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バイトテロ奇譚 ~人外娘を求めて旅立ったら呪われた~  作者: さっさん
第一章 獣食った報い
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第十七話 異世界もんじゃ

 帰宅すると、ヴィータが出迎えてくれた。開口一番は「おなかすいたです……」だった。「おかえり」ではない。

 俺は簡単な自炊にチャレンジしてみる。インターネットという智慧を見方につけた俺には怖いものなどない。料理レシピが投稿されているコミュニティウェブサイトを見つけ出し、料理初心者でも作れそうなメニューを探してみる。


 興味深げに見ていたヴィータが、台所に用意しておいた生卵を一つ拾い上げる。そして口に放り込んだかと思うと、飲み込んでしまった。


「おいしくないです」


 俺は呆れて声が出なかった。見なかった事にして、レシピに視線を移す。

 ……ところで、このタマゴって鶏が産んだのだろうか。アロファーガのタマゴって何の動物の、いや、そもそも鳥類のタマゴなのだろうか。不安になってきた。火は通した方が良さそうだな……。


「うーん、人間以外に色んな種族が居るからかね。一貫性がないな……」


「ヒューマンは何食べるですかー?」


「いや、割と何でも食べるけど、そのへんの草とか生肉は食べないよ」


 そう、獣人が投稿しているレシピは大体、簡素なものなのだ。あまり舌が肥えていないのか……それとも味とか気にしない種族なのか。投稿されたレシピの中に〈草炒め〉ってのがある。えーと……。


 簡単草炒め(評価:★★★★☆)

 ☆調理方法

 一……野草を採ってきて、よく洗う。※毒草注意

 二……フライパンに油を引き、温まったら草を投入。

 三……完成。味付けはお好みで。肉を入れても良し!


 猿人か、お前は。


 調理も味付けも雑すぎるだろ!


 まず、毒草の見分け方とか俺、分からないし。人を良くすると書いて〈食〉だぞ。こんなのが星四つというのが理解出来ない……こうなると、自分で考えて作るしかないよなぁ。


「タッチー、何作るです?」


「もんじゃ焼き」


 俺は小麦粉――と思しき、スーパーで買ってきた謎の粉――と水をボウルに入れて混ぜた。そこにネギ、キャベツっぽい野菜を切り刻んで投入し、シーフードを投入する。ウスターソースを入れたいんだけど、持っていなかったので適当なもので代用した。


「モンジャヤキ……」


 ヴィータは頭に疑問符を浮かべていた。どうやらこの世界にもんじゃ焼きはないようだ。


 もんじゃ焼きって関西じゃなくて東京のローカルフードなんだよね。大阪に引っ越して友達に聞いたら「あんなもん、食うたらアカン」とか言っていた。汚物か何かだと思っているのだろう。関西人の中には毛嫌いする人も居るようだけど……俺は出身が関東だから、美味しければ文化の違いに抵抗がない。

 フライパンに生地を投入し、土手を作って固めていく。軽くかき混ぜて……完成した。


「出来た。さ、食べようぜ?」


「これは……ゲロですか」


 酷い事を言うな! 初めて見た時は俺も同じ感想だったけど!


 ヴィータは「路上でたまに見かけるヤツですー」と言い、青い顔をしていた。腹が立ったので、スプーンで掬って彼女の口に突っ込む。すると、苦々しい顔をしていたがすぐに美味さに気付いたようだ。


「色んな食べ方があるんだけど、こうして食べるともっと美味い」


 俺は出来上がったもんじゃを皿によそう。その上から青海苔、天カスをまぶした。後から入れるのは珍しいかもしれないが、こうする事で一層海苔の風味と天カスの食感が残り、美味しく頂けるのだ。


 尤も……これが地球と同じ海苔なのか、天カスなのかは分かっていない。アロファーガ産だから。

 ただ、パッケージと原材料を見た感じ……当たらずとも遠からず、全くの別種という事はないだろう。

 目分量だし、出来栄えはそんなに良くないけど……まぁまぁ、食えたもんじゃないか?


「結構、美味しいだろ?」


 ヴィータは嬉しそうに頬張っていた。俺が尋ねると、笑顔で答える。


「今度からは路上に落ちているのもチャレンジしてみるですー!」


「いや、ゲロじゃねーから!!」


 もんじゃをゲロと勘違いして食べてしまうのではないか……今後のヴィータが心配になった。

 今度はお好み焼きを作ってみよう。そう考えながら、夕餉の時間は終わったのだった。

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