山茶花
山茶花ばかりに目がいくから
もうずっと山茶花のことを考えていたい
なんて色濃くて際立って
なんて憎い花だろう
芳香な花は冬をすんなり越えてしまう
山茶花に浸っていたいけれど
通りすぎる足は忘れるため
もう次のしがらみが絡み付く
結局は罪深さが邪魔をする
たくさんの君を想う
1の君 から1000の君
記憶から自由に抜け出す君
重なる闇に塗り潰される君
一夜だけの君
一度だけの君
生身の温もり
知り尽くした君
愛のいらない愛撫
初めまして
さようなら
一人きりの僕
何のために戦ってきたのか
理由もわからず飛び込んで
代償の波に揉まれてまだ濡れ続け
それでも愛も哀も価値は残るのだと
搾り出したカタチはまだ未完成だけれど
その先をまだ知らないのなら
山茶花の事を考えよう
冬をわたるために
色濃く変わりはしないかもしれない
でも足を引きずりながら
ただ山茶花のことだけを考える