しのちゃんとはるくん【ぱーと2】
なんて、おかしな事を考えちゃう程今、頭の中真っ白だよ!
うぅ…どうしよう、どうしよう、どうしよう!?
と、さっきからずっとパニックを起こしてオロオロしていると
「どう?鼻血止まった?」
神さまが顔を覗きこんできた。
癖っ毛のない黒髪、真っ直ぐにわたしを見つめる瞳…でも、その瞳は、わたしを見ていない気がした。なんて言ったらいいのかわかんないけど、『わたし』じゃない、何かを見ている気がした。
「うん…止まったよ。ありがとう、はるくん」
「そっか…よかった。ところでさ、なんで走ってたの?危ないよ?」
「え?あ、うん…えぇーと、ねぇ…あはは」
…どうしよう、はるくんの後を追って観察しようと思ってたなんて言えない…言っちゃいけない…軽く死ねる。うぅ…それに、わたしの答えを待ってくれてるはるくんの視線が痛い。
「あぁ…っと、ちょっと急いでて…」
「あっ、そうなんだ」
「うん…そうなの」
「へぇ…」
「………あ、じゃあ、わたし帰るね!」
無言タイムは苦手だし、そもそもはるくんと二人きりっていうのも、もうそろそろ限界だし(わたしの許容量が)。だから、慌てて帰ろうとする。
「じゃ!ありがとね‼バイバイ!!」
許容量が限界突破して、口調とかテンションとか崩壊気味だけど、それよりもこのいたたまれない空気から早く脱出しなければっ‼
「待って、沢田さん」
わたしの手を掴み、
「急いでるのはわかってるんだけど、ちょっといい?」
「はひっ!?」
ぐっと引き寄せてきた。そのまま、はるくんの胸にin。あっ、いい匂い…じゅるり。
「あっ、あう…そのー……な、なんでしょうか?」
「え、あ…うん……えっと…ごめんやっぱなんでもない」
と、意味深な間を開けながら言い、離してくれた。
「…へ?そう、なんだ…じゃ、じゃあ今度こそ帰るね!」
その場から逃げるように、たったかと走り去っていくわたし。はるくんってあんな感じだったっけ…。
「あー…うん、ほんとごめん。忘れて。…じゃあ、ね。またね、沢田さん」
そう言ってた気がしたけど、もうわたしの耳には届かなかった。
だって、はるくんがお姫さま抱っこしてくれていい匂いがして鼻血の手当てもしてくれて帰ろうとしたら掴まえて抱き寄せていい匂いがしてはにかんでくれたんだよ!!
わたし、もう、いっぱいいっぱいなんだよ!!!!!!!
はわわわわわ…あしたからきっと悪いことがいっぱい待ってるんだろうなぁ、HAHAHAHA、死にそう。嬉しいのと、ちょっとした絶望で死にそう。
あっ、でも明日また、はるくんに会えるんだもんね。
「“またね”だって…ふへっ……ふへへへへ、じゅる、あ、涎が」
なんて、浮かれていたわたしが今、ものすんごく憎い。
だってあしたは、
「なんで土曜日なのー‼」
あぁ…死ぬ、間違いなく死んじゃう。ぬうぉおおおお…はるくんが足りん。
「しのー、晩ご飯よー。今日は、しのの大好きなカレー…ってどうしたの?具合でも悪いの?」
「あ…お母さん。いや、別に具合が悪い訳じゃないよ」
「ふぅーん、ま、とりあえずご飯食べに来なさいよ」
「はーい、行くよー。もうちょっとあとに」
「…何かあったの?」
「うーん…あったと言えばあったね」
「ほれ、言ってみなさんな」
「えぇー……言わなきゃダメ?」
「うんうん!聞きたい‼」
お母さん、今、凄く子どもみたい…というか、年頃の娘に何を期待してんの…。ま、オブラートに包んで言えば問題ないかなぁ?
「えっと、簡単に言うと
クラスメートの前でズッこけて、保健室に連れていってくれたあとに、手当てもしてくれた」
「なるほどね…好きな男の子にお姫さま抱っこされて、嬉しかったと」
「まぁ、そゆこと…ってなんで知ってんの!?」
「さっき、ふうかちゃんから電話があってねぇ、教えてくれたのよ」
むっ‼ふぅちゃん…余計なことを……てか、見てたんだ…。うわぁ…恥ずかしい‼
「なんでも、お宅のしのちゃんが電話に出ないので安否確認を、だって~。ふうかちゃんやっぱり面白い子よねぇ?」
「あぁ…うん、そだね。はは、ハハハハ。どこまで知ってるの!」
「ん~?さぁねぇ?」
…なにこの母親。こんな母親を持った子どもは大変だろうなぁ…それ、わたしだよ。
「はぁ……そうだけど?なに?てゆーか、なに思春期の娘に言わせてんのよ!」
「むふふ~♪だって面白いじゃない?あぁ、若いなぁってね」
「…もうっ‼からかってんの!?」
「そんなつもりはないんだけどね~」
「むー…晩ご飯、晩ご飯食べよ!ね、早く食べよう‼冷めちゃう‼」
とにかくこの話はもう2度とお母さんとはしたくない……。
お母さんをおいてけぼりにして、ご飯を食べにリビングに降りる。
カレーのいい匂いだぁ…お腹すいてきちゃった。
カレーを皿に盛りつつ、降りてきたお母さんに
「お父さん今日も遅いの?」
「ん~まだ、帰るーってメール来てないわねぇ」
「ふーん」
と、まぁ…当たり障りのない話をしてるように見えるかもしれないけど、今お母さんスゴくニヤついてます。そんなお母さんの視線を気にしないようにしながら、カレーを食べる…なにこれ。……これだからお母さんには知られたくなかったんだよねぇ…。
昔から、ノリがいい母親だったからそんな気はしてたんだよ。うん。そのノリのよさが、ちょっとした事故は起こして、それからは、絶対に言わないし知られないようにしてきたのに…ふぅちゃん、絶対面白がってるだろうなぁ…わたし、分かりやす過ぎってよく言われるし…
「はぁ…」
「あらあら?悩み事?」
「お母さんはもう黙ってて!」
「それは無理じゃないかしら?」
「むっ……前にも、1回やらかしてるんだから、絶対に干渉しないでね!!」
「わかったわかった…じゃあ、しっかり頑張んなさいよ」
「…言われなくてもそうするもん!」
あっ…勢いで言っちゃったけど、わたし自身、進むことを望んでいるのかなぁ…?
ども、孤月です(*`・ω・)ゞ
投稿遅くなりましてすみません(._.)
ま、諸事情…てかただリアルが忙しいだけなんですけどね。それで遅れました。
おかしい…俺、リアルより虹派なのに…画面の中で暮らしたいのに、まだむりですね(ヾノ・∀・`)。
それはどうでもいいとして、今回お母さん出てきましたね。
思ってたよりもなんかノリがいいお母さんでしたね。あんなお母さんいたら、なんかやだな。
と、いうことで、夏休みに入ってない…ですけど、夏休みには頑張って更新します。…出来れば、2桁更新したい…無理かもしれん。うん。頑張る。応援してね。誰も見てないんじゃないかと心配になるけど、きっと居るよね‼見てくれる人が(涙)!!