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第165話:見えない攻撃

「よし、これから作戦を開始する! まずはアスカ、頼むぞ!」

「あいあーい。頑張りますよっと」


 アスカは両手に刀を持った状態でステップを踏み、その足が地面に着いた瞬間にドラゴンへとダッシュをかける。

 その速度は凄まじく、衝撃波によって周囲の水晶体は軒並み吹き飛ばされ、粉々になった水晶たちがキラキラと光を反射した。


『グォオオオオオオオオオオオ!』


 ドラゴンは自身に匹敵するその速度に脅威を感じたのか、標的をアスカに絞ると、その両翼を広げて一瞬にして後ろへと後退する。

 そんなドラゴンの口が開かれ、その口の中に嫌なものを感じたアスカは、咄嗟にドラゴンとの距離を詰め、口の直線状から姿を消す。

 距離を詰めたアスカが立っていた場所は、ドラゴンの口から発射された衝撃波によって巨大な穴が開き、家一軒が入りそうな奈落を作り出す。

 どう考えても殺傷力のあるその威力を見たアスカは、額から冷たい汗を流しながら頭を振って叫んだ。


「あ、あっぶねえええ!? 何今のドラゴンブレス!? ドラゴンブレスって炎じゃないのん!?」


 アスカは驚愕に目を丸くし、半狂乱になって叫ぶ。

 そんなアスカを見たリリィは、片手をメガホンのようにして叫んだ。


「伝説によると、ウィンドドラゴンのブレスはウィンドブレスだ! 攻撃のモーションしかヒントはないから、口と目の動きから着弾地点を予想し、できれば相手との距離を縮めるイメージで回避しろ!」

「長くてわかんないよぉ! もっとわかりやすく言って!」


 アスカは高速でウィンドドラゴンの周囲を回って時間を稼ぎながら、リリィに向かって言葉を返す。

 そんなアスカの言葉を受けたリリィは、ボリボリと頭を搔いて返事を返した。


「あいつのブレスは見えなくて危ないから、気をつけろ!」

「わかりやすくてありがたいわぁ!」


 アスカはにいっと笑いながら返事を返し、ウィンドドラゴンの攻撃を回避しながら返事を返す。

 ただ笑顔は浮かべているものの、その表情は引きつっていて余裕がない。

 ウィンドドラゴンとアスカのスピードはほぼ互角。ということは単純に考えると、体が大きい方が有利だ。

 つまり―――


「つまりあたし、だいぶやばいんでない!? おぶふぉ!」


 前髪に触れた衝撃波に反応し、咄嗟に横っ飛びすることで透明なドラゴンブレスを回避するアスカ。

 その袴はいつのまにかボロボロになっており、回避だけでも命がけであることが容易に想像できた。


「アスカの体力も限界か……よし! 次のドラゴンブレスのモーションで仕掛けるぞ! カレンも準備はいいか!」

「あいよ! お姉ちゃん、手伝って!」

「……っ!」


 カレンは腰元に下げた西洋剣を抜きながら、こくこくと頷いて見せる。

 そんなカレンの様子を見たリリィは、深呼吸しながらステップを踏み、地面に足が着くのと同時にスタートを切った―――






「あいつら頑張ってんな……こっちも始めるぜ、リース! イクサ!」

「う、うん! でも、一体何を始めるの!?」


 リースは斜めがけした鞄の紐を強く握り、慌てた様子でアニキへと返事を返す。

 アニキは笑いながら、そんなリースへと返事を返した。


「へっ、おめえがやることはひとつだけだ! 俺の右拳に、あいつを倒せるだけの力をくれ!」


 アニキは歯を見せて笑いながら、リースの目の前に包帯で巻かれた拳を突き出す。

 そんなアニキの拳と言葉を受けとったリースは、アニキの意図するところを汲み取った。


「そっか……手甲練成。ブックマーカーでやった時と同じだね!?」


 リースは確認する意味を込めて、アニキに向けて言葉を発する。

 その答えに満足したアニキは、頷きながら返事を返した。


「おう! 俺の右腕やっから、てめえの好きなようにやってみろ!」


 アニキは歯を見せて笑いながら、ブックマーカーの時と同じようにリースに向かって言葉を発する。

 そんなアニキの言葉を受けたリースは、アニキの右腕に向かって両手を掲げながら真剣な表情でこくりと頷いた。


「よし、手甲を―――え、イクサさん!? どうしたの!?」


 イクサは突き出されていたリースの右手を突然ぎゅっと握り、目を瞑って瞑想する。

 そんなイクサの姿を見たリースは驚きに目を見開いていたが、やがてイクサはその目を開いて返事を返した。


「……習得完了しました、リース様。少々お待ちください」


 イクサは片手を天井に向け、再びその目を閉じる。

 やがて天井から差し込んできた黄緑色の光に包まれ、リースとアニキはその光の眩しさに目を細める。

 イクサを包んだその黄緑色の光から、電子的な声が響いてきた。


CheckingMainSystem. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . OK_


RevolutionDriverLoading. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . OK_


RevolutionSystem. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .Unlock_


Type. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . Creator_


AreYouReady? . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .


REVOLUTION_


「はああああああああああああああああああああ!」


 イクサは黄緑色の光に包まれながら、大声で叫ぶ。

 その光の中で、イクサの肩の辺りからは白いマントが創造され、その身体を包み込む。

 その後目元には白いフレームのメガネが装着され、首元に白いファーの付けられたマントを風に靡かせながら、イクサは真っ直ぐにアニキの右腕を見据えていた。


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