第4話転校生①
遅くなりました
チャイムと共に一日が始まり
朝のSHRで教師から驚きの事実が投下される
『今日から転校生が来ることになった
2人』
教師がそう言い終わると同時に教室のドアが開き2人の少女が入室してくる
『お、おぉ』
何人かの男子生徒からそんな声が上がる
俺は列の最後尾だからそれほど顔までが鮮明に見える訳では無いが雰囲気だけでも美形
だが、俺はこの美形の2人に見覚えがあった
『まずい!遅刻する』
寝坊した俺はチャイムの音を求めて走り出す
もちろんシフォンケーキと食べながら
(戟くん!頑張って!)
俺は丁字路に差し掛かった
ここを右に曲がれば学校が見えてくる
どうやらチャイムと俺との競争は俺が制してしまったようだ
だが、世の中はそうスムーズに進まない
何らかの障害が付き物なのだ
『ドーン』
鈍い音と共に3人の男女が尻もちを着く
丁字路で3人がぶつかるという歩行者には到底ありえない事故が起きていた
『すみま……』
3人が同時に謝ろうとするが、『なにか』を感じ取り言葉を閉ざす
3人はしばらく見つめあったあと、何も言わずに駆け出した
チャイムは既になり始めていた
だが、俺には心に決めた彼女が……
まぁ、そんなこんなで転入生ふたりが黒板の前に立ち
名前を書く
『真 香乱』
『マッカーロン』
転校生の名前を見たところで俺は机に突っ伏して眠る
別に転入生ふたりに興味は無いし、気づかれたくもない
出来れば今朝の出来事はなかったことになってもらいたい
お、俺の愛する彼女が衝撃で……
道に落ちて……
今思い出しても悲しい事件だった
ふて寝していた俺だが、先生のこの言葉はさすがに聞き捨てならなかった
『じゃあ、2人は……
おっ、詩帆の隣が空いてるな
そこにいってくれ』
何故か空席だった俺の両隣の席(いじめか?いじめなのか?)に2人は誘導され着席する
『色々分からないこともあるだろうから詩帆に色々教えて貰ってくれ』
絶対もっと適任者がいたはず
『あ!あなた!!
今朝の!』
『ぁ、ほんと…』
俺は渋々顔を上げる
『今朝は……
ごめん』
『いやいや、みんな急いでたしさ!
おあいこってコトで!』
ハハッとバツが悪そうに笑う
『そうね』
声的に、こっちの元気っ子がマッカーロンさんでこっちのクールっ子が真 香乱さんか
2人はアメリカ育ちと中国育ちらしいぞ
ちなみに俺の右隣がマッカーロンさん
左隣が真 香乱さんだ
『ところで、あなた…』
香乱さんが話しかけてくる
なんだ一体
『今日の放課後
校舎裏に来て』
耳元でそんなことを呟かれてしまっては、俺に彼女がいなければトキメキ散らしていたところだが、今の俺は平常心を保っていた
恐ろしいほど俺の心はなびかなかった
放課後
『早かったわね』
同時にSHRを終え席を立ったはずが、何故か俺の方が到着が早かった
まぁ、年季の差ってやつだろう
『それで?なんの用なんだ』
香乱さんは黙る
ひと時の沈黙が流れたあとやっと口を開いた
『私の甘味能力はマカロンよ
さぁ、あなたのスイーツを出しなさい』
そう言って胡乱さんはポケットから茶色いマカロンを取り出した
『え?ちょ?
甘味能力??なんだよそれ
急に意味わかんねーよ』
『シラを切るのね
そう、わかったわ
使わないといけない状況にしてあげる』
『マカロンちゃん
力を貸して』
そう言いながら、香乱さんはマカロンを1口かじる
???(おう!やってやろうじゃねえーか!)
なんだよ!一体何が起こってるんだ…
香乱さん…一体何者なんだ…
『私の甘味能力の能力は「砕く」
その力は文字通り全てを砕く』
なんだ厨二病か
少し安心した俺に再び激震が走る
ここは校舎裏、つまり校舎の後ろ側なのだ
いや、違う某政治家構文のつもりじゃない
俺も動揺してるんだ
『壁が……』
香乱さんが壁に手を触れると俺の真横にあった校舎の壁にまで亀裂が伝播し崩れる
マジック、トリック
いや、そんなちゃちなものじゃない
『本物のちょうの…』
『戟ーーーー!
助けなさーい!』
どこからか聞き馴染みのある声が聞こえる
後ろを振り向くとそこにはマッカーロンさんから逃げる賀當緒恋良がいた
次は賀當緒恋良の回想だと思います