最後の一撃
掲載日:2009/09/23
彼の命は尽きようとしていた。
余命幾許もない。まだこれからという時。
あまりに儚い一生。あまりに残酷な運命。
短過ぎる。何も成し遂げてはいない。
本当に終わってしまうのか? これでおしまいなのか?
悲しいまでに潔い存在。狂おしい程美しい生き様。
彼はそれでも力の限り生きる事を諦めていない。
周囲が応援してくれる事もない。
誰も助けてくれない。仲間は次々に倒れた。
皆、命を散らした。彼より先に力尽きた。
しかし彼は生きる。
生きるのだ。生き延びるのだ。
最後の抵抗になるかも知れない足掻き。
彼は渾身の力を振り絞り、生への渇望を表現する。
まだ俺は生きている。生きているんだ! 生きているぞ!
死んではいない。死んではいない!
生きているんだ! 生きているんだぞ!
大声で叫ぼうにも、すでにそれは叶わない。
彼は声を出せない。そんな余力はすでにない。
うおおおおっ! ぬおおおおっ!
足掻く。足掻く、足掻く、足掻くっ!
しかしそれも遂に終焉の時を迎える。
ドスッ……。
鈍い音がする。
まさに最後の一撃。
彼の命は尽きた。とうとう終わってしまったのだ。
でも悔いはないだろう。
彼は精一杯抵抗したのだから。
死に対して。
そして、無情な言葉が響く。
「はい、鯵の活け造りお待ち」




