スカウト
「だから、僕は結構ですって!!」
「そんな事言わずに、見学だけにでも来てくれよ!! 峰打〜」
はぁ〜めんどくさい事になった… 昨日の体育の時間に何故か、僕はバスケの才能があると思われ、体育の教師にバスケ部に勧誘されたのだ…
昨日は何とか、やり過ごして逃げ切れたが、今日も来たか……
昨日で諦めてくれると思ったのに…
「なぁ…峰打 見学だけでも行って見たらどうだ?」
「あぁ!! 俺からも頼む!! 峰打君、是非ともバスケ部の見学に来て欲しい!!」
「私も、峰打君の昨日の試合観てたんだけど、凄い上手だなって思ったよ?」
今は、昼休みの時間…僕はいつも通り例の2人に1人の時間を奪われていたのだが、それに加えて今回は後もう2人….体育教師(バスケ部の顧問らしい)と昨日坂田をバスケ部に誘っていたバスケ部員だ……名前は知らない…
お弁当を食べてる時に急に来たのだ…どんだけ僕をバスケ部に入部させたいんだよ!!
「いや…あの時は多分たまたま、何とか上手にバスケができただけで、そんな何回も上手にできるって訳では…」
「いや、バスケ部顧問の俺から言わせて貰うと、あのプレイは実力があると思う!!」
いや、だから無いんだよ!! 僕が無いって言ってんだから、無いんだよ!!
「な〜峰打? 俺と一緒にバスケやろうぜ? 昨日やってみて、楽しかっただろ?」
坂田が僕に語りかけてくる…. 確かに昨日のバスケは楽しかったと思う…思うけど…嫌なんだよな〜
それに昨日の放課後は1人時間を満喫できたんだよな〜
昨日は坂田はバスケ部の練習に、神崎は昨日は女子友達に誘われたらしく、女子友達との付き合いも大事と言う事で、そっちの方に行った…
そして僕はと言うと、昨日は家に急いで帰り、アニメを見たり、お菓子を食べたりと…それはもう充実した放課後を過ごした…
多分坂田は、しばらくの間はバスケ部の練習で忙しくなり、僕らに構ってる暇は無いだろう…神崎も美少女で人気があるから、他の人達の誘いがあって僕に構わなくなるだろう……
僕の1人時間が過ごせるじゃ、ないか!! これは意地でも断るしか無い!!
「いや悪い…坂田…僕は…」
「あ〜そうだった!! 言い忘れていたが峰打…ぜひ、ウチのバスケ部の見学に来てくれたならな…女優の皐月由花ちゃんの写真集をやる」
「っ!?」
ど…どうして…この先生は僕が…皐月由花ちゃんのファンって事を知ってるんだ?
皐月由花とは、大人気女優で、僕の推しだ…ドラマでは主演を務めていた…
皐月由花の事を、この先生が知ってるのは理解できるが、どうして僕がその人のファンだと言う事を知ってるんだ?
この情報は多分、坂田しか知らな……
って、坂田ーーッ!! お前か!!
坂田の方を見てると、ニヤニヤしながら僕を見ている…神崎は何故か皐月由花の名前が出てきた途端に、興味無さそうな顔になった…
何で? 皐月由花の事苦手なのか?
恐らく、僕をバスケ部の見学に来させたいが為に、顧問の先生に相談された坂田が皐月由花を使えと言ったのだろう…!!
おのれ〜坂田め!! で…でも写真集くらい、スペシャルポスター付き写真集以外なら僕だって……スペシャルのやつは高くて買えなかったんだよな〜
「スペシャルポスター付き写真集をやるぞ〜」
「先生、僕バスケ部の見学に行きます!!」
即決だった。
遅れてしまい、申し訳ございません。