魔王終結!!悪夢の会議 1/2 第4話
〈〈古城跡地〉〉
「スペア…準備はできてるか」
何百年も前に崩壊した王国の城、そこに俺達イリーザーが集まっていた、と言っても俺含めてたったの3人。
ボルフェスはいつもながらサボり中。
スペアは来ているがやる気はなさげ。
一応個人ランクSSのセブン・ノルマンを連れてきているが…キツそうだ。
「…ハァ、やっぱりマックスを連れてくるべきだったか」
「なんであのような出来損ないの話を、私ことスペア様だけで十分ですわ、オホホホ」
スペアの高笑いが古びた城で響き渡る、そんな高笑いをノルマンが止める。
「スペアさん…現実を見ましょうよ、僕達の今回の依頼はスペアさんでは無理ですよ
マックスさんの様な多彩の人の方が…」
「子供がでしゃばるんじゃないのすのよ」
「子供扱いしないでくれません、まだ2歳ぐらいしか離れてませんよね」
「私よりも年下は子供でしてよ」
その理屈が正しいなら、俺は子供になるのだが。
「それにマックス マックス、言ってますけど、
マックスは使えないからクビになったのですわ」
「ですが、マックスさんの個人ランクはスペアさんと同じですよね」
「ランクの中でも格があるのですわ、まずただのSSの分際で私を批判する気ですの」
「そんなにマックスさんを馬鹿にしますけど、あの人上級魔術いっぱい使えますよ
下手したら龍すら殺せる、スペアさんでは無理だと思いますけど」
「私は龍などに興味はなくてよ」
また言い争いか、そろそろスペアは反省して欲しいものだ…と言うか俺が注意するべきだな。
それに…そろそろアイツらが来る。
「言い争いは終わりだ、ノルマン君そろそろ頼むぞ」
「分かりました、以心伝心」
ノルマンはそう言い、能力を使う。
以心伝心は思考を相手に送る能力、コレを全員に使う事で、喋らずに作戦を伝えられる。
実力はまだ心細いが、今回の依頼において、ノルマンの能力は心強い、だから連れてきた。
『わかってるだろうな、スペア君コレが出たって事は、喋るなって事だ』
「はいはい分かりましたわ」
『喋るなって言ってるだろ、今から魔王会議が始まるんだ』
魔王会議、名前の通り6体居る魔王が集結する事、今回の依頼はその魔王の会話を盗み聞き、魔王の次の目的を知る事。
今までにも魔王会議はあり、会話を聞く依頼があったが、依頼を受けた者は誰1人生きて帰ってきていない。
正直に言って、かなり危険な依頼、だから音や気配を消せるノルマンを連れてきた。
『すまないノルマン君、こんな危険な依頼をさせてしまって』
『構いませんよ、全ての音と気配を消す、そんなこと出来るのは僕ぐらいですからね』
『別に要らないのでは無くて、ただ話を盗み聞きするだけですわよ、そんなに怖がることも…』
『相手は魔王だ、しかも複数体だ生きて帰れる保証はない』
『スペアさん、そんなのも知らないんですか、まず…何でスペアさんを連れてきたんですか
スペアさんより、マックスさんの方がいいですよ』
「侮辱しましたわね、私の事を…」
『スペアに関しては勝手について来ただけだ、それにマックスでは無理だ』
正確には俺でも無理、と言った方がいいか。
もしマックスが【イリーザ】に居たら、この依頼にもついて来ただろう、だがマックスに魔王は早すぎる。
マックスと魔王を合わせないためとは言え、クビはやりすぎたか。
いや…【イリーザ】に居たら、アイツが伸び伸び出来ないし、荷物持ちになってたのも事実、それにアイツなら1人でやっていける。
元々俺の目的は強い人間を作り、それを自立させること、腕に関しては…少し物足りないが、なんら問題はない。
もうマックスは自立できる。
だからクビにした、ただ…本人の意見も聞くべきだったな。
『リーダー!!何か来ますよ』
『来たか』
俺は呼吸を整え、武器を構える。
「ハァ、めんどくせぇな、なんでこんな城に来なにゃならんのだ」
「仕方ないですよ、お父さん大事な集会なんですから」
「わかってる」
埃の中からメイド服を着た少女と共に小さなスライムが現れる。
『何ですのあのスライム?』
『来たか、洗脳王 ワルスS』
変幻王とも呼ばれる魔王、体の形状を好きに変えられ、体の一部を切り離し、それが生物の体内に入り込む事で、その生物を支配下に置けれる。
そして、常に【ルナ】と呼ばれるメイド服を着た少女と一緒に居る。
『貰った資料通りですね、しかし…あのルナって人、写真と違くないですか?』
『その写真が5年前のらしいからな、多分成長したんだろう』
『そう考え見ると…同一人物にも見えなくないですね』
成長している、と言う事は人間だろう。
そう考えるとワルスSが分からなくなってくる、なぜ人間の子供と一緒にいるのか、未だにそこら辺の関係性はわかっていない。
今回の調査で分かるといいが…
「他の奴は?主催者のアソトはどうした」
「ずっとお父さんの隣にいた私が、知ってるとでも、それより…今回もウーノさんとかは来ないんですかね」
「ウーノは死んだだろ」
『なに?』
俺はその名前に息を呑んだ。
『リーダー、聞きましたかさっきの言葉』
『確かに聞いた』
『え、なんでそんなに盛り上がったんですの』
『恍惚女帝 ウーノ、魔王の1人だ、そいつが死んだ、確かにそう言った』
『女帝なのに…魔王なのですね』
『多様性じゃない』
見れば男女関係なく、ウーノの事しか考えられなくなり、最後はウーノのためにしか動かない奴隷になると言う。
そのため薬物女帝とも言われいた、強力な女帝が死んだ…
つまり今魔王は5体、その事がわかっただけでも、大きな成果だ。
「…ブブブブブ、間に合いましたかな」
ブーン ブーン
耳の隣でハエが飛ぶ様な不快な音が、黒い渦巻く雲の中から、響き渡る。
『嫌な音ですわね』
『あの渦巻きからですかね』
いや…アレは雲じゃない、虫だ…小さな蚊とか蜂とかの虫の集合体、それが集まって雲のようになってる。
『なんですの、あの虫の集合体と…虫の羽ばたく音…みたいな…醜い音は』
『虫って事は…』
『昆虫魔王 バゼルだろうな』
黒い竜巻が消え、その竜巻の中からアブにも似た巨大な魔物が現れ、ワルスSと少女の前に降り立つ。
「おや、2人だけですかな」
貴人服を見に纏う昆虫型の魔王 バゼル、虫を操り数々の国を壊滅させた、だが…奇妙な事に人は死んでおらず、建築物だけが壊されていたと言う。
さらに奇妙な事に、国の女と武器だけが無くなっている、おそらく自分の城に連れ込んでいるのだろう。
「いやはや、遅れましたかな」
「いや問題ねぇだろ、主催者が来てないからな」
「お久しぶりです、バゼルさん…って1人なんですね?お父さんと違って、お仲間…と言うか部下の人いっぱい居るじゃないですか」
「別に戦争をするわけでもないのでな、それに…そこのスライムに部下を取られては困る」
「あ?テメェの部下なんて興味ねえ、俺はお前みたいに群れるのが嫌いなんだよ」
『確かに、ワルスSがルナ以外の人間や魔物を連れている情報はないですね』
『そうなると、ワルスSの発言は本当って事か』
『つまり…ボッチてこのですの』
『いやそう言うわけではないだろうが…』
『それより、少し寒くなくて』
『そんな装備してるからですよ、もう少し暑い服を着て来てくださいよ』
元々この城自体が高い所にあるからな、その分寒く感じるのだろう、だとしても少し寒いのは確かだ。
ピキピキ
『ん?なんだ』
奇妙な音が聞こえ、俺は自分の手を見た。
すると手の平が凍りついており、俺は急いで近くにあった水源を見ると、その水源が綺麗に凍っていた。
なんだ、これは…温度が急に下がってどころの話じゃない、まさか…
「すまない待たせた」
貫禄ある声が凍てつく吹雪の中で反響し、吹雪から貴族の様な顔立ちをした、背丈の高い男が現れる。
そして、その男の隣には分厚い服を着た、とても小さな少女がついて回る。
『なん…でしょう、あの子供は』
『可愛いですわね、私もあんな子供欲しいですわ』
なんでこっちを見るのだ。
「やっと来たか、待たせすぎだろ、アソト…」
『あれが、氷結王 アソトですか』
周囲の温度を操る魔王 アソト、6年前に【ファーストストリート】と呼ばれる街を支配下に置いた。
だが、それからなんの音沙汰もなし、噂によると【ファーストストリート】で何か企んでいるとか。
その企みも分かれば良いが。
「ヒイちゃんも連れて来たんですね」
「彼女を1人にはできなくてな、すまないがルナ殿…ヒイを見ててくれないか」
「分かりましたよ、ヒイちゃんこっちおいで…」
少女はヒイと呼ばれる子供を抱き抱え、魔王達から少し離れる。
ヒイと言う子供に関しては、今まで全く情報が出てない、と言うか最近の魔王は子連れが流行っているのか。
『魔王が3体集まりましたか』
『全員集結してないが、3体だけでも危険だ、気を抜くなよ』
『はいは〜い』
『気が抜けるなぁ』
「他の奴は来るのか?」
「呼んでないしな、まず…ムロバとジャックは私達とは反対の意見の持ち主だ、今頃呼ぶわけなかろう」
「ブブブブブ、それもそうですな」
『反対の意見?』
『魔王は同じ目的で動いていると思っていましたが、そう言うわけでも無さそうですね、あくまでここにいる3体は』
「さあ、余談は終わろらせ、本題に入ろうでは無いか」
「邪神ングバ討伐の会議」
『『なに!?』』
俺とノルマンは驚き、口を開きそうになったが、止まり息を整えた。
どういう事だ、邪神の討伐だと。
第4話です、あの…なんか中途半端になってしまったんですか、それには理由がありまして、と言うのも最初は6000文字あったんですが。
流石に長すぎると思い、3000文字で分けました、その…後半は本日の8時に投稿する予定なので、許してください。