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探偵オレール・アダンの場合Ⅱその2

ミステリーのような気もするし、ホラーのような気もしますが、いろいろと考え倦ねた挙げ句ジャンルをヒューマンドラマに変更しました。


「眠いな……」


 俺は昨日オカダの探し人のポスターのコピーをバーのオーナーから融通してもらった後、そのまま帰ってきて眠ってしまったらしい。

 おかげで印刷したてであるはずのポスターは、すっかりしわくちゃになってしまった。

 俺はしわを必死で引き伸ばしながらテレビを付けた。

 テレビには川の橋下が映されており、規制線が張られ警察官と思われる人物画大勢往来していた。


「次のニュースです。本日午後、ティニッジを流れる川で女性の死体が発見されました。通報者によりますと、不審な影が死体が入ったビニール袋を置いていくところを見たとのことです。警察は死体遺棄事件として捜査を進めています」


「最近何かと物騒だな……」


 俺はとくに興味を持てず席を立つと、そのまま給湯室へ行きお湯を沸かす。そしてカップに紅茶のティーパックを入れ、お湯を注ぎ入れる。

 そのまま席へと戻り、パソコンを立ち上げ新着メールをチェックする。だがしかし、仕事の依頼は何もなく広告メールが来たのみであった。

 悲しい反面、事件に集中できるとなるとどうにも複雑な心情になる。


「虚しいな」


 最盛期の頃と比べて見る影もない探偵事務所の現状に嘆き、改めてポスターを手に取る。

 女性の顔、そして名前までは書かれていない。

 最近はプライバシー保護が厳しくなったからであろう、実際顔写真ならわかるが名前を公開したところで意味があるとは思えない。


 そして裏を確認する。書かれていたのはメールアドレス。恐らく、オカダのものだろう。

 しかし、オカダを探っているのに接触するわけにもいかない。

 そして、元々俺に依頼をした依頼主はあれ以来全く音沙汰がない。オカダから逃れるためには、それくらいしないといけないのだろう。

 俺の事務所の大切な顧客が殺されるというのも、聞き心地の良い話ではない。

 俺の無罪を勝ち取るためにも、早めに行動しなければいけないのだ。


「ふぅ……」


 俺は身支度を済ませ、外に出た。取り敢えずは、この眠たい頭をどうにかしなければならない。

 向かうのは近所のドラッグストアだ。何かエナジードリンクの類でも買って目を覚まさなければ……。


 オカダの故郷、ニホンでは自動販売機がそこら中にあるという話を聞いたことがある。だが、帝国はニホンと比べて治安が悪いので、自販機はそれほど多くはなくほとんどが屋内にある。

 そして、ティニッジともいえどもそれは同様。

 要するに、エナジードリンクなんかすぐ近くでは買えないのだ。


 近くのドラッグストアまで向かい、すぐさま飲料コーナーを見る。

 水に伝統飲料、茶、コーヒーなどあるなかでエナジードリンクの缶を見つける。カゴに放り込み、レジへと並ぶ。ちょうど混んでいたようで、どのレジにも長い行列が出来ている。

 待ち人数とカゴの量から推察して、一番早く順番が来そうな列に並ぶ。


「うぅ……」


 前に並んでいる人? がまるで酔っ払っているかのようにふらふらしていた。だが、酒臭さもなく別のものだろう。

 そして、バランスを崩したのかそのままドラッグストアの床に倒れた。


「あの……。大丈夫ですか?」


 心配して目の前の人物の容態を確認する。エルフの女性のようだ。そして、目の下にはひどいクマが出来ている。眠れていないのだろうか。

 彼女は、儚げな目でこちらを見る。


「だ、大丈夫です……」


 生気がまるで感じられないとはこのことだ。彼女のカゴから散らばった物を集める。中に入っていたのは多くが睡眠導入剤だ。忙しくて眠れていないというよりかは、ストレスやら疲労やらで寝たくでも眠れないのだろう。

 俺は、やっとのことで起き上がった彼女にカゴを渡す。


「あ、ありがとうございます……」


 そう言って彼女は初めから何もなかったかのように、レジ待ちの列に同化した。

 俺も、こんなことにかまっている暇などないのだ。早く事件を解決しようとしなければ。


 前の人がレジ精算を終えサッカー台へ移動すると、俺は店員にレジ精算をしてもらう。そしてそのままサッカー台で買ったものを詰めて、ドラッグストアを出る。


「……」


 ドラッグストアを出て俺がまず見た光景。それは、倒れているさっきの女性だった。買い物袋からは、大量の睡眠導入剤が散らばっている。本当に彼女は大丈夫なのだろうか。


「あのー。大丈夫ですか?」


 死んでいるのだと言われても信じてしまいそうなくらい、彼女は動かなかった。だが、よくよく目を凝らせば一応生きていることはわかる。


「ああ……。さっ……きの……」


 口を引き攣らせて元気があることを証明しようとしているのかは知らないが、ひどいクマが相まって最早不気味そのものだ。


「早く家に帰って寝たらどうです?」


 レジ待ち時に目の前にいた人の訃報など、聞いたところでただただ困るのだ。


「ああ、……。家には、あまりいたくないんです」


 掠れた声で、彼女は言った。DVかと思ったが、見た感じ外傷はないので精神的なものか。或いは、精神的苦痛を起こす何かが家にあるのか。

 ところで彼女、どこかで見たことがある気がする。ドラッグストアにいた際も、周りの客がチラホラと彼女のことを見ていた。


「お、お願いします。休ませてはくれませんか?」


 親切心的に、助けたいという思いはある。だが、こちらは捜査でいろいろと忙しい。

 そんな中、彼女は何かを思いついたかのように俺に向かって畏まった。


「あ、あの。私、レギーナ=ゴワシェルっていいます……」


 どこかで聞いたことがある名前だ。どこだろうか?

 ……。


 俺は目を見開き、彼女の容姿を見た。そこで俺は間違いないと確信できた。彼女は、オカダの第二夫人だ。行き詰まっていた俺の問題の突破口になるかもしれない。


「わかりました。ではこちらへ」


 俺は彼女が再び倒れないように心配しつつ、事務所へ戻っていった。

あれだね。

推理ものは全部書ききってからの方がいいね。

書ききらない段階で投稿するとミスがあったときに大変なことになる。


 というわけで本作は見切り発車なのですが、きれいに終わるためにも次話は完全に書ききってからの投稿となります。

 いつ頃終われるのかはわかりませんが、さすがに2年半は待たせないと思います。どうかあしからず。

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