第三者
みそしる様(ID:1358328)のTwitterでの物語( https://mobile.twitter.com/MQFP1ivKVD6h74J/status/1042029179451998214 )に引き続く形で書かせて頂きましたものです。
「はいカットーぉ、よかったよー」
とは言っても、響くのは無機質な部屋。反響させるのは、それ以上の光を放つ液晶だけ。
コンピュータグラフィックス。
技術さえあれば薄っぺらい画面の中に広大な夜空と自分そっくりの人間を創り出すことが可能だ、もちろん、それを自在に動かすことも。というか、自ら動くことは、ない。
自分そっくりの人間は、それどころか今の己より幾分若い。そう、この世界では時間を操ることも意のままなのだ。
現在世界は燻る煙を残し、ただただ夜空が輝くのみである。それはいっそこの部屋より無機質かもしれない。
僕は時を巻き戻し、若い僕と彼女を、再び世界に舞い戻らせた。
こちらの世界は不自由だ。せっかく諦められたと思ったのに、結局目覚めてしまった。
僕は、あの時の夜空に負わされた、傷の跡に触れた。
僕だけが負った傷。僕だけが、負わされた傷。
技術さえあれば、モデルがいようといなかろうと関係ない。生きていようが死んでいようが、は、もっと。
「ねぇ、やっぱりひとりじゃ、諦めかたがわからないよ。」
あちらの世界では、またも僕らが夜空に飛び込んだ。
虚ろに見遣った部屋の外は、煙のない夜空が広がっていた。
思うようにならない世界は、まるで煙が立ち込めているようだというのに。