魔王会議!!謎の乱入者と転がるビン 2/2 第5話
「さあ、余談は終わろらせ、本題に入ろうでは無いか」
「邪神ングバ討伐の会議」
『『なに!?』』
俺とノルマンは驚き、口を開きそうになったが、止まり息を整えた。
どういう事だ、邪神の討伐だと。
『…………』
危なかった、ここでもし叫んでたら魔王3体が一斉に俺の方を向き、タコ殴りにされてただろう。
『え?なんでそんなに騒いでるですの』
『知らないんですかスペアさん、邪神ングバは魔王を生み出した存在ですよ』
邪神ングバ、誰も見たこともなければ、存在すら曖昧、噂によると、他の神と相打ちになり、力を失った邪神だとか。
さらに力を失った所を人間に襲われ、どこかに封印されているとか。
で、今我々の認識では、魔王達はその封印を解くのが目的、そのため封印された場所を探している。
それなのに…邪神の討伐だと。
『何考えてるんだ』
『わかりません、ですが…あの3体の目的は邪神討伐』
『理解不能だ』
「と、言ってもアイツがどこに居るんか、わからねぇんだろ」
「だが、わかった時の対策会議だ、私はファーストストリートの住人をぶつけるつもりだが……
ワルスは何を考えている」
「俺か?何もしてねぇよ」
「何かは考えておけよ」
「だがよぉ…まず…反対派のムロバ、そしてジャックを殺すのが先なんじゃ無いか」
「彼らも我々と同じ被害者だ、できる限り戦闘は避けたい」
「そうかよ」
『どうやら、魔王の中でも対立が起きてるみたいですね、今の会話的に…
邪神を倒したい ワルスS アソト バゼル
邪神を復活させたい ムロバ ジャック
って所でしょうか』
『勝手に争って、全滅してくれれば、平和なんだがな…』
『そう簡単にはいかないでしょう』
古びた古城にただならぬ空気が流れる、そんな空気が流れる中、集う魔王達の前に突然黒い鎧を見に纏う、謎の魔物が現れた。
見たことない鎧、だがここに来ていると言う事は、魔王関係者か…
「ブブ…誰かな?アソト殿が呼び出したのかな?」
「いや、私はこんな奴呼んでないが…何者だ」
アソトは手のひらから氷でできた剣を作り出すと、その魔物に剣先を向ける。
「失礼、我は黒城王 ムロバ様の伝言をしに参りに来た、ここで争うつもりも、宴を邪魔しに来たわけでもない」
「ブブブ、邪魔ならしてるではないか」
「とっとと要件を言え」
「邪神の心当たりを掴んだ、貴様らと手を繋いで協力する気はないが、貴様らも邪神の居場所を知りたいであろう」
「…………」
「なるほと」
「で、何が言いたい」
「…を潰せ」
『あいつ今なんて言った』
『わかりません、聞き取れませんでした』
「今日と明日そこに【ウィング カントリー】から貴族が来る、その貴族含めて里の全員を殺せば、情報をくれてやろう」
やばい、魔王の襲撃の話だったのに、肝心の場所が聞き取れなかった。
「ずいぶん、上から目線だな、取引を持ちかけるなら、自分で来いと伝えろ」
「我に言われましても、ただの伝言係なので」
「だったらさっきのセリフも伝えとか、伝言係なんだろ」
「わ、わかりました、それと伝え終わりましたので、我は帰らせれもらおう、いつ殺されてもおかしくないのでな」
魔物はそう言うとその場を去った。
魔王が動くのか、邪神の情報の代わりに、どこかを攻撃し貴族を殺す、とか言っていたな。
せめてその場所さえ聞こえていれば……
『喉乾いて来ましたわ、少しアイスティーを……』
カランコロン
俺の後ろからビンが落ちて転がる様な音が聞こえ、集結した魔王達が一斉にこっちを見た。
そして、俺の足元にスペアが持ってきた水入りビンが転がってきた。
『……あ…』
『『…………』』
「誰か居るのか」
集った魔王達全員が武器を構えた、やっぱりスペアは置いていくべきだったか。
「くそ、逃げるぞ」
「とらえろルナ」
その命令を放つ前にルナは動き出し、剣を取り出し投げ飛ばす、俺は盾を構えその剣を防ぐ。
「何してんですかスペアさん」
「仕方ないじゃないですの、喉が乾いて…」
「そんな話し合いをしている場合じゃない、ノルマン君は早くテレポートの用意を…」
「少し時間かかりますよ」
「構わない、俺が時間を稼ぐ」
俺は物陰から飛び出し、盾をルナめがけて投げる。
「フリーズ」
だが、その盾がルナに当たる寸前に、空中で止まった。
「氷結王 アソトか…なら次の手を」
ルナは止まった盾を装備し、別の剣を取り出し振るう、俺はその攻撃をかわし、反撃しようとするが、俺の拳が盾に当たる。
ガギーン!?
「我ながらよくできた盾だ」
「それならくれない?私が盾好きなの」
「悪いがそれはできない!!」
俺は回し蹴りをその盾に当てる、するとルナは大きくよろける、そして追撃しようとするが、すぐさま体制を整え、攻撃を防ぐ。
「君凄いな、良ければ俺のギルドに入らないかい」
「興味ないんでいいです」
「そうか、少し残念だ、後そろそろ、攻撃をやめてくれないか、別に君達を攻撃する気はない」
「そう言って信じるとでも」
「僕も心からは思ってないさ、それと…そろそろその盾を返してもらおう」
俺は手を伸ばし、ルナから盾を奪い取り、そのまま盾で顔を殴ろうとする、だがルナと俺の間にアソトが割り込み、その盾を防ぐ。
「…………」
「アソトさん」
「……穏やかじゃないな」
盾が徐々に凍り始め、俺の右腕も凍り感覚が鈍くなる。
「…すみません」
「構わないさ、君は下がっていてくれ、後は私がやろう」
他の魔王は…動き出す気配はないな。
だが、1体でも無理な話なのは確かだ、それに右腕が凍ってる。
「時間稼ぎ…だったかな、この状況で稼げるとでも」
冷徹な殺気がアソトから感じる
奴は本気で殺す気だ。
俺は後ろにジャンプして、距離を取りながら、ナイフを取り出し投げる。
「フリーズ」
だがナイフは空中で止まり、意味を無くした。
コイツに投げ道具は効かない、とは言え接近戦で戦えば、すぐに凍らされる。
相性が悪いどころの騒ぎじゃないな。
「話を盗み聞きされるのは、少し気に触る」
「それに関してはすまない、謝ろう」
「いや、謝らなくていい、その装備を見る限り、誰かに依頼されたのかな?」
「……」
「いや、答えなくていい、君を拘束して吐かせるだけだ」
アソトはそう言いながら、ゆっくり歩き出す、それと同時に足が凍り、気づけば下半身は完全に凍っていた。
完全に凍ってる。
全く動かない、もうお腹あたりまで凍った。
「さて、どこを壊せば吐いてくれるかな」
「ほどほどにしろよ」
「ブブ、子供も見ておりますからな」
俺の体は上半身も凍り、後は顔だけとなった、ここまで意識を保っていられているのは自分でも驚いている。
と、言うよりアソトがわざと意識を保てる感じに凍らせているのか。
「誰が依頼者だ、答え次第では…生かすことも考えてやろう」
パリーン、とガラスの割れる様な音が聞こえ、恐る恐る俺の左腕を見ると、そこに腕はなく、俺の腕はアソトの右手に握られていた。
痛みはない。
痛覚すら感じなくなっているのか…
「痛覚は消してやってるが、危険な状況と言うことは分かっているよな」
「わかってるさ、それに俺も言いたいのは山々なんだが、言えなくてね、契約者とそう言う約束なんだ」
「理解しているのに、その冷静ぶりか」
「仲間を信じるたちなんで」
「その仲間が裏切ったら?」
「考えてもない、仲間を信じられない人間にリーダーは務まらない」
自分も信じられていないのに、よく言えたな…俺も……
「そうか…なら、君を拷問しても意味は無さそうだ」
アソトはそう言うと、氷で出来たハンマーを作り出し、持ち上げる。
それと同時に体の氷は侵食してくる、もう口まで凍って、鼻が凍りそうで、俺の意識がどんどん薄れていく。
「君を殺して、その仲間に吐いてもらうとしよう」
そう言い放つと、アソトはハンマーを高く上げふり下ろそうとした。
こう言う時、人には走馬灯が見える、と言うが…今の俺にはそんな物は見えない、なぜなら俺は…
『リーダー!!準備できました』
ノルマンの急ぐ様な声が頭を駆け巡る。
そう、俺は仲間を信じて居るから。
「終わりだ」
バリーン!!!!!!!!!!!
第5話です、今回は5天魔王が出てきましたね。
実は5天魔王と言うのは、前々から設定上では出てきていたんですが、なかなか他の作品では出せなかったんですが。
今回は3人でしたが出てこれて、本当に良かったな、と思います、ついでに魔王の名前はバゼル以外には元ネタがあります。
そして、なぜ中途半端に5体なのか、そこら辺もちゃんと設定してあります、なので今後の展開をお楽しみにください。