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魔王と勇者は女神に挑むそうです  作者: みゅーたん
第一章 新世界で得たもの
4/16

第一村人発見?

目が覚めると、目の前に真っ白な髪をした少女の顔があった。

息がかかるほど近い距離、堪らずヤマトはゴロゴロと転がった。


それを無表情で見ていた少女は見ていた。

見ていた。

見ていた。

見ていた。

見ていた。

見て


「お願いだからなんか言って!?」


「え、あの、ごめん」


少女が口を開く。


「身体の調子は大丈夫かい?」

なんか左手首辺りがズキズキ痛むが気にしない。できない。

彼女は観ていたのだろうか。


「身体は…なんともないかな。なぁ、君の名前を教えてくれないか?」


「わかった、名乗ろう。 ボクの名前はリコ。家名はないよ」


少女は続ける。

「君は見たところこの辺の人間じゃないみたいだね。」


ヤマトは案外話し方が男っぽいことに少し驚いていた。リコにそう問われて慌てる。


「あ、あぁ、そうそう。俺はな、えーっと、そう!遥か東の国から来たんだ。」


少女、リコは訝しげな目を向ける。


「何を言っているんだい?この国より東の国なんてないよ?」

ギクッ

「それにさっきの、あの火の魔法はなんだい?火系統のギフト?」


「俺ってば箱入り娘ならぬ箱入り息子でさぁ、物理的な感じで。」


苦しい嘘をつく


「だから常識に疎くてさ、それでよ、聞きたいことが幾つかあるから答えてもらってもいいか?」


(苦しい苦しい苦しい!!)

ヤマトは勝手に死にそうになっていた。

リコは冷や汗ダラダラのヤマトを見てなにか事情があるのだろうと察した。

人に言えないだけのなにかが。

リコはヤマトに続けてと促す。


「まず、ここはどこだ?それと、ギフトとはなんだ?」

一番聞きたかったことだ。レッドウルフ(仮)と白髪で外国人顔の少女がいるのだから地球では無いことは既にわかっている。

そしてさっき彼女は『火系統のギフト』と口にした。魔法の有無もわからない上に新しい単語、訳が分からない。


「ここは神の眼球テトリクス、そしてテトリクス上の大国のうちの一つ、アヴァロニア」


「二つ目のギフトについては…」


ギフトとは、神に与えられた恩恵の事をいうらしい。遺伝うんぬんは関係なく、魔法とは別の特殊能力だそうだ。辞書を3分で読めるくらいの尋常ではないスピードで本を読めるとか、正直いらないギフトも多々あるらしい。

でも、とリコは続けた。


「『ギタ弾き男のカメルー』っていうおとぎ話になっているんだけどね、」


--------------------------------------


『ギタ弾き男のカメルー 』

むかし昔、ある所にカメルーという青年がいたそうな。

カメルーは真面目に働く人のよい青年だった。

ある日、カメルーは自分に恐ろしい力が宿ったことに気づく。

カメルーはしだいにこの力を誰かに使いたいと思うようになった。

そして耐えられなくなったカメルーは隣の村で力を解放した。

昼間だったのに関わらずその村は途端に静になった。村の人間がすべて死に絶えてしまったからだ。

カメルーに宿った力は指定した人間を問答無用で殺すことの出来る力。

青年はその力を使って人々を恐怖で従わせ、国をつくった。

青年が大人になった頃には国は大陸の大半まで国土を広めていた。

農民からの搾取、圧政が続いた。しかし、誰一人としてクーデターは起こさなかった。

皆、王が怖いのだ。

皆、死にたくないのだ。

だから考えることをやめた。

国民が恐怖によって従わされている国がまともであるはずが無い。

暴君は数年後、他国から手引きした呪術師によって暗殺された。

恐怖の対象がいなくなったために国が成り立たなくなり、崩壊した。国はいくつかに分断され、長い戦乱の時が幕を開けた。

今ある五大大国のうちの4つはこうしてできたのだ。





教訓みたいな感じだろうか、強大すぎる力は周りを不幸にするみたいな。少し変な話だとヤマトは感じた。


「それで、俺がギフトを持っているか確かめる方法はあるのか?」


「あるよ」


リコが即答した。


「でも、そもそもギフトって生まれた時から持ってるもので手足みたいなものだから感覚がないならないと思うよ」


あの時のように胸に手をあててなにか熱いものがないか探るが見つからず、落胆する。

「じゃあ何だ、あれは魔法ってことか?」


「恐らくそうだろう。見たことはなかったけどあれをうったあと倒れただろう」


心当たりがあったので頷く。


「あれが魔力切れの症状に似てるんだ。目眩やだるさを感じたんだったら魔法だね。」


だが、ヤマトがこちらに来たのは今。まだ感じ取れていないだけということもあるだろう。一般市民が異能を感じ取れるはずがない。


「一応診てくれないか」


リコが一瞬面倒くさそうな顔をした。

おい。


「じゃあ両方の手を出して」


素直に手を出


「なんだ、これ…?」


出した手、その右手首には刺青のような禍々しい紋章が焼き付いていた。

リコが絶句している。


「これは…」


リコが何歩か後ずさって腰につけていた細い剣をヤマトに向けた。


「質問に答えろ」


突然の豹変にヤマトはついていけず ええと 、と戸惑う。リコが険しい顔でこちらを見ている。堪らず両手をあげて降参のポーズをとった。


「お前の名前はなんだ。」


「俺は明山大和だ。」


ヤマトはこの状況で、どうしたらリコの警戒を解けるか必死に考えた。この紋章になにか意味があるのか。何もかもわからない。

(せっかく狼を倒したのに次とかハードモード過ぎる…)

意を決して聞いてみようとするが


「なぁ、」

「黙れ、今はボクが質問している。」


バッサリと切り捨てられた。悲しい。


「次だ、君、ヤマトは」


リコは一息おいて言葉を継いだ。


「本当はどこから来たんだい?」

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