推測
3話目です。
《元凶》は一体誰なのか…?
そこに目を向けて読んでいただけると嬉しいです。
では、どうぞm(__)m
先ほど目玉に囲まれた場所。
そこから10分ほど歩くと、浅野目家に着く。
母親に言い訳できないため、香純には本に入ってもらっている。
「ただいま~…」
玄関に足を踏み入れる。
「おかえりなさい」
母親の声がした。
正確には、血の繋がらない母親の声だ。
遼の家族は自分と母親の美和、妹の梨美3人。
正直言って居心地はよくない。
梨美はまだしも、美和は完全なる他人なのだ。
だから彼女の注いでくれる愛情を心のどこかで疑ってしまう。
悪いとは思う。
しかし、罪悪感よりも猜疑心が勝ってしまうのだ。
「……また『あの子』のところに行ってたの?」
リビングの前を通りすぎたとき、美和に声をかけられた。
「……今日は違うよ」
俯き気味になって答える。
「そう……いい加減、忘れたほうがいいんじゃない?」
そう続けられて、頭に血が上りそうになるのを拳をきつく握りしめて必死に堪える。
「……うん。わかってるけど…ごめんなさい」
それだけ言うと、遼は自分の部屋に向かうべく階段を駆け上った。
部屋に入り、ドアを閉める。
途端に持っていた本が勝手に開き、中から文字列と共に香純が飛び出してきた。
「……雰囲気の悪い家ね。相変わらず」
「はは……」
自嘲的に笑う遼に、彼女は続けた。
「……貴方のことはいつか聞かせてもらうとして。とりあえず今は《怪奇現象》の《元凶》探しね」
一息。
「……まず目に関することだけど、万物照覧という意味合いが強いわ。でも今回の場合、塀から出てきたことがポイントになるわね」
「そうなのか……」
遼は曖昧な返事をし、携帯電話を取り出した。
途端に、香純の顔が不機嫌に歪む。
「話聞いてるの?」
声も少し苛立っている。
しかし、彼は目線を液晶画面に落としたままだ。
でもそれには彼なりの理由がある。
怖いのだ。
瞬きをする度に、あの光景が――塀に現れた目に突き刺さった鉄パイプが、飛び散った血飛沫が――瞼の裏に蘇ってくるのだった。
だからといって、特にやることもなく、仕方なくワンセグに切り替えた。
いつもこの時間帯にやっている、ワイドショーが表示される。
灰色っぽいスーツを着た女性アナウンサーが、本日の特集を読み上げた。
『タレントの賀張ゆきさんがインタビューに答えてくれました……』
上の空で聞き流していると、画面に綺麗な女性が映し出された。
いや、女性というよりは女子かもしれない。
年格好は17、8歳というところだろうか。
亜麻色の髪は肩の下辺りで切り揃えられている。
細身に似合う白いワンピースはシンプルではあったが、彼女を際立たせるには十分すぎるほどだった。
アナウンサーの質問ににこやかに答える賀張ゆきの声。
『明日から3日間、○○市でイベントがあるんです』
それは、遼たちの住む街の名前だった。
日付から考えるに、
「へ~…今日この街に賀張ゆき来てるんだ」
その瞬間、香純がものすごい勢いでこちらを振り向いた。
「その人は芸能人なの!?」
「そうだけど…それがどうかした?」
香純が深刻に俯く。
「人との繋がりが広い人は《元凶》になりやすいわ。それに…」
続けた。
「芸能人は、人目を避ける人が多いの」
いかがでしたか?
突然浮上してきた《元凶》候補・賀張ゆき。
本当に彼女が《元凶》なのか……?
では、4話目でお会いしましょう。




