使命で仕事 第27話
【グルルルル】
突然患者の腹から現れた、黒き龍はまるで俺達を見下す様に空を飛び威嚇する。
生物の体内で育つ龍、こいつがデストサイトか…そう言えば患者の右腕黒く変色してたてが、まさか寄生されてるなんて。
「な、なんだこいつ」
「おいユニどうすんだコレ」
【グュルゥゥ!!】
驚き騒ぐ俺達が気に食わなかったのか、デストサイトは口を大きく開け、火を吐いた、医者達はその火を交わすため姿勢を低くする。
「きゃぁぁぁ」
「火を吐きやがった、おいユ二なんなんだあいつ」
「見たことない怪物だ、おいユニティなにか知ってるのか!!」
「デストサイト、もしかして患者の体が危険だと察して出てきたの」
バチバチバチバチ
なんか…いきなり焼けるような匂いがして来た、なんだこの匂い……
「あ!!糸が燃えてやがる」
「もしかしてさっきの火で…」
【グラァァ!!】
火を消そうとした医者に向けて、デストサイトは患者の上に立って威嚇する、そして患者の肉を我が物顔で喰らう。
「こいつ…」
「ヤバいですよ、こいつが居たら手術ができない」
「わかってる」
あれ、これ普通にやばい状況じゃないか。
流石にここは…
「俺が…」
「待って、マックスさんが手を離したら、患者は暴れる」
「な、何言ってんだ」
この人、こんな状況でも手術しようと思ってるのか。
どこからどう考えも無理だろ……いや、無理でもやるのがこいつのモットーか、ユニティの目は絶対に救うと言う目をしてる。
本当に…こんな状態でも中断する気はないのか。
「ユ、ユニ!!」
「もうこの患者は無理だ撤退するぞ」
「……まだ…必ず救います」
正気か?他の医者引いてるぞ。
「馬鹿が!!さっきので糸が燃やされたんだぞ」
「だからってここで死なせるわけには行けません」
死ねせないって…この人本気で言ってる、こんな状況でも救えるって本気で思ってる、無理でもやる…か…
それなら俺も…
【グラァァ!?】
「…鎖」
俺の手のひらに魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣から鉄の鎖が生成され、手術台で暴れるデストサイトを拘束する。
そして、その鎖を握り思いっきり地面に叩きつける。
【グェエ?】
「よし」
いくら龍とは言え子供、コレで首の骨は折れたか…次は……
「凍結」
俺は魔法で患者の傷を凍らせる。
ダメだ、頭が割れそうなぐらい痛くなってきた、流石に記憶削除と同時進行で魔法使うのは無茶だったか。
「あ、ありがとうございますマックスさん」
「あんた それが使えたなら使えよ」
「いや、素人が首を突っ込むのもアレだと思ったんで」
「いい判断だ、だがこの先はどうする、このままずっと凍らせていれば、徐々に細胞が死滅していくぞ」
「分かってます、少し…考える時間を……」
ユニティはそう言うと鉛筆をガジガジ齧り始める、いくら傷を凍らせたとは言え、かなり酷い傷なのは確か。
元々酷いのに、デストサイトが出てきたことで悪化した、コレは諦めるしかないだろ。
「モナ…これ見ろよ」
「これは」
「さっきの怪物のせいで木が深く食い込んだんだ、もはや少し縫うなんてレベルじゃないぜ」
「ユニティよ、もう諦めた方が…」
「いや、諦めない、ここで救えなかったら、ここにいる人達が安心出来なくなる、病は気 精神をやられれば死ぬ
だから、成功さてて…安心を与えないといけない……それが私の使命で仕事」
安心感を与えるか…だとしてもコレは無理だろ、肺はボロボロ腕は黒いし、骨すら見えてる部分もある、そんな状況でも救う気かよ。
「おいユニ、コレは無理だし危険だ、さっきの怪物が1体だけどは限らない」
「まず、肺が完全にダメです」
「血の輸血にも限りはある、もともと今回は血が流れすぎで足りない、ここで無駄に使うのも……」
「……死体」
ボソッとユニティが呟く。
なんて言った…こいつ、死体?死体って言ったのか。
「死体がなんだって」
「死体の…血と臓器を移植します」
「「な!?」」
この場にいるユニティ以外の医者全員が、驚きの表情を浮かべる、死体を使う…そう言ったのか。
「まてユニ、臓器の移植なんて誰もやったことないんだぞ、それに死体からなんて」
「無謀すぎる…それにできる確証もなければ、前例もない」
「血の輸血が可能なら臓器も可能だと私は考えています」
「それは想像だろ、実際はどうかなんて…」
「それに事件発生からまだ5時間なら、心臓でない限りいけるかと…」
「…………」
その場にいた全員が息を呑み、ちょっとした静寂がこの場を包んだ。
臓器移植なんて聞いたことないし、この反応を見る限り、誰もやった事ないんだろう、それほど難しそうな手術を成功させようと言うのか。
「……なにもしないよりはマシだな、ユニティよやるなら早く行うぞ」
「マジでやるのかよ、おいユニ…」
「モナさんこの人と同じ型の死体を探してください、出来るだけ外傷がない物を」
「心得た」
モスキートとモナは羽を動かし、この場から急いで去った……もしかして俺歴史的にすごい現場に立ち会ってる?
と言うか、いつまで記憶を消せば良いんだよ。




