表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/262

第79話:機構都市カラクティアへ

「……で、これからどうすんだ? 旅は続けるんだろ?」


 アニキは頭の後ろで手を組みながら、抱き合っている女性陣へと声をかける。

 その声を聞いた女性陣は抱き合っていた腕を解くと、アニキへと返事を返した。


「ふむ。とりあえずは大きな街に行って、リースの母親とロードの情報を探してみよう。この街では得られる情報に限りがあるからな」

「あたしはね~、なんか美味いもの食べたいな! ここのご飯って美味しいのかな!?」

「私はマスターに付いていきます」

「バラバラじゃねーか! 統一させてから話せよお前ら!」


 それぞれ別の事を話す女性陣に、ツッコミを入れるアニキ。

 リースはそんなアニキへ、まあまあと声をかけながら言葉を紡いだ。


「アニキさん。とりあえずみんなで次の行き先を決めようよ。竜族の追っ手もあって、ここに長居はできないんだし……」

「ちっ。そうだな。めんどくせーからさっさと決めようぜ」


 アニキは腕を組みながら舌打ちを鳴らし、言葉を発する。

 リリィはみんなの方へ身体を向けると、言葉を紡いだ。


「ふむ、思ったのだが。私の意見である“大きな街”に行けば、美味しいものも食べられるのではないか?」


 リリィはアスカへと目配せしながら、言葉を発する。

 その言葉を受けたアスカは、驚きに両目を見開いた。


「あ、そっかー! リリィっちナイスアイディア!」


 アスカはリリィの言葉に同調し、ぐっと親指を立てて突き出す。

 その様子を見たアニキは、腕を組んだまま言葉を発した。


「決まりだな。じゃあ町長のじーさんにでかい街の場所聞いて、さっさと出発しようぜ」

「いやだから、じーさんとか言うなと……まあいい。私が聞こう」


 リリィは相変わらず失礼なアニキの言動に頭を抱えながら、言葉を紡ぐ。

 そんな一行の会話が一段落ついた頃、控えめに書斎のドアが開かれた。


「皆さん、調子はどうですかな? 何か分かったことはありましたでしょうか」


 町長は杖をついた状態で、穏やかな笑顔を浮かべながら一行へと言葉を紡ぐ。

 リリィはポリポリと頬を搔き、そんな町長へと返事を返した。


「あー、それなんですが。彼女の言葉の理解はできませんでした。というよりそれより先に、彼女が私達に合わせてくれました」


 リリィは部屋に入ってきた町長に対し、言葉を紡ぐ。

 その言葉を受けた町長は、不思議そうに首を傾げた。


「??? それは、どういう―――」

「マスター。この方はどなたでしょうか」

「あれっ!? 現代語を喋ってる!? お話できたのですか!?」


 町長は目を見開き、普通に話をしているイクサを見つめる。

 リリィはどう説明したものかと悩みながら、やがて言葉を発した。


「あー、まあその、そうなんです。どうやら彼女、現代語も話せたようです」

「そうですか……いや、それなら何よりです。意思疎通できないと何かとご不便もありましょうからな」


 町長はほっほっほと笑い、リリィへと言葉を返す。

 リリィは心中で『数分で現代語を習得したと言っても驚かせるだけだしな……』と呟き、そんな町長へと笑顔を返した。


「ええ、そうなんです。それで少しお伺いしたいのですが、この街の近辺でどこか、大きな都市はありますでしょうか」


 街の町長に向かって「大きな街はあるか」と質問するのも多少失礼な気もするが、今はそうも言っていられない。

 リリィは少しだけドキドキしながら、町長へと質問した。


「ああ、それでしたら。“機構都市カラクティア”が最も近いですな。丁度地図を持っていますから、よろしければ差し上げましょう」

「あっ、も、申し訳ない。遠慮なく頂戴します」


 リリィは町長から手渡された地図を広げ、カラクティアの文字を探す。

 町長はゆっくりとした歩調で地図へと近づくと、指先で一点を指し示した。


「カラクティアはこちらですね。この街からは丁度南に位置していますから、南門を出て真っ直ぐに進めば難なく到着できるはずです」

「ん……なるほど。承知しました。重ね重ねありがとうございます」


 リリィは町長に感謝し、小さく頭を下げる。

 町長はほっほっほと笑いながら、「いえいえ、どうぞお気になさらず」と返事を返した。


「よぉし、じゃあ早速、機構都市へレッツゴー!」

「おー!」


 アスカは突然右手を天に突き上げ、言葉を発する。

 リースはそれに同調し、同じように右手を突き上げた。

 こうして一行は、機構都市カラクティアに向けて進路を取り、旅路を続ける。

 そのカラクティアで大きな事件に巻き込まれるとは、知る由もなく―――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ