第1話「始まりは空から」
どうもこんにちは“元”普通の高校生だった不動海斗と言います。ちなみに俺は今、現在進行形で落下しています。なぜこうなったかと言うと………ある日俺は交通事故に遭い死んでしまって、ふと目が覚めるとそこには、自分たちとは異なる世界に住んでいる異世界の女神が「あなたの過去を変える代わりに私たちの世界を救ってください!」と取引を持ちかけてきたので、俺は頷き了承すると突然、謎の光が俺を包み込んだ。そして、目を開けるとそこは雲が下に見えるところからの高さに転生させられてしまってそして、俺は一瞬であることに気づいてしまった。この世界にも地球と同じ重力があるんだなってそして、今に至ると言うことです。
て言うか呑気に話している間に地面が見えてきたな………ヤバイなこのままじゃ死ぬな。
「うわぁぁーーーー!!」
“ドン”
イタタタタ………あれ?体が全然痛くない、骨も一切折れてない、それどころかヒビすら入ってないし………なんでだ?あの高さから落ちて無傷はおかしいと思うが多分、異世界転生ものによくある身体能力などが強化される異世界転生補正みたいなものだろきっとまぁ、いいやそれよりも、女神が言っていたガイド役って一体何処に居るんだ?
「ここ……に居ますか……ら早く退……いてく……れません……か?」
何だ?とてもか細い声が俺のお尻の方から聞こえて来るのだが………よし、ゆっくりと立ち上がって声の聞こえた方を見てみるか………ってなんだコイツは!?
そこには、白くて毛がモフモフとした翼の生えた妖精(?)らしき姿があり、その姿に俺は驚いてしまい
「うわっ!」
反射的に声を出しながら、つい後退りしてしまうと、さっきまでお尻の下敷きになっていた妖精(?)がゆっくりと立ち上がり汚れてしまった服を手ではたいたあとに、翼を羽ばたかせて俺と同じ目線になるまで飛んで話しかけていきた。
「たく、危うく死ぬところでしたよ!」
そう言いながら、怒った表情で俺に注意してきた。
「すまんな。気がつかなくってそれより、お前が本当に女神の言っていたガイド役なのか?」
俺は妖精(?)に謝ったあとに、先ほど言っていたことに対して質問をすると、妖精(?)は頷き
「そうですよ。私が女神様の命により不動様のガイド役をすることになった小天使のリエルと申します。」
と質問に答えると同時に自己紹介をした。
本当にお前がガイド役だったのか!?てっきり、ゼ○ダの伝説に出てくるあの青い妖精を想像してたがまぁ、考えて見れば天使って神の使いだがら天使の方が妥当だったな。まぁ、取り敢えず………
「リエルかよろしくな!それと何で俺がガイド役を探していることが分かったんだ?」
「それはですね………女神様の力でテレパシーを使って不動様の心の中を読み取ることが出来るからなのですよ!」
マジか!?じぁあさっきの話も聞かれていたのか?
「はい!バッチリと聞こえていましたよ。その伝説に出てくる青い妖精じぁなくてすみませんでしたねぇ。」
「うっ!そ、そんなことよりもガイド役なんだろ?まずは、俺を町とかに連れて行ってくれよ。」
「っとそうでしたね。それじぁまずは、王様に会いに行くためにお城へ向かいましょうか!それとお城に着くまでのまでの間にこの世界の知識を教えときますね!」
こうして俺はリエルにこの世界の知識を教えてもらいながら(王様の居る)お城へ向かうのだった。
「さて、最初は何から話しましょうかね………それでは、“キセキ”について話しましょうか。“キセキ”と言うのはですね┅┅┅┅┅┅┅と言うわけです。」
なるほどつまり、リエルが言うにはこの世界では魔法と言う概念が存在しない代わりに“キセキ”と言う魔法みたいなものが存在していると言うわけだな。そして、その力には色々な種類があるらしくてその中でもポピュラーなキセキが、“炎のキセキ”、“風のキセキ”、“水のキセキ”、“氷のキセキ”、“雷のキセキ”、“生命のキセキ”、“光のキセキ”、“闇のキセキ”、“浄化のキセキ”、“邪化のキセキ”の十種類あって。ちなみに、リエルが言うにはその他にも“時のキセキ”や“製錬のキセキ”なども在るらしい。
あともう一つ、キセキには適性があり、その人にあったキセキが授けられてその授けられたキセキの種類の数によって呼び方が違っていて、一種類のキセキを授かった者を“一つのキセキを持つ者”二種類のキセキを授かった者を“二つのキセキを持つ者”そして、三種類以上のキセキを授かった者を“三つ以上のキセキを持つ者”と三段階に分かれてそう呼んでいると言うことだよな。
「まぁ、大体そう言うことですよ。それとキセキの使い方についても教えときましょうか。まずは、目を瞑って精神を集中さしてください。」
俺はリエルの言う通りに目を瞑った。まぁ、当たり前だけど真っ暗で何も見えてないし、心臓の音が鮮明に聞こえてくるな。よし!それじゃあ、深呼吸をして全身の感覚を研ぎ澄ましてみるか。
“スゥーハァー、スゥーハァー”
「そして、次に手を前に出してゆっくりと開いて下さい。そこに力を集めてみてください。」
リエルが次の指示を出すと俺はゆっくりと手を前に出して開いた。そして、俺は指先の一つ一つに感覚を研ぎ澄まして手に力を込めると手から魔力のようなものが溢れだしている感覚があった。
「そしたら、ゆっくりと目を開けて手の方を見てください。」
俺はリエルに言われるがままにゆっくりと目を開けて手の方を見てみるとそこには、黒くて靄のかかった人魂みたいなものがあり、それに少し驚いてしまうと、同時に黒く靄のかかった人魂も消えてしまった。
今のは何だったんだ?………もしかして、アレが俺の“キセキ”の力なのか?
「はい。アレが不動様の力………“闇のキセキ”です!ま、と言っても不動様はまだ力を得たばっかりなのでまだ使いこなせていませんがそのうち使いこなせますよきっと………多分。」
何で最後ほう自信が少し失っているんだよ!と言うか“闇のキセキ”って何だか勇者ぽくない力だな、どうせなら“浄化のキセキ”とか“光のキセキ”とかの方が勇者ぽくってそっちの方が良かったのになぁ。
「…………そうだ!なぁ、リエル。質問なんだが途中で新しい”キセキ”を得ることってあるのか?」
「はい、前例がありますけど、かなりごく稀にですから余り期待しない方がいい思いますよ。まぁ、そのお話は置いときまして、次はステータス確認の仕方を教えますね。と言っても簡単で、心の中で『ステータスが見たい!』と強く何度も念じればいいだけです。」
分かったそれじゃあ、やってみるか。まぁ、最初は集中力を高めてから、強く念じてみるか…………ステータスを見る!ステータスを見る!ステータスを見る!ステータスを見る!!
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不動海斗(17)男性
レベル:1
職業:勇者
武器:なし
属性:“闇のキセキ”(一つのキセキを持つ者)
体力:80
攻撃力:15
防御力:9
耐性:10
素早さ:17
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これが俺のステータスかぁ。何て言うかそのパッと見て普通ぽく感じるなぁ。ま、多分気のせいだろ。
「ちなみにですけど、ステータスは瞬きをすれば自動的に閉じますから気を付けてくださいね。」
リエルがそう言うと俺は頷き、瞬きをしてステータスを閉じるとリエルはお話を変えて喋りかけてきた。
「それでは最後に今、私たちが会いに行こうとしている王様ついてお話をしますね。」
そう言うと、リエルは声色を変えてとある国の昔話を語りだした。
「昔昔あるところにですね、一つの国を束ねる王が居ました。しかし、その王が死んでしまうと次の王の座を廻って四人の権力者たちが争いをし始めました。そして、ある日その争いに決着がついて一人の権力者が王の座を勝ち取ったのですが、その他の三人の権力者たちは妬みや嫉妬そして、自分以外の権力者が王になったと言う劣等感から、三人の権力者たちは自分が王になるためにそれぞれ違う国を作ったのです。こうして、一つの国が四人の権力者たちによって、四つの国に分かれてしまったのでした。おしまいおしまい。とどうでしたか今のお話は?」
なぁ、その今のお話が俺たちが今から会いに行こうとしている王様と関係があるのか?とリエルに疑問を投げかけると、リエルは頷き答えた。
「はい、関係がありますよ。だって今から会いに行こうとしている王様は先ほどのお話に出てきた王の座を勝ち取った権力者なのですから。さて、到着しましたよ。ここが不動様の拠点となる場所、東ノ国の中心地“東陽都市グレスサーニィ”です!」
リエルがそう言いながら手を都市の方に向けて俺の視線を都市の方へと誘導するとそこには、城下町のような町並みが広がっていたのだった。
「それでは(王様の居る)お城へ向かいましょうか!」
東ノ国 東陽都市グレスサーニィ~お城 門前~
俺たちは町を後にして、お城へ辿り着き近くにいた門番兵に「俺はこの国を救うためにやって来た勇者だ!」と説明すると、門番兵は驚いた様子で
「おぉ!あなた様がこの国を救って下さる勇者様なのですね!さぁ、王様の所へ案内しますから着いて来てください!」
と門番兵はあっさり信じてくれたけど、もしも俺が嘘を付いていたらどうしたんだよ。と思いながらも門番兵に王室へと案内をしてもらうのだった。
東ノ国 東陽都市グレスサーニィ~お城 王室~
そこに向かう足音が複数あった、その足音は少し慌ただしい足取りで向かっていた。そして、その慌ただしい足音がピタッと止まった。その時、王室の扉が勢い良く開けられて、門番兵が大声で
「王様!勇者様をお連れしました!」
と言うと王様は少し疑った様子で門番兵に問いかけた。
「本当か?」
すると、門番兵は俺を前に出して王様に見せると
「そなた、名はなんと言う?」
いきなり王様に名前を聞かれるとか緊張してきたな。とにかく絶対に噛まないように慎重に名前を言うか。
「ふ、不動海斗と言います。」
「そうか。それでは、急ですまないが“勇者”不動海斗。そなたにはこれより四つの村へ行きモンスターに襲われていないかどうかを調査してきて欲しいのだが良いか?」
王様が俺にクエストを依頼すると、今度は緊張せずに勢いのある声で了承した。
「はい!」
これが俺に取っ手の初クエストだな。しっかりやらないと。俺は気合いを入れてからお城を立ち去った。
東ノ国 東陽都市グレスサーニィ~お城付近の町~
俺たちは暫く、町をぶらぶらと歩きながらリエルと話し合っていた。
「まずは、どうします?」
そうだなぁ………取り敢えず王様からお金(G)を頂けたしまずは、装備でも整えるか。
「そうですね、そうしましょうか。」
それじぁあ、武器屋に行くとするか。そうして俺たちは武器屋に辿り着き店内へ入り、武器を物色しているとあることに気づき店主に聞いてみた。
「あの、この店には“刀(日本刀)”は無いんですか?」
すると、店主は不思議そうに首を傾げ
「刀?何だそれは?」
と疑問を投げかけると、俺は刀について説明をした。すると、店主は困ったような表情で答えた。
「すまねぇが、そんな武器この店に無いどころか見たことも聞いたこともねぇな。」
そうか。この世界に刀(日本の武器)が無いのは少し残念だったな。
「そうですか………。じぁあ、そこの剣を下さい。」
俺は少し残念がりながらも気を取り直して店内に飾っていた剣に指を指して買おうとすると、店主が
「申し訳程度だがこの剣、半額にしといてやるよ!」
と言うと俺は思わず店主に向かって
「良いのか?」
と問いかけると店主は無言で親指だけを上方向に立ててOKサインを出すと、俺は心の中で「ありがとう。名も知らない店主。」と感謝しながらお金を払い店を出ていった。
取り敢えずは武器を買ったし、次はモンスターと戦ってレベル上げでもしてみるかな。そう思い俺は町の外に出たのだった。