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バイトテロ奇譚 ~人外娘を求めて旅立ったら呪われた~  作者: さっさん
第一章 獣食った報い
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第十六話 アロファーガのあれこれ

 夕飯はどうしようか。選択肢に悩まされる。自炊するのは勿論ありだが、異世界の料理は気になるのだ。折角の第二の人生なのだから、楽しまなければ損だ。……決して、自炊するのが面倒なのではない。

 昨日訪れた喫茶店、それからバー。二つとも、地球と大差ない仕上がりだった。スーパーには見慣れぬ食材が並んではいたけど……レストランに入ったからと言って、度肝を抜かれるような一皿が出てきたり、美味しい料理に舌鼓を打ったりする事もないだろう。

 故郷の大阪には美味い物がたくさんあった。別に大阪を贔屓しているわけではないが、地域の発展、人々の娯楽、生活水準と共に食文化は発達する。それはきっと関東も同じだし、関西の方が美味しいというのは、誰かが勝手に抱いた幻想だと思っている。北海道も沖縄も、九州も、勿論東京もうまい。

 だけど、海が近いと食べ物が美味い。これは間違いがないと俺は思っている。


『ママー、今日はハンバーグが食べたい!』


 帰路の途中、仲良く手を繋いでレストランに入っていく親子を見つけた。頭部は人間で、胴体が馬。……ケンタウロスの親子だ。

 ケンタウロスがハンバーグ……共食い、ではないよな? というか、草食じゃないのかよ。ニンジンとか食えよ。


 レストランか……。


 目の前のレストランの看板を見上げる。なんとなく、地球でいう洋食をメインに扱っていそうな店だった。恐らくチェーン店で、他の町にもありそうだ。


 いや、でもハンバーグは要らないかな。

 作り方は知らないけど、フライパンに油を引いてミンチにした肉を入れればイケるだろう。……多分。


 行ってみたい店、やってみたい事はある。例えばペットショップ。どんな生物が居るのか。それからケモ耳美少女の探索。……そう、俺は諦めていないのだ。理想の人外娘はきっと居る筈だ。


 あとはエンタメ。このアロファーガにどんな娯楽があるのか。特筆して漫画、音楽、テレビ番組はすごい気になっている。実は漫画を書店で見かけたのだ。買いたくて仕方がない。


 だけど、ラクリマを探してからでもそれらは出来る。貯金はしておきたいし、無駄遣いは避けたい。時間だって浪費するのは惜しい。

 だから、頻度を決めればいいんじゃないかな。週に二日は外食で、それ以外は自炊する、とか。


 そんな事を考えていると、聞き覚えのあるダンディな声が聞こえてくる。


「あ、やっぱりそうだ。キメラの! 昨日はどうして急に……」


 見れば、全身毛むくじゃらのオオカミさんだ。……昨夜バーに居た狼人族の男だ。


「うわっ、出た!」


「ああ! 何で逃げんだよ、チキショー!」


 何で逃げるのかと聞かれたら、死にたくないからだ。夢の異世界転生、その二日目で死亡は勘弁願いたい。

 あれ、でもイヌ科の生き物って、走って逃げるものを追いかける習性があるんじゃなかったっけ? こういう場合、逃げない方がいいのだろうか。

 振り返ると、狼人は遠くの方で息を切らしていた。完全にバテているようだ。


「ゼェ、ハァハァ……クソ、はえーんだよ……」


 ……思ったより遅いな。オオカミって確か、時速五十キロくらい出る筈なんだけど……。獣人だとスピードが出ないのかな。体型とか、人間に近いもんな。

 前世でも、別に俺は足が速かったわけではないし。


 諦めたのか、苦々しげな表情で去っていく狼人。俺はホッと胸を撫で下ろすと、家路を急いだ。


 俺の命を狙う種族とは出くわしたくないな。武術の心得もないし、武器もない。……ババ様に貰った剣はあるけど。使いこなす自信が一ミリもない。


 もしかしてあの狼人、昨夜からずっと俺を追い掛けていたわけじゃないよな。もし、そうだとしたらゾッとする。

 しかし……だとすれば、何故俺の場所が分かったんだろう。嗅覚? 服装? それとも、偶然だったのかな。

 念のため、服は何着か余計に買っておいた方がいいな。嗅覚が優れていると、追跡されてしまうかもしれないけど。


 ……実は靴下を買いたかった。足の指が三本しかないと、すぐに突き破って穴が開いてしまう。

 転生者支援協会で獣人用のパソコン機器があった。マウスとキーボードだ。とすれば、獣人用の靴下もある筈だ。靴下の代わりになるものでもいい。探してみよう。


 獣人用のショップがあると思われる。一度行ってみる価値はありそうだな。

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