少し眠りたい2人 第3話
〈〈エルフの里〉〉
「お客様」
「………」
「お客様」
「ん?なんだぁ」
俺は誰かに体を揺さぶられる感覚で目を覚まし、重い瞼を擦る。
「エルフの里に到着しましたよ」
「ん?あぁ、やっと着いたか」
「他のお客様はもう出ましたよ、あなたが最後です」
「あ、すみません」
俺は伸びをしながら、馬車から降りて大きく息を吸う。
街よりも空気がいい気がする、そう考えたら街の空気ってどんだけ汚れてるんだよ。
「料金は乗る前に渡しなよな」
「はい貰っています、追加で払いなら貰いましょうか」
「遠慮しとく」
「そうですか、では楽しい旅行を満喫してください」
1日ちょっと馬車で揺られて、やっと目的地のエルフの里か。
と言っても、ここは入り口で観光用に作られた場所だ、本当の里はもう少し奥にあるらしい。
そんな観光用だからか、エルフ以外にも色んな種族が居る、モスキートヒューマンと呼ばれるかなり珍しい種族も居た。
あの人も心に癒しを求めているのか。
しかし、皆んな複数人と居るなら、1人で来てる奴は全然居ない、と言うか誰も居ない。
「もしかして…俺浮いてる」
こんな事なら管理局で飲んでいた、暇そうな奴1人誘えば良かったな、今となって少し後悔してる。
「ま、まずは観光じゃなくて依頼を終わらせるか、森林調査系の依頼だし、すぐに終わるだろ」
調査系は地形や生態系を調査するだけだし、そらに国や村が出す依頼だから、それなりに報酬が高い。
だけどその代わり規則が多くてめんどくさいけど、楽に稼げるからな。
「確か、そこら辺の条件は依頼主が整えてくれてるらしいから、問題はなし」
確か同行人はエルフの里のギルドに居るんだったか、時間はまだまだ先だけど、5分前行動とはよく言うしな。
とっとと奥にある、エルフの里ギルドに行こう。
◼︎ ◼︎ ◼︎ ◼︎
「あなたが調査依頼をしに来たマックスさんですね、奥でギルド長が待ってます」
「奥の部屋…あ、あそこですか、ありがとうございます」
エルフの里に1つだけあるギルド管理局に来た俺は、そこに居た受付嬢の指示に従い、ギルド長がいる、奥の部屋に行った。
そこには暖かそうな服に身を包む、それなりに老いたエルフの老人がいた。
「おはようございます」
「…………」
「あの…ギルド長さんですか」
「…………」
「…………」
「…zZZZ」
「ね、寝てる?」
どうしよう、この人ガチで寝てる。
え、どうしょう…これ……起こした方がいいのかな、でもまだ時間じゃないしな、ぐっすり眠ってる所を邪魔していいのか。
流石に起こした方がいいよね…
パチン!?
「ん?よく寝たわい」
普通にあ、起きた。
「君は……」
「あ、今日森林調査の依頼を受けに来たムーン・マックスです」
「……あぁ、そうだったな、すまないすまない、時間がまだあった物で、少し眠ってしまっていた」
「は、はぁ」
「さて、よくここまで来られた、ささ座ってください」
俺はエルフの長が指さす椅子にゆっくりと腰掛けた。
エルフは長命で若い時の姿を保つそうだが、それなのに老いているって事は、このエルフ…1000歳以上は行ってるな。
見た目でわかるけど、この人がギルド長だな。
「私はこの里の長でもありギルド長の、ミケ・タママ、です」
やっぱりこの人がギルド長だった。
「私はムーン・マックスです、よろしくお願いします」
俺は深くお辞儀をすると、ギルド長も頭を少し下げた、腰まで曲げようとしているのか、少し体がプルプル震えている、もしかし腰が曲がらないのかな。
しかし、ギルド長でも里の長でもあるのか、問題を起こす気は無いけど、1つ1つの行動に気をつけよう。
「こちらこそよろしく頼みますわい」
「はい」
「今回は森林調査の依頼でしたな、調査依頼は必ず別のパティーの者同士を向かわせなければならない規則がありましてね」
「…虚偽の報告をさせないためと、集団依頼の時の練習を兼ねて、ですよね」
「その通りです、そんな条件があるため別の地域に依頼書を出したのですが…なかなか受けて貰えず」
まぁ…だろうな、俺も行くまでにまる1日使ったし、ただの森林調査のためだけに、わざわざ行く必要ないしな。
旅行のついで感覚でやる、アタオカぐらいしかやらんだろ。
「そのため、受けて貰えた事を嬉しく存じ上げます」
「いえいえ、別に構いませんよ、旅行のついでですから、それより…付き添い人は?姿が見えないようですけど」
「そうでしたな、ミケ…入って良いぞ」
トントン
「失礼します」
部屋のドアが開き、そこから少女のような見た目をしたエルフが入ってきた。
見た目は20代前半ぐらい、と言ってもエルフは見た目と年齢が合わないからな、多分200歳は超えてる。
髪色は金髪でロングヘア
身長は170ぐらいか
装備は腕と足の部分に集中していて、それ以外は少ない、速さを重視していると思う。
見た目だけだが、スペアみたいに性格が悪そうには見えない、見た目だけの情報だけど。
「ギルドパティー・ジオのリーダー、ミケ・クロリアです」
クロリアと言うエルフはスカートの両端をつまみながら、お辞儀をした。
パティーリーダーって事は、腕は心配しなくても良さそうだ
別にただの森林調査だし、そこまで腕に関しては求めてない。
魔物を倒す必要がないからな、逆に倒したら生態系が狂う可能性があるから、調査依頼ではあまり倒しちゃいけない。
「ムーン・マックスです、ほんの1日だけだが、よろしく」
「はい、よろしくお願いします」
…長の前だからか、礼儀がいいな、性格についてはこの前地雷を踏んだしな、ボルフェスと豚の骨付きばら肉とか言う大きな地雷を
もし性格最悪だったとしても、たった1日の付き合いだし、ゴダゴタ続く事はないだろ。
「ほほほ、今のところは問題無さそうですな、ミケ…わかっているだろうが、ご無礼がないように」
「私がするとでも」
「思ってもおらんよ…まぁお前は先走る所があるからな、だからこそお前を選んだがな…」
「ちょっと村長!!」
「まぁムー様もお気をつけください」
「あの…ムーンですタママさん」
「あ、すみませんでした、ではマックスさんミケを頼みますよ、ミケも困らせないように」
「心得ています、では村長もう行っていいですか」
え?もう行くのか。
「少し待て、行く前に少し手続きをですね」
そう言いながら、その手続き用の紙を取り出し机の上に置いた。
「すみませんね、これも規則ですの」
「わかりました、あ、ペン貰えますか、持ってきてなくて」
「こちらに」
俺は村長からペンを貰い、手続きの書類に自分の名前、住所血液型などを記入する、その間クロリアは何故かドアをチラチラと見ていた。
書いたい間は暇なのかと思っていたが、書き終わった後にその理由がなんとなくわかった。
「私はですね、昔からこの里に居ましたね、最近になって………」
村長の話が想像以外に長かった、多分クロリアが急いでだのはこれが理由だな、なんとなく察して、早く終わらせるべきだった。
村長の話…いつ終わるかな。
第3話どうでしでしょうか。
ついでに次回はリーダーをメインに話が進みます、今確認したところ6000文字以上ありました、主人公の話が見たいと思いますが、それは少し待ってください。