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魔王と勇者は女神に挑むそうです  作者: みゅーたん
第一章 新世界で得たもの
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思わぬ再会

それから6日経った。


「ヤマト!右の森からウルフ!」


灰色の小さいウルフが森から飛び出し、2人に襲いかかる。

だが、ウルフなど敵ではない


「フッ、灰にしてやるわァ!!この犬っころめぇ!!」


ヤマトはそう威勢よくウルフの前に飛び出し、右手を突き出し、掌を起点に赤く輝く魔法陣=術式を展開する。


「喰らえ!ファイアァァァァボォォォォル!!!」


ヤマトは叫びながら展開するした術式から右手を話し、握りこぶしをつくり、


術式を思いっきり殴った。


ゴォォォォ!!と物凄い音をたてながら火の玉はウルフへ飛んでいき、直撃。ウルフは絶叫しながら燃え尽きた。


「見たか!これが俺の改造ファイアボーぐぼぇ!」


途中でリコが指先に緑色の小さな術式を展開、そしてリコが術式をデコピンすると風の拳がどこからともなく発生、ヤマトの鳩尾を撃ち抜いた。


「ヤマト、魔法名は叫ばなくていいって何回言ったら分かるの?対人戦だったら致命的だよ」


よろよろっと立ち上がりながらヤマトが宣言する。


「必殺技を叫ぶのは必須だろ!」


確かに無駄だとヤマトも思うが心が叫びたがっているのだ。


「はぁ、なんでこうなるかなぁ」


呆れた声を出してはいたもののリコはヤマトの学習能力に舌を巻かざるを得なかった。

ヤマトは街に向かって2日目には常用言語であるリーン語を完全にマスターし、4日目には全て合わせて400を超える魔術言語すらも全て覚えてしまった。

5日目に魔法を教え始めたのだが、六日目にしてリコが教えた火の基本であるファイアボールの術式の細部をいじっていた。

大方楽しくて寝ないで夜の間にやっていたのだろう、ヤマトの目の下にはうっすら隈が浮かんでいた。


この成長速度はどう考えても異常である。

リコは『書庫』から歴代4人にしかとかれたことの無い数学の問題を解かせたことがあったが、ヤマトはそれを1分で解き切った。

この時は流石のリコも動揺を隠せなかった。

というかヤマトがこれを「いやー、難しいなこれ」、で済ませた時はつい水と風の合成魔法の術式を展開しかけた。


先程4人と言ったがそのうち1人はリコである。

リコはこの問題を3年間かけてずつ少しずつやってようやく解いた。3年という時間は歴代2番目の速さである。

ヤマトが解けなかったら自慢しようと思っていたのに簡単に解いてしまったのでに信じられないというかそれを通り越して呆れてしまった。

この問題を解けると言うだけでこの世界トップクラスの頭脳を持っていることになるので自信を失うことはなかった。ヤマトがおかしいだけなのである。

ちなみにリコも術式改編が出来る、これが原因でヤマトは出来ることが普通だと思っているようである。

はぁ………


「ぃっ! リコ!あれ見ろ!!」


リコはヤマトの切羽詰まった声にハッとした。


「どうしたのヤマト、またウルフでもッッ!!」


小山のようだったレッドウルフよりももう一回り大きい、漆黒の狼が走っていた。


「ダークフェンリル…なんでこんな浅い所に!」


「そっちもそうだがそこじゃない!走ってる先に女の子がいるだろ!」


「なっ!」


ダークフェンリルよりはこちらに近いところを、赤い服の少女が走っていた。

追われている様子だった。


「リコ!」 「わかってる!」


リコは足の裏を起点に緑の術式を展開、それをおもいッきり踏みつけた。リコの体が浮力を得て空中に浮かぶ。


「お前飛べんのかよ!」 「そんなのあと!」


今ならまだ間に合う。

「ヤマト!穴空けて!」


それだけでリコの意図を察しヤマトは両手に術式を展開、それを地面に叩きつける。


「ッ!」

瞬間、逃げる少女とダークフェンリルの周りの地面がボコボコと耕され、柔らかくなる。少女は一瞬驚いていたが、範囲から逃れていた。悲鳴も挙げないところをみるとこういうことはよくあるのだろうか。


(いや、こんなのよくあってたまるか。)


リコは両手に展開した術式をパチンと挟み、水をヤマトが耕したところに発生させる。

ダークフェンリルの周りは泥沼になった。

これで多少の時間は稼げるはず。


だが、


「マジかよ!」


ダークフェンリルは泥沼を飛び越えそのまま少女を捕食しようとする。ヤマト達のことなんて気にかけてもいない。

そのままダークフェンリルはその鋭い爪で少女を斬りさ


「させないっ!」


ガキィィィィィんっ


間一髪間に合ったリコが間に入り、短剣で爪を押さえつける。


「ぐうぅうっ!」


見たところ無属性の身体強化の魔法は掛けているようだが、準伝説級のダークフェンリルには厳しそうだ。


でも、


今の自分が戦闘に参加してもすぐにやられる、という確信があった。動けなかった。


七日前と同じだ。


足が竦んで動かなかった。


(なら俺はあの女の子を保護することを優先する!)


逃げであったのかもしれないが正しい選択だった。

しかし、この場合では大悪手だった。


「う、そだ、ろ?」







逃げていた少女は重山ゆりねだった。

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