第三十四話 幕間、語られる天使の闇
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ここは天界。天使長とその部下数名から組織される天使達が暮らしている世界である。
「ガブリエル、あなた……また、随分と大変な呪いを付与したわね?」
「ええ、バイトテロは犯罪です。彼らには、反省してもらわねばなりませんから」
天使長は手に持った資料を捲ると、溜息を吐いた。書類には〈オカモト・トシミチ〉と書かれている。出身欄は地球。死因は事故死。備考欄には〈呪い:付与〉の一文が見える。
資料は転生者の一覧である。どこかの世界で死亡した人間は天界を一度通過する。そこで天国行きか地獄行きか、はたまた転生するのか、審判によって委ねられるのだ。
その人物のパーソナルデータはここ天界に履歴として残る。彼らを審判、転生、管理するのが天使達の仕事なのだ。
天使長は別の資料へと目を移す。転生者名の欄には〈タチバナ・ジン〉、地球出身とある。死因には〈事故死〉とあった。
「あなた、まさか殺してなどいないでしょうね?」
「……いいえ」
一拍置いてからガブリエルはそう答える。平然とした面持ちだった。
対する天使長はガブリエルへと向き直り、更に言及する。
「それにこの子。転生する際、まずは役所に行くように、と伝えたのかしら?」
「ええ、伝えたかと…………」
「そう……。いえ、いいわ。また会いましょう、ガブリエル」
天使長はそう言い残すと、光の渦に呑まれて姿を晦ました。
天使長が居なくなったのを見て、ガブリエルは不愉快そうな顔を浮かべて舌打ちする。
二人の関係には軋轢があった。方針に違いがあったからだ。死去した者達の行く末を裁く。その際、情状酌量が認められていたのだが、天使個人で判定内容に大きな差異がある事が長年問題視されていた。
ガブリエルは断罪を司る天使。バイトテロを行った者に制裁を加え、決して許さない。
甘い言葉で誘惑し、彼らに重い呪詛を付与していた。
第一刊が終了予定(と勝手に思っている)の場所です。
どこまで書き進めるか決めていませんが、頓挫したらすみません。限界人間は限界なのです。臨界点を突破してます。
今は時間があります……暇を見つけて少しずつ投稿してきたいですね。
読んでくださった方、誠に感謝です。




