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第二十五話「映画と剣」

どうも。一週間ぶりです。

「うわっ。やっぱり人多いな」

「今大注目の特撮ヒーローの映画っすからね!」


 今日が休日だからなのか。見渡す限りの人、人、人。子供が多いのは当たり前だが、大人もかなりの数だ。

 俺達が、これから観る映画は現在も放送中の特撮ヒーローものの劇場版。その名は、刀剣戦隊ブレイダーだ。

 ヒーロー全員が剣で戦い、武士道や騎士道などを胸に熱き戦いを繰り広げる。


 アクションが、とても激しく、剣と剣がぶつかり合う様や、銃弾を剣で切り裂くなど。

 観ているだけで、手汗握る。

 しかも、戦隊ヒーロー特有の巨大ロボットもかなりかっこよく玩具の売り上げも上々のようだ。

 

「まだっすかねぇ?」

「もうちょっとだ。後、五人」


 明ちゃんが、わくわくしながら待っているのは、前売券の特典のことだ。

 前売券があれは、特典。つまり非売品が手に入れられる。今回は、劇場版オリジナルのアイテムだ。

 そして、待つこと数分。ようやく俺達の出番となった。明ちゃんはそれを受けとると、子供のように瞳を輝かせる。


「キター! いいっすね! いいっすね! やっぱりファンとしてはこういう非売品は、テンション上がるっすね!! いやぁ、今回のは色々と忙しくて前売券を買うことできなかったんですよぉ」

「忙しかったって、発明品の開発か?」


 と、俺は非売品をバックに仕舞い、明ちゃんに問いかける。


「違うっすよ。あれっす。あたしがどんな存在なのかを考えてみてほしいっす」


 明ちゃんは、仕舞うバックなどがないようなので、俺が代わりに仕舞う。明ちゃんがどんな存在か。

 彼女は、秘密組織イモウトの四天王。世界の敵だ。


「イモウトを倒そうとする者達と戦ってた?」

「その通りっす。あっ」


 何か思い出したかのように、口を閉ざす。


『ここからは、念話で』


 なるほど。


『あいつら、あたし達の仮拠点を発見してミサイルで攻撃してこよとしてたんすよ。だから、あたしはそれに対抗すべくミサイルを塵も残さず消滅させる発明品を作っていたんすよ』


 ミサイルを塵も残さずって……それは、すごいものを発明したものだ。


『安易に魔法とかを使わないで、高度な発明品で力を示せってさやさんが』

『確かに魔法よりは、高度な発明品のほうが現実的だと思うけど

 』

『まあ、結局魔法も使ってたんすけどねー』

『バレなければっことか』

『そういうことっす! おっ? そろそろっすね』


 念話をしていると、映画が始まるアラームが鳴り響く。


『ところで、これからのことなんだけど』

『当然、映画を観終わったら戦うっすよ!』


 やっぱり、忘れていなかったかー。このまま、忘れてくれていれば俺としては助かったのだが。

 確かに、明ちゃんの発明品を見るのはいい。俺もかなり興味があるからな。だけど、前回のことを考えるとかなり派手にくるだろうなぁ。


『ふっふっふっ! この映画で、忘れさせようとしていたみたいっすけど。あたしは、そこまで単純じゃないっすよ?』


 あわよくばと思ったんだが。はあ……仕方ないか。この映画を観終わった後に期待するかな。

 あまりにも映画が楽しくて、すっぽりと記憶から抜けてくれるように。




・・・・・◆




「さあ! おっ始めるすよ!!」

「だめだったか……」


 映画が終わり、またどこかに行こうと思ったのだが、それよりも先に小型の転移装置により、転移されてしまった。


「そりゃあ、そうっすよ! もしかして、映画の楽しさで忘れているとでも思ったんすか?」


 うん、正解。俺の考えが単純なのか。それとも、彼女が俺が思っていたほど、単純じゃなかったのか。


「……こほん。ところで、ここ何処だ?」


 一度咳払いをしてから、俺は転移したところを聞く。視界に映るのは、見渡す限りの青く広大な海。

 背後は、緑豊かな木々が生い茂る森。俺の予想ではどこかの無人島だと思うのだが。


「ここは、イモウトが造った人工島っす!」

「人工島だって? もしかして、俺と戦うために」

「その通りっす! ここなら、思いっきりやっても誰にも迷惑がかからないうえに、誰にも気づかれない! まあ、イモウトのメンバー。つまり、さやさん達には気づかれるっすけど」


 まさか、俺と戦うためだけに、人工島を造るなんて。なんだか、改めて彼女の技術力がすごいって思い知らされたな。


「ちなみに、普通に果実とかも実ってるし、危険生物なんかもいないんで、無人島生活ができるっすよ。一度やってみるっすか?」

「ふむ。二人っきりの無人島生活か……」

「ドキドキっすね! ワクワクっすね!」


 ふむ……これは、そこまでドキドキしてないな。やはり、彼女を攻略するのは、難しいようだな。

 俺にそれだけの魅力がないだけなのかもしれないが。これは、自分を磨く努力もしないとだめだな。


「どうしたんすか?」


 頭を掻きながら、眉を潜めていると、明ちゃんが俺の顔を覗き込んでくる。


「いや、何でもない。それよりも、やるのか?」


 俺のこれからの課題を内に仕舞い、気持ちを切り替える。


「当然っす! さあ! さあ!! あたしが発明した武装の数々を……見るっす!!」


 手を掲げると、光の粒子が集う。出現したのは、銃のグリップのようなものだった。グリップだけ? まさか、ビームサーベル的なやつか?


「今回は、どんなものを見せてくれるんだ?」


 まずは、変身をせずに様子見をすることにする。もしかしたら、俺の変身対策をしている可能性があるかもしれないからな。


「変身しないんすね。ならば!!」


 グリップを構え、魔力を高める。

 すると、グリップの先端から光の刃が出現する。やっぱり、ビームサーベル的なやつだったか。銃って可能性もあったんだが。これは、魔力を刃に変換しているようだな。


「まさか、接近用の武装を作ってるとはな」

「前回の印象が強すぎて、あたしが遠距離だけの女だって思っていたみたいっすね。まあ、狙い通りっすけど。一応近接戦闘もできるんすよ?」


 どうだとばかりに、その場で演舞を始める。動きはそれなりに形になっているけど。まだ荒さがあるな。


「だったら、付き合うぜ。明ちゃん!」


 相手が剣なら、俺も剣でとばかりに魔力の剣を生成して構える。


「ふっふーん。お付き合い感謝っす!」

「ところで、そのグリップの意味は?」


 彼女ほどの魔力コントロールの持ち主ならば、普通に魔力の剣を生成できたはずだ。


「かっこいいからっす!!」

「なるほど!!」


 そういうことなら仕方ない。


「もう一本あるっすけど、いるっすか?」

「……じゃあ、遠慮なく」

「ほいっす!」


 俺は、魔力の剣を消し、明ちゃんが投げ渡したグリップを受け取り、流れるように魔力を練り上げ刃を生成した。

 うん、かっこいい。


「今度こそ」

「やったるっすよ!!」


 砂を思いっきり蹴り、真っ直ぐ俺に立ち向かってくる。相変わらず、思いっきりの塊だな。

 だけど、そういうのは。


「嫌いじゃない!」


 真っ向からぶつかり合う刃と刃。それにしても、今後も彼女と会う度に戦うことになると考えると……苦労するな。

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