表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

恋の風は今日の町に吹いているのだろうか

サブエピソード的なやつです。

街風ちゃんの一人称視点で進みます。

 これは恋なのだろうか。


 気が付けば彼のことを目で追っている。しかし、恋とか愛の好きかと聞かれると、単純にそうですとは答えられない。


 昼一番の授業。

 私たちの1年1組は数学。グラウンドにいる2組は体育のようだった。

 授業の内容は私には理解しがたいもので、なんとか板書だけはするものの、肝心の中身が頭に入ってこない。

 自然、授業には集中できず、ついつい窓の外を眺めてしまっている。


 1人黙々と走る彼。


 彼との出会いを思い返す。

 最初に会ったのは入学試験の会場で、その時は変な人がいるなと思い、見ていただけだった。

 背の高い男子。

 片目が隠れるような髪型をしていて、なんというか、痛い風貌だ。

 そして、陰謀論の本を読んでいた。

 前の席に背の高い人がいるなと眺めていて、何の本で予習しているんだろうと思っていたら、試験に全く関係ない本を読んでいて驚いた覚えがある。


 試験中は流石に彼のことを考えずにいたが、試験が終わり顔を上げると彼の姿が目に付いた。

 彼は同校の生徒であろう複数の男子に囲まれていた。

 人気者なのだろうかと思ったが、囲んでいる男子の表情から違うことが読み取れた。

 あれは自分とは違うものを馬鹿にしている人の顔だ。


 嫌なものを見たと、目を背けようとしたところで彼の顔を見てしまった。

 彼はただ、無関心でいた。

 目の前で見せつけるように、悪意を浮かべる者たちに一切影響されることなく、毅然と存在していた。

 私はそれを見て、恥ずかしさで顔が熱くなった。

 耳まで真っ赤になっていたと思う。

 ちょっとのドジで、私が同じように周囲の嘲笑の的になったとき、私は追従の笑みを浮かべていた。同い年の、名前も知らない彼はあんなにも毅然としているのに。


 恥ずかしさから逃げるように家に帰った。

 その日の晩御飯は入試頑張ったね記念で豪華だったけど、あまり食べられなかった。その分妹は多く食べられて喜んでいたけど。


 翌日からは毅然といられる研究を始めた。その過程で彼が呼んでいたような与太話、オカルト系の知識も身に着けた。

 そのせいで、オカルト研究部に強制入部させられたのは災難だったけど、そこでまさかの彼との再会。塞翁が馬とはこのことかと思った。


 オカルト研究部での活動を通して、彼のことを少し知った。

 立花孝弘という名前。一人称が僕であること。口調はきついけど、行動が紳士的で優しいこと。

 何が彼をそんなに毅然とさせるのか、その秘密にはまだ遠い。

 だから、彼のことをどんどん知っていきたい。


 今日の部活で好きな動物でも聞いてみようかな。


「おい、街風!話を聞いてるのか!」

 先生の声。

 自分の意志とは関係なく体がこわばる。

「ッ!?すみません!聞いてませんでした!」

 クスクスと教室に広がる笑い。恥ずかしさで顔が熱くなる。


 彼の毅然さにはまだ遠い。

 それでもと、表情だけでも引き締めて私は授業に集中した。


今回は街風ちゃんですが、全員分やろうとは思っています(やるのか?)

頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ