掃除っ子
これはとあるお店の娘の話です。
娘は元々掃除やら洗濯やら面倒な事は好きではありませんでした。
しかし厳格な母は娘に家事の手伝いをさせ、それと同時に優しかった母はいつも手伝う娘を褒めました。
娘は次第に家事が大好きになっていきました。
娘は毎日、朝一番に箒を持って店先を掃きました。
母は娘を働き者だと褒めました。
しかしある時、母は娘が中々集めた埃を捨てないのを見て思いました。
娘が褒められるために掃除をしているのではないかと。
母は娘を叱りました。
褒められるために掃除をするのではなく、一生懸命掃除をしたら誰かが褒めてくれるのだと。
娘は母に隠れて掃除をするようになりました。
一生懸命に、塵一つ残さないように。
娘は掃除をしているのを誰かに見られるたびに、褒められるために掃除をしているのではないかと自分を疑いました。
娘は皆に隠れて掃除をするようになりました。
一生懸命に、塵一つ残さないように。
誰も通らない路地裏を、人気のない公園を、誰も住んでいない空き家の周りを。
娘は毎日夢を見ます。
いつも掃除していて偉いね。頑張ってるね。
誰かにそう言われる夢を。
娘は起きたときにはそんな夢忘れています。
娘は今日も町のどこかを掃除をするのです。
掃除っ子、見つけてあげて下さい