表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/36

正体不明の怪物 第7話

『キュるるるる!!』


「来るぞ」


 猿にも似た魔物は目を回転させながら、体を上下に揺らす。


 すると鼻が像のように長く伸びた、その鼻が不気味にモゾモゾ動くと、鼻から謎の液体を飛ばしてきた。


『きゅらら』


 ただの威嚇射撃みたいな物だし、見てから回避余裕ですわ、こんなのに当たるバカがいるわけ…


べちゃ


「きゃー!!何この液体!!」


 謎の液体を交わしたが、気持ち悪い音とクロリアの叫び声が聞こえ後ろを向くと、クロリアが魔物の液体でベトベトになっていた。


「…いたわここに」


 体の至る所がベトベトになってる、かわせてよかった。


 しかし、なんだろう言っちゃ悪いが…エr、いや…やめとこう、今はそんな事言ってる場合じゃない。


 と言うか絶対に臭い、できれば近づかないでもらいたい。


『フキゅるるる〜』


 魔物は果実を手に取り、その果実を持った状態で手を叩く。


「魔物の気持ちはわからないが、完全に馬鹿にしてるな、クロリアさん大丈夫?」


「大丈夫じゃありませんよ、ベタベタして気持ち悪い」


「うん、見ればわかるから近づいてこないで」


「それに、この体液…エルフには効きませんけど、毒がありますよ」


「毒?」


 こいつの液体毒があるのかよ、エルフに効かない所を見ると、こいつやっぱりこの森で生まれてないな。


 この森で生まれてるなら、エルフに効く毒が出せるように進化するはずだ、それなのにエルフに効かないと言う事は……やっぱり、他の所から来たのか。


「弱い毒ですけど…ってマックスさん!!前、前!」


「前?」


『プルルルル』


 クロリアの言う通り前を見ると、さっきまで木の上にいたはずの魔物がいつの間にか目の前にいた。


 その魔物は大きく手を上げ、バンザイのポーズをすると、両手を握りハンマーを振るように手を下げた。


(シールド)


 魔物の握り拳が頭に直撃する前に、魔法で光の盾を生成して、その拳を防いだ。


「危ね…」


 タイミングが一足遅かったら、拳が直撃して死んでたな、間に合って良かった。


「大丈夫ですか」


「なんとかな」


 俺は攻撃がちゃんと防げているのか確認して、腰の剣を抜き、剣を魔物の体に突き刺した。


 ベギ!!


 だが、剣が魔物の体に当たった瞬間に、剣が折れた。


「ウワッ、折れた!?」


 嘘だろ…コレ、鉄より硬いオートマトンで作った剣だぞ、別に最高峰の剣でもないけど、それでもかなり強度はいい奴だ。


 それが効かないのか。


ペキペキ


「なんだ、この音…って!!」


 俺が上を見上げると、さっき生成した盾に亀裂が浮かび、しかも今にでも壊れそうだ。


「バカな、下級の龍の砲撃すら耐えてる盾だぞ、どんだけ馬鹿力なんだよ、こうなったら仕方ない……」


 俺はバッグから煙玉を取り出し、それを地面に叩きつける。


 パン、と言う爆発音と共に煙玉が破裂し、中から白い煙が吹き出した


 煙幕が効くかわからないけど、視界は潰した方がいい。


『プキュュきゅ?』


「…テレポート」


 俺は魔法を使い、ネバネバのクロリアの横に瞬間移動する。


 あくまで今日は森林調査、新型の魔物を倒すことは依頼に入ってない。


 このままテレポートを使って逃げたいが、自分にしか使えないからな、走って逃げないとな。


「クロリアさん、このまま逃げるぞ」


「逃げるって…本気で言ってるの」


「なんだ、もしかして戦いたいのか、わかってると思うが、俺達の依頼は森林調査、無駄に倒す必要はない」


「いや、そう言うことを言ってるんじゃなくて…逃げ切れるの、アレから……」


『ぷきゅるるる』


グチュグチュグチュ…


 気持ち悪い咀嚼音のような音が煙の中から聞こえ、その煙の中から謎の液体が飛んできた…


 いや謎でもない、さっき鼻から出してたやつだ。


「私がやる」


 クロリアはそう言うと俺の前に立った。


「おいおい大丈夫か…」


「私を誰だと思ってるの、何度も当たる馬鹿じゃ…」


べちゃ


 俺の方を向いたクロリアは前が見えなかったのか、魔物の液体に普通に直撃した。


「……前…見ろよ」


「う、うるさい!!あなたが喋りかけるからでしょ!!」


「俺に当たるな 前みろ、液体がまた飛んでくるぞ」


「もう、最悪早くお風呂入りたい、スゥゥウ、光よ輝き電撃に変われ、ライトニング」


 そう唱えると、クロリアの手のひらに魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣が光り輝くと、その魔法陣から雷を思わせる、電気が飛び出す。


 その電気が謎の液体にぶつかると、液体は爆発した。


 …いや爆発と言うより燃えたように見えた、もしかして燃焼したのか、と言うことは…


「あの液体、可燃性かよ」


 毒もあって可燃性って、そんなもん鼻から出して大丈夫なのか、絶対鼻痛いだろ、俺なら出したくない。


 …ん?鼻が痛い。


「…やった、やりましたよマックスさん、久しぶりに使うから出来るかどうか不安だったけど、上手くいった」


 さっきまで冷静だったクロリアが、いきなり満面の笑みを浮かべながら、子供のように飛び跳ね始めた。


 魔術1回使っただけで喜びすぎだろ。


 まぁ素直にこんなこと言ったら、傷つくだろうから、優しく接してあげよう。


「よかったね、それより…もう少し離れてくれない」


「なんで」


「臭そうだから」


「なんだとコラ」


「別に体臭が臭いとかじゃない、その体液が臭そうだから近づかないで欲しい

と言うか液体を燃やしただけで、本体は生きてるだろ」


「分かってますよマックスさん、そろそろ煙が消えますから、武器があったら構えてください」


「…武器構える前に…ちょっと良いこと思いついた」


「良いこと?」


「アイツを倒す方法だよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ