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魔王と勇者は女神に挑むそうです  作者: みゅーたん
第一章 新世界で得たもの
9/16

赤鬼

「ゆりね……?なんでここに…」


「………ヤマト これどうなってるのよ!」


「ぐはっ!」

その時リコが腹に体当たりを食らって吹っ飛んだ。小柄なリコの体はすごいスピードで飛ばされた。


「リコ!!ゆりね、話は後でする。今は下がっとけ!」


「あんなのと戦うの?無理よ!ヤマトは普通の人なのに!」


「それでも、俺はやるんだ」


心に火が灯ったみたいだった。

あの時ゆりねは俺が助けたはずだった。なのにどうしてここに居るのか、この世界に来るトリガーは死ではなかったとかいろんな思いで頭がぐちゃぐちゃだった。

でも、今はそれを考えてる時じゃない。

目の前の脅威を排除する!


「リコすまん遅れた!」


土の術式を展開、ダークフェンリルの足を固定しようとするが素早く避けられる。


「オラオラオラオラ!」


捕縛を諦め、手に土の術式を展開して地面を殴りつける。大量に飛び散った土や岩を大きな無属性の術式でまとめて飛ばす。


これも避けられる。

くそっこれじゃジリ貧だぞ!

と思っていると目の端にリコが飛んでくるのが見えた。


ダークフェンリルの注意はヤマトが引き付けている。今なら、リコならやってくれる!

ヤマトはさっき改造した


「ファイアアアアアアボォォォォル改!!」


を撃ち、ロックオンさせた。そして

「リコ!俺ごとうてええええええ!」


土の改造魔法でシェルターをつくる。もちろん遠くのゆりねにも。「わっ、なにこれ!」…なんか聞こえた。


外界から遮断され、音も聞こえない。

ドぉぉおおおンと音がしたのであわててシェルターを解除する。




「おい…なにやってんだよ」



尻尾がちぎられたダークフェンリルの爪の先、



先にはリコが胸を貫かれ、大量の血を流していた。

見ただけでわかった。もう、助からない。


「ぶっ殺す…」








ブチッ



なにかがブツンと切れた音がした。


右手首の刻印が赤黒い光を放つ。全身が焼けるように熱い。光り、鼓動する刻印は全身にマグマを送っているようだ。


でも、七日前のあの感覚とは違うと本能でわかった。

だが今はどうでもいい、目の前の敵さえ倒せれば、どんな外法の力だって使ってやる!


叫べ、罪深き憤怒の対象を…


「りこを殺したお前が許せない!」


普通はここで終わりなのだが、付け足す。


「そして結局何も出来ないまま見ているだけの俺が許せない!」


「来いよ、俺の憤怒を喰らいやがれ!」


ゆりねは遠くから見ていた。


ヤマトの髪は燃える炎のように逆立ち、赫く煌き、その形相はまるで鬼のようだった。周囲には炎が渦巻き、誰であっても周りに寄せつけない。


炎の衣を纏った魔人は敵を見据える。

許せない相手の前に立つ。


ダークフェンリルは爪に刺さっていたリコを地面に捨て、憤怒の化身と向き合う。

その行為がヤマトの力を増幅させることを知らずに。ダークフェンリルはヤマトを同格、もしくはそれ以上の敵であると認めた。


ダークフェンリルが闇を纏って突進する。

それをヤマトは正面から両手で受け止める。憤怒の炎は闇をも焼き、ダークフェンリルは自慢の毛皮と肌が焼かれる痛みに吠える。

ヤマトはそのまま燃え盛る脚で顎を下から蹴りあげる。そして何度も何度も何度も何度も何度もダークフェンリルの顔を執拗に蹴る。

反撃を許さず、一方的にフェンリルを追い詰める。

そして、大ぶりの拳がダークフェンリルの弱い腹を捉え、地面と水平に吹き飛ばす。


土煙で標的が見えないヤマトは怒りのエネルギーをさらに力に変換する。

土煙が晴れた時、ダークフェンリルは所々に紫色の結晶が生えており、闇の刃を2本浮かばせた、凶悪な姿へ変貌を遂げていた。

リコがいれば、結晶を見て、膨大な魔力をもつ魔獣が魔力を暴走させたのだと分かっただろう。

しかし、そんな些細なことは憤怒の化身には関係ない。相手が刃を出すなら、とでも言うようにヤマトが両手をひと振りすると、右手には紅く煌めく日本刀。左手には赤黒く肉食獣を思わせる大剣が現れる。


憤怒の化身と準伝説級の怪物は再びぶつかりあった。

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