大団円おめでとう記念! 最初で最後の全員参加の座談会!
ネタバレ満載です。
本編終了後、お暇な方のみどうぞ。
ちなみに、内容は連載当時のものです。
「ありがとうございます! ありがとうございます!! 皆様のおかげで無事最終回を迎えることができました! ここまで長々とお付き合いいただきました皆様、本当にありがとうございますー!」と、サザン。
「そして出演者の皆様、大変お疲れ様でした」と、クララ。
「いやはやいやはや、早いものですねー。掲載四十回! 予定オーバー! とはいえ、よくもまあ、挫折もせず、完結しました。飽きっぽい作者にしてはよく頑張りましたよ、ええ、ほんと」と、サザン。
「さて、本日は座談会の場を設けさせていただきました。これより先は、ネタばれ、オチなし、本物語にはまったく関係なくもないけれど読んでも読まなくても支障がありませんので、お暇な方のみどうぞ」と、クララ。
「司会は毎度おなじみ私サザン・イルエルクと不肖わたくしめの助手クララ・ノートンにてお送りいたします! さっそくいきましょう!」と、サザン。
「あんた美人だね。俺の女になるかい?」と、クライドディラー(役)。
「こらこら、ひとの助手を口説かないように」と、サザン。
「……そういえば、全員が揃うなんてはじめてじゃねぇ?」と、ケインウェイ。
「おかげで暑苦しい。ただ単に、これだけの頭数を会話させるほどの能がなかったんだろ」と、リカール。
「まずは、出演者の皆さまからの疑問・質問・苦情などをお題にしてみましたー!」と、サザン。
「“この話のどこがファンタジーですか?”です。お題提供者はカグセヴァ殿です」と、クララ。
「それを言うのか」とルイズ。
「そうです。禁句でしょう」と、ルカ。
「俗にいう、広義の意味でのファンタジーにあたるのではないですか」と、エストレーン卿。
「俺、ファンタジーってさ、お姫様が悪者に攫われて王子とか勇者が助けに行くーとか、それで竜とか魔法使いとか出てきてドカドカ戦いまくるーとか、そういう話かと思ってたよ」と、ケインウェイ。
「……君、それを我々ができると思っているのですか」と、セラ。
「わ、わたくしは無理ですよ」と、王妃。
「わ、わしも無理だ」と、王。
「僕だるいですー」と、スライエン。
「やるなら勝手にやってくれ。ふぁ……。眠くなってきた。カグセヴァ、膝を貸せ」と、シノン。
「胸を貸します。どうぞ?」と、カグセヴァ。
「寝るなシノン。おまえが主役だろう」と、リカール。
「あの……そういうお話は他の方々がたくさん書かれているからわたくしたちが参加せずともよろしいのではないでしょうか? 作者が申しますには、他の方々が書かれていないものを書きたいー、ということですので……」と、ルネーラ。
「ありえませんわね。人間が考えることはたいてい前に他の人間に考えられているものですわ」と、ミアンサ。
「第一、どんな話を書くにせよ、技量不足なのでは?」と、エストレーン卿。
「あ。痛いところを突かれたようです。がっくりしております。次いきましょう」とサザン。
「“なぜこの話を選んだのですか?”です。お題提供者はルカ殿です」と、クララ。
「またどうでもいいことを」と、リカール。
「うぜぇこと言ってんじゃねぇよ。誰か作者絞めてこい!」と、ケインウェイ。
「確か、候補プロットの中では一番短かったのではないですか?」と、カグセヴァ。
「そう。それに、能天気で単純明快でお気楽で平和的解決が見込めたから、はじめの挨拶代りにはいいと思ったらしいな」と、シノン。
「そうなんですー。大団円ー、ハッピーエンドー、全面解決ー。僕うれしいですー、ルカ好きですー」と、スライエン。
「私もミアンサを妃にできたからな、物語には満足している。が、挨拶代りには長いだろう」と、ルイズ。
「おそらく文庫本二冊ぐらいですって」と、ルネーラ。
「でも、カグセヴァよかったじゃん」と、ケインウェイ。
「なにがです?」と、カグセヴァ。
「おまえプロット荒らしなんだって? 作者がおまえの名前をえらく気に入っていてさ、いろーんなプロット組み立てて登場させたのに、あまりにもプロットに力が入りすぎて物語る前に挫折、頓挫、中断、保留、って散々な憂き目に遭っているらしいじゃん。で、渡り歩いて、各地遍歴の末、ようやくこの話に辿り着いて、シアワセになったらしいからさ」と、ケインウェイ。
「まだわかりませんよ? シアワセとは長続きしないものです。考えたのですが、人妻を略奪愛というのもなかなか乙ですよね」と、セラ。
「……喧嘩を売られているようですが、やはり買うべきでしょうね、これは」と、カグセヴァ。
「二度も同じ相手に負ける私だと思うのか?」と、セラ。
「ちょっと待ったあー! 皆様、静粛に! もっと穏便に行きましょうよ、オトナなのですから!」と、サザン。
「オトナねぇ。じゃあさ、おまえシノンにもう手ェ出したの?」と、ケインウェイ。
「ぶほっ」と、王。
「ごほごほ」と、王妃。
「……答えるな」と、リカール。
「……答えなさい」と、セラ。
「あの……空気が殺伐として参りましたのでッ、つ、次に行きたいと思います!」と、サザン。
「“タイトルの意味はなんのことでしたの?”と、お題提供者はルネーラ様です」と、クララ。
「えーと。直訳すると――あいた。なんでなんで?どこからか鍋の蓋が飛んできました」と、スライエン。
「直訳すると“沈黙の月”だな。ミアンサ、君も私の胸で休むかね?」と、ルイズ。
「いーえ。遠慮します。それより壁になってくださいまし。なにか色々なものが後ろから飛んできていますの」と、ミアンサ。
「作者が言わなくてもいいと怒っているのでしょう。とっとと暴露してしまいなさい」と、セラ。
「なんでもはじめは違うタイトルだったのですよ。“麒麟芝居”でしたか、確か。高いところからみたひとびとの恋模様をシナリオ調で送る予定だったようです」と、カグセヴァ。
「カタイのう」と、王。
「カタイですわねぇ」と、王妃。
「だからヤワラカクしたそうです」と、カグセヴァ。
「これでも考えたらしいぜー? 言葉にしないものを読んでほしい、いつも同じ面ばかりを見せて裏を見せない月とかけたらしいな」と、ケインウェイ。
「ああ、行間を読む、というものですね」と、エストレーン卿。
「ふつう、わかりませーん。ルカルカ、僕も膝枕してほしいです」と、スライエン。
「あとでね。人前ではだめ」と、ルカ。
「ま、所詮作者の浅知恵だ」と、クライドディラー(役)。
「いいじゃん、なんだってさ。なあ、俺腹減ったんだけど」と、ケインウェイ。
「ここだけの話、次回作のタイトルも決まっているようですのよ」と、ルネーラ。
「本当ですか?なんていうのです?シノン様やわたくしも出てきます?」と、ミアンサ。
「ちょっと待ちなさい。なぜそこでシノン殿の名前が出てくるのだ。私はどうした、私は! 私は君の夫だぞ」と、ルイズ。
「邪魔い……。こんな男が旦那だと毎日が大変だろう」と、シノン。
「……言うの、やめておきます?」と、ルネーラ。
「待って待って。教えて教えて。気になっちゃいますー。」と、スライエン。
「次回作は中東をイメージした物語で、タイトルは、“千夜千夜叙事”ですって」と、ルネーラ。
「……ん、ちょっとうとうとしたな。で、なんだって? センヤセンヤジョジ? 千夜千夜叙事? 千夜一夜物語、俗に言うアラビアン・ナイトとなにか関係あるのか?」と、シノン。
「いいえ、まったく」と、カグセヴァ。
「この私にあのような屈辱を味わわせた作者がまさかそんな高尚なものを書くわけないでしょう」とセラ。
「どうも、奇人変人狂人魔人超人悪人罪人美人凡人役人芸人その他まだまだ続きますね……まあとにかく、腹黒い連中ばかりが跋扈する国を舞台に、ヘイボンキワマリナイニチジョウノデキゴトをじみーに描くようですよ」と、カグセヴァ。
「……そんな危ねぇ奴らがじみーな生活を送るわけがねぇだろ……」と、ケインウェイ。
「わたくし、やはり出なくて結構です。夫の傍で我慢しますわ」と、ミアンサ。
「我慢!? 我慢とはなんだ!? だいたい君は最近私に冷たくないかね。まさかこれが倦怠期――」と、ルイズ。
「次いきましょうー」と、サザン。
「いや、もういいかげんくだらないからやめろと言っている」と、リカール。
「おひらきおひらき」と、スライエン。
「解散だ、解散。あーつっかれたー」と、ケインウェイ。
「えっ。もう終わりですか? あああ、そんなさっさと席を立たなくても……えー、ではシノン王女!最後に一言お願いします!」と、サザン。
「びしっと言うぞ。恋は! 逃がさず捕まえろ。僕のようにな」と、シノン。
「おや? 私の方が先に捕まえたものと思っておりましたが?」と、カグセヴァ。
「うわわわわ。眼に毒なことは余所でやってくださーい。だめだ。聞いてないし。退散だ、退散。えー、以上をもちまして、 “大団円おめでとう記念! 最初で最後の全員参加の座談会!”を終了とさせていただきます! 皆様ありがとうございましたー!」
終
ふと気がつけば、この座談会が収録されていませんでした。
気になったら、いれてしまいたくなって(だって千夜~だけ、座談会もおまけもあるし)。そもそも、この座談会はこちらの方が先なわけで。イイワケ、イイワケ。ちなみにおまけもあります。つけちゃおうかな……。
いいですよね、今更ですし!!
*注 ”サイレント・ムーン”はタイトル改変前のものです。
引き続きよろしくお願いいたします。
安芸でした。