です」


 イクサは倉庫の上空を飛ぶガイムに向かって、言葉を落とす。

 そんなイクサの姿を見たガイムは、大声で返事を返した。


「はぁ!? 今何か言ったか!? 小さすぎて聞こえないよ!」

「今聞こえる必要はありません。あなたはもうすぐ、ここに来るのですから」


 イクサはゆっくりとした動作で天空に向けて右手を挙げ、瞳を閉じる。

 その様子を見ていたリリィは、声を荒げた。


「イクサ、何をするつもりか知らないが、やめておけ! あの距離でお前の攻撃は届かない!」


 リリィはイクサの身を心配し、言葉をぶつける。

 しかしイクサは瞳を閉じたまま、返事を返した。


「心配いりません、リリィ様。私は私のすべきことを、ただするだけです」


 イクサはゆっくりと、しかし確実に、言葉をリリィへと届ける。

 リリィがその言葉の意味を探ろうと、口を開いた瞬間……黄緑色の光が天空から降り注ぎ、イクサを包んだ。


「なっ……これは、一体!?」


 イクサは天空から差し込んできた黄緑色の光に包まれ、リリィ達はその光の眩しさに目を細める。

 やがてその黄緑色の光から、電子的な声が響いてきた。


CheckingMainSystem. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . OK_


RevolutionDriverLoading. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . OK_


RevolutionSystem. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .Unlock_


Type. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .Shooter_


AreYouReady? . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .


REVOLUTION_


「はああああああああああああああああああああ!」


 イクサは黄緑色の光に包まれながら、大声で叫ぶ。

 その光の中で、イクサの腕に様々な機械的パーツがいくつも創造され、イクサの右腕に装着されていく。

 やがてそれらのパーツは、右腕に装着された巨大な機構銃へと変貌した。

 黄緑色の光が無くなった頃、イクサの右腕には巨大な機構銃が装着され、その大きさは大人三人分はあろうかという大きさだ。

 やがてその機構銃の銃身から、いくつもの杭が地面へと打ち込まれ、銃身を地面へと固定する。

 そしてイクサはその銃口を、上空のガイムへと向けた。


「な、なんだその銃は! どこから出した!? いや、まあいい! このボクに当たるわけがないんだからな!」


 ガイムは上空からイクサの様子を見ると、楽しそうに笑いながら言葉を発する。

 イクサは無表情のままガイムを見つめ、トリガーに指をかけた。

 その瞬間、機構銃の銃身からスコープが創造され、イクサの瞳の前へと出現する。

 スコープを通してガイムを見据えたイクサは、落ち着いた様子で言葉を返した。


「対象は飛行中。それによる誤差を修正…………完了。発射します」


 イクサは自身の言葉に合わせてトリガーを引き、巨大な機構銃の銃口から、極太のビームがガイムに向かって放たれる。

 ガイムは回避運動をとっていたが完全に先を読まれ、右足にビームを命中させられた。


「なっ……!? ば、馬鹿な! このZ04の足を、ふっ飛ばした!? どういう出力なんだその銃は!」


 ガイムは取り乱した様子で必死に空中でバランスを取り、やがてZ04の腰元にある銃を取り出す。

 かろうじて空中に留まったガイムはZ04を操り、イクサに向かって2発のビームを放った。


「くそっ! これで、これで終わりだああ!」


 ガイムの放ったビームは、真っ直ぐにイクサへと伸びていく。

 しかしそのビームがイクサに激突しようかという刹那、リリィとアニキはそれぞれ剣と拳で、ガイムのビームを掻き消した。


「危ないところだったな……イクサ。大丈夫か?」

「へっ。ったく、一発で決めやがれってんだ」


 二人はそれぞれ空中で、イクサへと声をかける。

 イクサは「ありがとうございます。マスター、リリィ様」と、無表情ながら返事を返していた。

 一方ガイムは己のビームが掻き消されたことに驚き、驚愕に声を荒げる。


「はあああああああああ!? び、ビームを物理攻撃で掻き消した!? 化け物か貴様ら!」


 声を荒げるガイム。リリィとアニキは共に地面へと降り立ち、そんなガイムを真っ直ぐに睨み付けた。


「イクサ……お前のやるべきことは、まだ済んでいないだろう?」


 リリィはイクサの方を見ることもなく、言葉を紡ぐ。

 その言葉を受けたイクサは、銃を構えた状態のまま返事を返した。


「もちろんです。対象が動かない今、勝敗を決します」


 イクサは再びトリガーに指をかけ、誤差を修正する。

 やがて目を見開きながら、声を発した。


「誤差修正、完了。……これで、終わりです」


 イクサは角度を微妙に調整しながら、トリガーを連続して引く。

 複数発射されたビームはやがて、Z04の残っていた手足を、跡形もなく吹き飛ばした。


「ぐっ!? くそおおおお! まだだ! まだ頭部が残ってる!」


 ガイムは四肢を吹き飛ばされたことに憤怒しながらも、Z04を操作する。

 するとZ04の頭部パーツが開き、銃口がその姿を現した。


「しかし、遅すぎます。……これで決着です」


 イクサはZ04の頭部へと銃口を合わせ、即座にトリガーを引く。

 結果、イクサから放たれたビームはZ04の頭部を吹き飛ばし、それは同時に、Z04の戦闘継続が不可能であることを示していた。


「なっ!? くそっ! くそおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 ガイムは半狂乱になって叫びながらリュックを背負い、Z04のコックピットから飛び降りる。

 やがてリュックから開かれたパラシュートによって、ゆっくりと倉庫に向かって降下してくるガイム。

 それと同時に王国騎士団が、倉庫へと踏み込んできた。


「我々は、王国騎士団である! ガイム=パラドック! 王国制空圏無断飛行の罪で、貴様を逮捕する!」


 踏み込んできた騎士は魔術機構を使用した鎧を身に纏い、空中にいるガイムに向かって言葉をぶつける。

 ガイムはその言葉を受けると、がっくりと力なく項垂れた。

 イクサは「兵装解除」と呟き、その瞬間、右腕に装着されていた機構銃は空中に四散する。

四散したパーツはすぐに黄緑色の光になり、やがて風に運ばれて空へと消えていった。

 兵装を解除したイクサはR02の下へと歩み寄り、撃ちぬかれたその胸を、優しく撫でる。


「あなたのご主人は……無事です。終わりましたよ、R02様」


 イクサは無表情ながら、悲しそうに瞳を伏せて、言葉を落とす。

 R02はただ沈黙を守ったまま、しかしどこか嬉しそうに、イクサの言葉を受け止めていた。


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